説明を「押し付ける」技術と「押し返す」技術
説明を「押し付けられた」経験はないだろうか。
「この変更は、今月中に対応してリリースすべきです。お客さんも喜ぶし、ウチの利益につながるので、絶対に必要です。逆に、なぜできないのでしょうか? できない理由を聞きたいのではありません。どうすれば間に合わせることができるのか、そのために何をすればよいのか、それを考えるのは、エンジニアの仕事でしょう!」
逃げられない会議の席上で、こんな風に言われたことはないだろうか。私はある。しょっちゅうだ。
そもそもスケジュール的に無理がある
変更のインパクトがどの程度なのか分からない
当初の予算内に収まるかも分からない
できない理由をしどろもどろに言わされて涙目になる。できないことが私の罪で、その罪を免れるための言い訳をしているような気にさせられる。
そんな私に、ぜひお薦めしたい本を、レバテックLABにまとめた。
詳細はリンク先に任せるが、私が失敗したのは、「なぜできないのでしょうか?」という質問に、答えようとしたから。
人というのは不思議なもので、「なぜですか?」と聞かれると、反射的に答えてしまうもの。そしてエンジニアというのは真面目なもので、できるだけ正確に答えようとしてしまう。
それは罠だ。
できない理由を裏返すと、それさえクリアすればできるから、それをクリアするための方法を皆で考えよう、という流れになってしまうから。「詳細が分からないから回答できない」と正確に答えようとすると、「じゃぁ明日じゅうに回答してね」と宿題になる。それおかしくない!?
正しくは、「その質問に、なぜ私が答えなければならないのか?」という視点だ。
いま進行しているプロジェクトは、決められたリソース内で、合意された成果物を生み出すためのものだ。それを、わざわざ変更したい、と言い出しているのは、営業(ないし客)だ。だったら、なぜ変更しなければならないのかについて、答えなければならないのは、言い出しっぺの営業(もしくは客)になる。
その変更に対応できる/できないとかの議論の前に、それを今しなければいけない理由を、きちんと説明してもらおう。
これは「立証責任のルール」と呼ばれている。要するに、言い出しっぺが証明しなければならないというルールだ。議論が上手い人は、立証責任を押し付けるのが上手い人だと言える。
これは悪用もできる。たとえ自分が言いだしっぺで、立証しなければならない場合でも、「あなたは反対なのですか? なぜ反対なのですか?」と質問することで、立証責任を相手に負わせることができる。本書では、立証責任の負わせ方、かわし方が沢山の事例とともに紹介されている。
私がぶつかってきた様々な障壁は、書籍という形で、抜け路・回り道・バックドアがあった。一人泣きながら何日も苦悩したり、周りとぶつかってぎすぎすしてきたことは、実は、数千円と数時間で「答え」が既にあったのだ。
そんなお薦め6冊をレバテックLABにまとめたので、ぜひ読んで欲しい。
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