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なぜ悪口は悪いのか『悪い言語哲学入門』

「おまえのカーチャンでーべーそ」が悪口なのは、すぐ分かる。しかし、「キミのお母さん綺麗だね、鶯谷で見かけたよ」が悪口になるかは、すぐには分からない。

「どういうつもりで言ったのか」が絡んでくるからだ。

鶯谷に風俗街があることを折り込み済みで語っているのであれば、「おまえの母親は着飾って風俗街をうろつくような女だよ」という悪意が透けて見える。悪意を問い詰めると、「単に事実を言ったまで。本当の事を言って悪いのか?」と居直られるかもしれない。

また、「バカ」という単語ひとつとっても、「バカぁん」と言い方を変えるだけで罵倒していないことになる。惣流・アスカ・ラングレーの「あんたバカぁ?」は、他のメッセージも伝わってくる。

「悪い言葉」があって、それを使うことが悪い、ということだけではなさそうである。言葉の使われ方や話者の意図、さらに使う状況によって、言葉は「悪く」なる。言葉の善悪について、言語学的アプローチから迫ったのが、『悪い言語哲学入門』になる。

トランプ一流の悪口

悪口の巧妙な例として、トランプ前米大統領のスピーチを紹介している。メキシコ移民について、排外主義的な発言をしたとされるこの一節だ。

When Mexico sends its people, they're not sending their best. They're sending people that have lots of problems, and they're bringing those problems with us. They're bringing drugs. They're bringing crime. They're rapists.

メキシコがアメリカへ送ってくるのは、最良の人々ではない。彼らが送る人々といえば、問題を抱えた奴らばかりだ。奴らは私達に問題を持ち込む。麻薬を持ち込む。犯罪を持ち込む。強姦犯だっている。

「移民=犯罪者」とするトリックが隠されており、反駁が難しいという。

なぜなら、何千万ものメキシコ移民のうち、犯罪者がゼロというのはないから。たとえ1件でも、麻薬の密輸が摘発されたなら、「ほら、俺が正しい」と言えるから。

もう一つ巧妙なのは、言い逃れができるという点にある。反対者に「全てのメキシコ人がレイプ犯だと言った」と糾弾されるが、「すべての」とは言っていないとして、批判をかわしている。

正しくは、「移民の一部には犯罪者もいる」と言うべきだろう。そして、「すべての移民は犯罪者である」というのは誤っている。

しかし、「移民は麻薬を持ち込む」「移民は犯罪を持ち込む」という「AはBだ」という断定を繰り返すことによって、「移民=犯罪者」と思わせることができてしまうのだ。

デカい主語には気をつけて

この「AはBだ」という言い方は、総称文と呼ぶ。

  • 蚊はデング熱を運ぶ
  • 男子は握力がある
  • チーターは走るのが速い

特徴や習性を記述した文章で、ヒトの認知システムがもたらす基本形式を反映したものになる。単純ながら強力であり、実際のところ、総称文を使わずに生活することはほぼ不可能だという。

重要なのは、総称文を使う時、単に出来事の報告だけでなく、ある社会集団の価値観(ステレオタイプ、偏見、認識)を表明している点にある。だから、総称文に出会った時、それはどんな価値観の表明であるのかを吟味する必要が出てくる。

シンプルな判断方法としては「主語がデカいとき警戒せよ」になる。

「日本人は」「男は」「高齢者は」で始まる表現は、すこし引いたほうが良いかもしれぬ。そこには、個人的な見解をグループ全体の総意としたり、少数しか当たらない事実を集団全体に当てはめていることがあるから。そして、中傷しながらも「本当のことを言ってるだけ」という言い訳も通してしまう可能性もあるから。

悪口とは何か

罵倒語を使っても悪口にならない場合がある。一方で、事実を述べても悪口になる場合がある。

では、悪口とは何か? 悪口の「悪」とは何なのか?

