ジョージ・オーウェル『1984年』を山形浩生訳で読んだら驚くほど面白かった
有名だけど退屈な小説の代表格は、『一九八四年』だ。全体主義による監視社会を描いたディストピア小説として有名なやつ。
2017年、ドナルド・トランプが大統領に就任した際にベストセラーになったので、ご存知の方も多いだろう。「党」が全てを独裁し、嘘と憎しみとプロパガンダをふりまく国家が、現実と異なる発表を「もう一つの事実(alternative facts)」と強弁した大統領側近と重なったからかもしれぬ。
『一九八四年』は、学生の頃にハヤカワ文庫で読んだことがある。「ディストピア小説の傑作」という文句に惹かれたのだが、面白いという印象はなかった。
主人公のウィンストンは優柔不断で、あれこれグルグル考えているだけで、自ら行動を起こすというよりも、周囲の状況に流され、成り行きで選んでゆく。高尚な信念というより下半身の欲求に従っているように見える。
「党」を体現する人物との対話も、やたら小難しく何を言っているのかさっぱりだった。
例えば、「二重思考(double think)」という概念が登場する。「2つの矛盾する信念を同時に抱き、かつ両方とも受け入れる」というのだが、そんなことが可能だとは思えなかった。党のプロパガンダを洗脳するだけで充分じゃないの?と考えていた。
ところが、山形浩生さんがボランティア(?)で翻訳した『1984年』を手にしたら、一変した。
翻訳が変える読後感
主人公はノスタルジックな記憶にしがみつき、現実が何なのか分からなくなっている不安定なキャラが浮かび上がる。「書く」ことで自分を確かめようとする態度がいじらしくも哀れに見える。
オレンジにレモン、とセントクレメントの鐘
お代は三ファージング、とセントマーチンズの鐘
お支払いはいつ、とオールドベイリーの鐘
……
折に触れて言及される詩の意味も分かった。子どもの頃の童歌だったのだが、中年になったウィンストンは、どうしても続きが思い出せない。その内容のノスタルジックな響きと、続きを思い出させてくれる人たちの立ち位置が秀逸なり。
初めて読んだとき、適当に読み流していたけれど、これ、物語の根幹に関わるキーとなっている。特に最後のフレーズを教えてくれる人物の皮肉が利いている(まさに「過去を支配する者は今を支配する」だ!)。これを伏線として読み直すことができたのは、巻末の解説のおかげだ。
恋仲となるジュリアも、別のキャラになった。
乙に澄ました女というイメージが壊され、いたずらめいた下品さが醸しだされ、性に(生に)忠実であることがよく伝わってくる。原文は読んでいないが、翻訳だけでここまで生き生きとキャラが立ってくるのか、と驚いた。彼女がウィンストンに持ちかける内容に似合った口汚さがいい。
そして「党」の主張も、よく理解できるようになった。これも、分かりやすい翻訳のおかげ。
二重思考の「矛盾する信念を同時に抱く」とは、その信念を適用させる対象をコントロールすればいい。辞書を編纂し、人々を教育し、その言葉が指し示す範囲のうち、党に不利益となるものをキャンセルする。ある概念を適用する範囲を狭めることで、本来であれば並び立たないような表現を成立させるのだ。
例えば「自由(free)」という言葉について。「フリーランチ(無料の食事)」や「アレルギーフリー(アレルギー原因物質を含まない)」という意味として使える。しかし、「言論の自由」や「信教の自由」といった使われ方はしない。「自由」という言葉を適用する範囲から、知的や思考を指し示す概念そのものが存在しなくなっているのだ。
それでも、昔を知る人は「知的自由」という言葉が成立していた時代を覚えているかもしれない。知的には党に従うのが当然のため、知的自由という言葉の代わりに知的には隷属することになる。
「知的自由」を知る人は粛清されるか年老いて死んでいくだろうが、そこに至るまでは「自由」という言葉は矛盾した使われ方をしているように見えるだろう。アレルギーからの束縛を受けないという意味で自由である一方で、思想や信仰、知的には党の束縛を受けることが「自由」になる。
「矛盾する信念を同時に抱く」という定義のキモはここにある。二重思考というのは、そこに至るまでの過渡期として、推奨される考え方なのだ。「党」が意味付けたい言葉が完全に浸透したならば、そこに矛盾は無くなり、二重思考という概念すら不要となる。
人生経験による変化
作品は変わらないが、作品を読む「私」が変化する。
別の作品に触れたり、人生経験を通じて識ったことにより、より豊かな読み方ができるようになった。
例えば、意味をコントロールすることで思考を変えることについて。かつて、無邪気にも、そんなことはあり得ないと考えていた。
だが、新しい言葉が古い言葉を上書きすることは、普通にあり得る。