本書では、言語学的な事例を用いながら、悪口の言語行為を掘り下げる。単なる罵りや悪態だけでなく、相手をランク付けしたり、従属化させることも悪口に当たるとする。

さらに、罵り言葉を挙げながら、そこに共通する「相手を貶める」点を指摘する。

例えば、ムシケラ、悪魔など、卑小な存在だったり、邪悪なものを引き合いに罵倒する例が多々ある。つまり、相手のランキングを下げることが、悪口の機能なのだ。

そして、悪口の「悪」とは、あるべきでない序列や上下関係を作り出し、押し付けようとするところにあるという。本来であれば、人は平等な存在であるにもかかわらず、相手を貶め、低いランクづけにしようとする。平等という価値を蔑ろにしている点が、悪口の「悪」だというのだ。

言葉は「道具」というよりも「巨大な乗り物」

腑に落ちたのがこれ。言葉は、ハンマーのような一人で使う道具ばかりではなく、蒸気船や大型タンカーのようなものである可能性も考慮せよ、という指摘だ。

もちろん、言葉は個人が使うものだから、こうした「個人用の道具」でもある。

例えば「ことば狩り」という用語には、「刀狩り」のような、個人で使う道具のようなイメージがついてまわる。あるいは「寸鉄人を刺す」の寸鉄は、警句のような短い言葉だ。

しかし、個人が発した言葉がSNSやマスコミで増幅され、大きな影響力を持つようになったのも事実だ。「AはBだ」という言葉が、特定の社会的序列を作り出し、それを正しいものとして繰り返し使われるようになった場合、それはもはや、「個人の道具」どころではないだろう。

最初の発言者が退場しても、そのメッセージは残り続け、そのメッセージから派生する別の悪口が妥当なものとして登場するだろう。そして、そういう序列があるのだという、共通的な基盤が出来上がることになる。差別的な表現が無くなりにくいのも、言葉が個人の道具ではない証左になる。

私は無邪気に「バズる」と言うが、良かれと思った場合であっても、かなり恐ろしいことをしているのかもしれない。

「ことば」への見方をガラリと変え、すこし tweet に慎重になる一冊。

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読んで悶えて尊くて死ねるラブストーリー『僕の心のヤバイやつ』『純粋男女交際』『その着せ替え人形は恋をする』『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』

『僕の心のヤバイやつ』が好きだ。

中二病ど真ん中の「僕」と、学校イチの美少女のラブストーリー。青春の眩しさと後ろめたさに、うわああぁぁってなるよね。読むたびにゴロンゴロンして体力使うよね。

まだ読んだことがない? そりゃ幸せモンだ。お試しをどうぞ→[第一話]

ここでは、そんな青春の甘酸っぱさに身悶えする作品を紹介する。『僕の心のヤバイやつ』が好きな人にお薦めのやつ。

もどかしくってじれったい一方で、そんな青春が1㍈たりともなかった過去を塗りつぶし、エロスがグロスで汚れちまった今の心を浄化する、そんな作品ばかりだ。

ドキドキしすぎて心が保てなくなるか、あまりの輝きに灰化するか、選べ。

まず、ゴールがスタートのやつから。

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面白いことに、これが第1話の最初のページになる。

普通のラブストーリーは、すったもんだの挙句、カップルが成立するところで終わる。物語としての恋愛の本質は遅延であり、恋の成立をできるだけ先送りしようとする。

だが、『純粋男女交際』は、ここから始まるのだ。

ん? もう相思相愛なんだから、何も起こらないんじゃない? いや、言い方が正しくない。物語としての特殊性なんて無くて、カップルなんだから、やることは同じなんじゃない? いや、これは邪な言い方だな。デートしたり、まったりしたり、年頃の男女がするようなことをするだけじゃないのか?