そして、当たり前のことだが、昔の意味を知らない人にとっては、今の意味が全てになる。「スパム」は缶詰ではなく迷惑メールだし、「KY」は捏造報道ではなく「空気を読む」意味に上書きされている。これらはコントロールされた訳ではないが、全体主義国家がやれば意図的に変えることも可能だろう。
あるいは、ウィンストンが101号室で被る壮絶な恐怖も、より生々しく感じられるようになった。
その人にとって最も恐ろしいものを突き付ける展開は、スティーヴン・キング『IT』やクライブ・バーカー『腐肉の晩餐』を読んだ身としては、気持ち悪い汗が出るほどエグかった。
死んだ方がマシというよりも、早く殺して欲しいと心から願うくらい、「死ぬことが希望」になる。目的は洗脳ではないのだから、これは効果的だろう。
『一九八四年』が、あらためてディストピア小説の傑作だと思い知った。それと同時に、ウィンストンの悲しみに寄り添えるようになった。すべて新訳のおかげ(山形さん、ありがとうございます)。
以下、Typoが散見されたのでまとめておく。
原文に当たって確認した訳ではないので、私の指摘が誤っているかもしれぬ。そして、(これはありそうだが)「党」がコントロールする言葉の歪曲を表現するために、あえて誤植のように翻訳しているのかもしれない(こっちのほうが怖い)。
天真楼文庫のKindle版第一刷(2023年12月1日)のを元にしている(いま確認したら、12月15日版が出ており、かなり修正されているものと思われる)。
該当ページ | 修正前 | 修正後 |
p.12 | それから穴だらけになってまわりの生みがピンク色になって穴から水が入った見たいにいきなり沈んで、 | それから穴だらけになってまわりの海がピンク色になって穴から水が入った見たいにいきなり沈んで、 |
p.21 | ウィンストンは内蔵が冷え込むように感じた。 | ウィンストンは内臓が冷え込むように感じた。 |
p.27 | 献身的なドタ作業要員で、 | 献身的な作業要員で、 |
p.43 | 新潮に構築されたウソを語ること。 | 慎重に構築されたウソを語ること。 |
p.56 | 特別なに規則を曲げることで規定より一歳早く――スパイ団に入った。九歳にして部隊長となった。十一歳のとき、叔父の会話を盗み聞きして | 特別な規則を曲げることで規定より一歳早く――スパイ団に入った。九歳にして部隊長となった。十一歳のとき、叔父の会話を盗み聞きして |
p.56 | 人生の目的は敵ユーラシアの妥当と、スパイ、妨害工作者、 | 人生の目的は敵ユーラシアの打倒と、スパイ、妨害工作者、 |
p.70 | 数字は終えなかったが、それが何らかの形で満足すべきものなのだということはわかった。 | 数字は追えなかったが、それが何らかの形で満足すべきものなのだということはわかった。 |
p.70 | 選集の配給量は30グラムだったと示唆するものを全員追跡し、 | 先週の配給量は30グラムだったと示唆するものを全員追跡し、 |
p.71 | その深いと汚れと物不足、果てしない冬、 | その不快と汚れと物不足、果てしない冬、 |
p.79 | だが一つのことさえなければ、彼女との暮らしも絶えられただろう。 | だが一つのことさえなければ、彼女との暮らしも耐えられただろう。 |
p.81 | だが本当の常時などほとんど考えられないできごとだった。 | だが本当の情事などほとんど考えられないできごとだった。 |
p.86 | 連中は疑惑など受けるほどのドン材ではなかった。 | 連中は疑惑など受けるほどの鈍才ではなかった。 |
p.91 | いつもしれは、昔のテーマを焼き直していた―― | いつもそれは、昔のテーマを焼き直していた―― |
p.91 | 唇はぶあつく黒人敵だった。 | 唇はぶあつく黒人的だった。 |
p.96 | 石は固く、水は塗れていて、支持のない物体は地球の中心に向かって落ちる。 | 石は固く、水は濡れていて、支持のない物体は地球の中心に向かって落ちる。 |
p.101 | 酸っぱいビールの匂いが漂ってきた。 | 酸っぱいビールの臭いが漂ってきた。 |
p.103 | そしてさほど遠からぬ小さな文具やで、 | そしてさほど遠からぬ小さな文具屋で、 |
p.104 | 醜悪なチーズめいた酸っぱいビールの匂いが | 醜悪なチーズめいた酸っぱいビールの臭いが |
p.106 | ダーツの試合はまた全開となり、バーにかたまった男たちは宝くじの話を始めた。 | ダーツの試合はまた再開となり、バーにかたまった男たちは宝くじの話を始めた。 |
p.106 | 「その戦争ですか?」とウィンストン | 「どの戦争ですか?」とウィンストン |
p.108 | その言葉Wをきくのは、 | その言葉をきくのは、 |