違うんだなこれが。

二人とも礼儀正しくて、わきまえている優等生なんだ。互いに相手のことを思いやり、嫌なことはしたくない(でもリビドーはある)。なのでめちゃくちゃ気を遣い、気を遣う自分を意識して恥ずかしくなる。

そこに煩悶があり、葛藤がある。

結果、読者はニヤニヤが止まらなくなる。

もっと面白いのは、この物語と並行して、隣のクラスの日常が別のストーリーとして進むこと。男女6人による、色恋のカケラもない日々が淡々と描かれる。弁当代を節約する涙ぐましい努力や、半透明のトレーシングペーパーで折り紙する話とか。男子って、本当、バッッッカじゃねーのwww、と思えてくる。

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初々しい高校生カップルと、ゆるぐだな男女グループの日常のコントラストが眩しい。どっちの青春にも1㍈たりとも関わっていないので、羨ましい妬ましい。『純粋男女交際』は『日々是平坦』に収録されている。

お次はアニメ『その着せ替え人形は恋をする』である。コスプレ ✕ ギャル  ✕ 陰キャ男子の化学反応がめちゃくちゃ面白い。「クラスの美少女が俺にだけ優しい」という、誰もが抱く妄想をトコトン推し進めてくれる。

恋愛をした人ならきっと「わかる」と言ってくれると思うが、ほら、あるでしょ、あの「ぶわっ」とくる感覚。相手から風が吹いてくるような、なんかの圧(光?熱?視線?)を受け手、身体が刷新するような感覚。火照りとか、羞恥心とか、欲求(性欲含む)を自覚するのは、その後。

その「ぶわっ」とくる瞬間までは、そもそも自分が相手のことを好きかどうかも分からない。けれど、それが来たとき、「わかる」やつ。

『着せ恋』だと第5話のラストになる。光と影と音の演出が恐ろしいほどハマっている。その瞬間の顔を見切れている状態にしてジらした後、しっかりと彼女の表情を見せてくれる。これ神演出やな。

5話に限らず、もう何度も何度も周回している。これほど繰り返すアニメは、『TARI TARI』『花咲くいろは』『冴えカノ』以来。視ろ。そして悶えろ。

最後はライトノベル『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』だ。自堕落な生活を送る男子高校生と、たまたまお隣さんとなった女子高生の交流を、極甘に描いている。

TVアニメ放送決定とのこと。

素直じゃない二人が出会い、ぎこちない時を重ね、ゆっくりゆっくり関係性を築いていく。好意を抱いていても、それが「好意」であることから目をそらしたり、うまく伝えられずに煩悶する様は、見てるこっちがもどかしい。

マンションが隣で、毎日ご飯を作ってもらい、掃除もしてもらってるような仲なのに、「付き合っている」という自覚の無いところの破壊力が凄まじい。アテられている感がすごい。

読むたびに、「くそっ…じれってーな、俺ちょっとやらしい雰囲気にしてきます!」のセリフが頭をよぎる。相手を大事に思うが故に、耐え難き性春を耐え、忍び難きベーゼを忍ぶ。

じゃぁこれが「恋愛の遅延」になるのか?

恋愛を成就させずにストーリーを引き伸ばし、宙ぶらりんのままにするのかというと、そうではない。段階を踏みながら、時にはすっ飛ばして、二人それぞれの「自分の気持ち」に気づかせる。尊すぎて死者が続出するレベルやな。

リビドー全開のダークな時代だった私には、これほど光属性にあふれた青春を見ると心にクる。そういう、メンタルに灯油と糖分をぶちまける夜があっていい。これは、私を甘やかすファンタジーなんだから。

「完全なる純粋異性交際」とか「お隣さんが一人暮らしJKかつ同学年」なんて、ぶっちゃけありえない。だから、これはファンタジーなんだ、ありえない青春を上書きして幸せになるためのフィクションなんだ。

だから俺はこれを、青春ファンタジー(Seishun Fantasy:SF)と呼ぼう。

読んで悶えろ。観て死ぬがいい。尊すぎる青春ファンタジー。

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いま本を書いている人、これから書く人の宝物となる一冊『本を書く』

いま本を書いている人、これから書こうとする人、あらゆる「書く人」にとって、宝物となり、お守りとなる一冊。

作家が答えるべき2つの問い

巷に数多に散らばっている、量産型のハウツー本ではない。もっと根っこの、書く意志を焚きつけるメッセージが連なっている。「本を書きたい」人は、ぐっと背中を押されるだろうし、「いま書いている」人は、挫けそうな心を励まされるだろう。

どの本を書いているときでも、作家は二つの問いに答えなければならない。この本は完成するだろうか? そして、私にそれができるだろうか?