p.108 | そのreg’larには連れ戻されるよ、いやホント。 | その連中には連れ戻されるよ、いやホント。 |
p.108 | ロバ年も前だったか―― | ロバ年も前だったか―― |
p.108 | アイドパークにときどき出かけて、 | ハイドパークにときどき出かけて、 |
p.111 | というのもそれを懸賞できるような基準は存在せず、 | というのもそれを検証できるような基準は存在せず、 |
p.112 | 質問だれたら、カミソリの刃を買いたいと | 質問されたら、カミソリの刃を買いたいと |
p.112 | 髪はほぼマッ尻だが、 | 髪はほぼ真っ白だが、 |
p.112 | 彼に漠然とした地勢の雰囲気を与えていて、 | 彼に漠然とした知性の雰囲気を与えていて、 |
p.119 | セーターでの一晩をサボるより | センターでの一晩をサボるより |
p.122 | 肉体はふくれあがって宇宙を見たし、 | 肉体はふくれあがって宇宙を満たし、 |
p.122 | 飢えや寒気は睡眠不足、 | 飢えや寒気や睡眠不足、 |
p.123 | クラやミンのない場所とは | 暗闇のない場所とは |
p.127 | すでに本能の息に達し他習慣ではあり、 | すでに本能の域に達した習慣ではあり、 |
p.140 | ある巨大な一家であふれかえるほどの満員ぶりで、話の曾祖母から生後一ヶ月の赤ん坊までいて、 | ある巨大な一家であふれかえるほどの満員ぶりで、曾祖母から生後一ヶ月の赤ん坊までいて、 |
p.141 | 肌の毛穴にすすまみれのロンドンのほころが詰まっているように感じ | 肌の毛穴にすすまみれのロンドンのほこりが詰まっているように感じ |
p.142 | 顔に浮かんだ無精はかすかに皮肉っぽく、 | 顔に浮かんだ微笑はかすかに皮肉っぽく、 |
p.153 | どのみちジュリアは完全に明いた晩がめったにない。 | どのみちジュリアは完全に空いた晩がめったにない。 |
p.153 | ハトの糞の匂いがプンプンしていた。 | ハトの糞の臭いがプンプンしていた。 |
p.162 | 最後の訪問時に勝ったガラスの文鎮が、 | 最後の訪問時に買ったガラスの文鎮が、 |
p.166 | 人はそれが起こるまでの感覚を短縮する道を選んでしまうのだ。 | 人はそれが起こるまでの間隔を短縮する道を選んでしまうのだ。 |
p.172 | ウィンストンはそれを彼女の手から鳥、 | ウィンストンはそれを彼女の手から取り、 |
p.188 | そのページを破って運ストンに渡した。 | そのページを破ってウィンストンに渡した。 |
p.191 | さらに一部のルートで異同するトラックの通過 | さらに一部のルートで移動するトラックの通過 |
p.191 | すえた匂いの部屋で、 | すえた臭いの部屋で、 |
p.193 | ドアめがけて欠けだした。 | ドアめがけて駆け出した。 |
p.195 | 自分もその行動も、二度とだれにもつたわれない。 | 自分もその行動も、二度とだれにも伝わらない。 |
p.195 | 生涯で始めて、ウィンストンはプロレを軽蔑もせず、 | 生涯で初めて、ウィンストンはプロレを軽蔑もせず、 |
p.200 | テレスクリーンが着られてから、部屋は死んだように静まりかえった | テレスクリーンが切られてから、部屋は死んだように静まりかえった |
p.201 | 飲み物をこっちに持ってきて暮れ、 | 飲み物をこっちに持ってきてくれ、 |
p.205 | 我々の下界は、人々をまったく見分けがつかないほど変えてしまえるのだ。 | 我々の世界は、人々をまったく見分けがつかないほど変えてしまえるのだ。 |
p.205 | 立ち上がる都ゆっくり行ったり来たりし始めて、 | 立ち上がる都度ゆっくり行ったり来たりし始めて、 |
p.206 | だが我々がの戦いが奉じる全般的な目標と、 | だが我々の戦いが奉じる全般的な目標と、 |
p.207 | やらねばならないことなのだだが人生が再び生きる価値のあるものとなったら、 | やらねばならないことなのだが人生が再び生きる価値のあるものとなったら、 |
p.214 | 深紅の垂れ幕をかけた遠大では、 | 深紅の垂れ幕をかけた演壇では、 |
p.219 | イギリス初頭を含む大西洋の島々、 | イギリス諸島を含む大西洋の島々、 |
p.220 | 捕虜に対する意趣晴らしといった行為は、 | 捕虜に対する意趣返しといった行為は、 |
p.226 | 馬肉の塊を持っている蚊どうかが、 | 馬肉の塊を持っているかどうかが、 |
p.229 | 戦争の物流兵站面だけを考えテイル。 | 戦争の物流兵站面だけを考えている。 |
p.230 | 公式の合意は決して交わされるれることも野押さされることもなかったが、 | 公式の合意は決して交わされるれることも直されることもなかったが、 |
p.245 | 現実には制服不能であり、ゆっくりした人口変化でのみ制服可能となるが、 | 現実には征服不能であり、ゆっくりした人口変化でのみ征服可能となるが、 |
p.248 | 事実を考えて見たりしなかった | 事実を考えてみたりしなかった |
p.249 | どこかで犯罪を犯すかもしれない人物を一層するため | どこかで犯罪を犯すかもしれない人物を一掃するため |
p.255 | どちらが買っているかは、彼らにとっては完全にどうでもいいことである。 | どちらが勝っているかは、彼らにとっては完全にどうでもいいことである。 |
p.258 | 旧式の時計を見てみると、まだ23=30でしかなかった。 | 旧式の時計を見てみると、まだ20=30でしかなかった。 |
p.269 | 騒々しい、ひどい匂いの場所だった。 | 騒々しい、ひどい臭いの場所だった。 |
p.275 | 長い時間に思えるものが杉田。 | 長い時間に思えるものが過ぎた。 |
p.277 | オレがそう行ったんだ。どうやら何度も何度も言ったらしいぜ。 | オレがそう言ったんだ。どうやら何度も何度も言ったらしいぜ。 |
p.277 | オレが行ってることを聞いて、 | オレが言ってることを聞いて、 |
p.278 | 顔色が一篇したように | 顔色が一変したように |
p.278 | 口と目が異様に大きく見栄、 | 口と目が異様に大きく見え、 |
p.284 | 苦痛に直円したら、英雄などない、 | 苦痛に直面したら、英雄などない、 |
p.293 | ゆっくりと商人するようにうなずいた。 | ゆっくりと承認するようにうなずいた。 |
p.293 | 過去はホント運の実在性があるものかね? | 過去はホントウの実在性があるものかね? |
p.294 | 記録をどう支配できるんですか? 私の記憶は支配できてないでしょう!」 | 記憶をどう支配できるんですか? 私の記憶は支配できてないでしょう!」 |
p.294 | だがウィンストン、襲えてやるが、現実は外部にあるものではない。 | だがウィンストン、教えてやるが、現実は外部にあるものではない。 |
p.296 | ちても寒く、抑えようもなく震え、歯はカチカチ鳴り、 | とても寒く、抑えようもなく震え、歯はカチカチ鳴り、 |
p.297 | 自分が絶叫しているかどうかもわからなくあんった。 | 自分が絶叫しているかどうかもわからなくなった。 |
p.297 | レバーを戻してイットあ。 | レバーを戻して言った。 |
p.298 | どこかりら、実際の言葉は決して交わされることがなくても、 | どこか、実際の言葉は決して交わされることがなくても、 |
p.303 | どれほど完全に我々に幸福しても、助かるなどとは思うなよ。 | どれほど完全に我々に降伏しても、助かるなどとは思うなよ。 |
p.311 | 富でもせいたくでも長命でも幸福でもない。 | 富でも贅沢でも長命でも幸福でもない。 |
p.311 | 純粋な権力がどういう井美香はすぐわかる。 | 純粋な権力がどういう意味かはすぐわかる。 |
p.312 | というのもあらゆる人間は死ぬ運命にあり、誌こそは最大の失敗だからだ。 | というのもあらゆる人間は死ぬ運命にあり、死こそは最大の失敗だからだ。 |
p.315 | 「その通り。苦しめませるのだ。 | 「その通り。苦しませるのだ。 |
p.316 | 鎮江に、あらゆる瞬間に、勝利のスリルがあり、 | あらゆる瞬間に、勝利のスリルがあり、 |
p.326 | ジュリアといっしょにものもあった。 | ジュリアといっしょのものもあった。 |
p.329 | 決して口に出されたのを効いたことがないのに、 | 決して口に出されたのを聞いたことがないのに、 |
p.339 | 顔の肉付きがマシ、 | 顔の肉付きが増し、 |
p.339 | ハゲた逃避ですらあまりに深いピンクだった。 | ハゲた頭皮ですらあまりに深いピンクだった。 |
p.340 | どんなチェス問題でも黒が買ったことは | どんなチェス問題でも黒が勝ったことは |
p.341 | オブライエンは行った。 | オブライエンは言った。 |
p.342 | 彼女が何か曰く言い型形で変わったのが感じ取れた。 | 彼女が何か曰く言い難い形で変わったのが感じ取れた。 |
p.358 | その言葉の存在により、どの範囲の単語がギャンセルできたかを明確にするということ | その言葉の存在により、どの範囲の単語がキャンセルできたかを明確にするということ |
p.358 | そのときいも望ましからぬ意味は | そのときも望ましからぬ意味は |
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