もちろん、だれも保証してくれない。

書き始めの興奮がおさまってくると、この疑問が沸き上がってくる。どんなに書いても終わらない日々が続いたり、書くべきことが言葉にならずにぐるぐる廻っていると、この不安が沸き上がってくる。

そして、何かとんでもない間違いをしでかしているような気になってくる。部分的な修正では対処できない、本の全体におよぶ構造的な問題に陥っているのではないか。あるいは、まるっきり見当違いのことを追いかけているのではないかと。

この問いについて、正解はない。抱えている不安も込みで、この問題に対処できるのは、書き手その人だけだから。構造的な問題を見つけ出し、欠陥があれば、それを最小限にする方法を考える(場合によっては書き直すことも辞さず)。

書く仕事とは薪割りのようなもの

書く「コツ」みたいなことは書いてない。だが、「書くということはどういうことか」をうかがい知ることはできる。

ソロー『森の生活』を見習って、やったことのない薪割りに挑戦するシーンなんてそうだ。

カナダの片田舎に引きこもって執筆するのだが、冬は極寒となる。「薪は人を二度暖める」と言ったソローを実践し、薪割りに励む。しかし、激しい労働の結果、木っ端にまみれ、ザクザクとなった木片ができあがる。

何度か失敗をくり返した後、夢のお告げであることを知る。それは、「狙いを薪割り台に定めること」だ。割ろうとする木のてっぺんではなく、「台」を狙って振り下ろすのだ。

薪割り台に乗っている木を、まるで透明なものであるかのように素通りしなければ、その仕事を片付けることはできない。

薪割りエピソードは伏線で、薪と台の関係は、ヴィジョンと作品の比喩として語られる。

ヴィジョンとは、書こうとする意志のコアになる。その外面は、問いや落書きで埋めつくされたメモや、本に引かれた傍線や(手書きの)注釈だったりする。だが、それをそのまま紙に書きつけようとしても、言葉はまとまらず、バラバラな木っ端になるだろう。

だから、ヴィジョンを明確に心に置いたまま、まるで透明なものであるかのように素通りして、作品に集中するのだ。

取っておくな、使い尽くせ

テクニカルなものは無いが、心構えのようなアドバイスはある。

「自分の骨を知れ」や「いまにも死にそうな人のように書け」、あるいは「自分が愛するテーマではなく、自分だけが愛するテーマを探せ」とか、「取っておくな、全て使い尽くせ」など、𠮟りつけ、励まし、尻を叩き、手を引っ張る。

そして、どんなに書くのに苦労しても、どれほど愛着がある文章であろうとも、それを入れることで全体が弱まるのであれば、大胆に捨てろと言い切る。これには勇気が要るけれど、それをしなかったが故に、水増しされた本がなんと多いことか。

それでも、書くのは自分だ。なにをどう書くのかも含めて、書き手の仕事である。お手軽なヒントを求めようと縋りつく人には、「プロセスに意味はない。跡を消すがいい。道そのものは作品ではない」とバッサリ斬りおとす。

この章の最後に、ミケランジェロが弟子に宛てた手紙が引用されている。こうある。

「描け、アントニオ、描け、アントニオ 描け、時を無駄にするな」

私自身、本を書くという長い長い作業をしているとき、支えとなった。挫けそうなときに開くだけで、薪をくべ、心を燃やし続けることができた。

本書は長らく絶版となっていたが、この度復刊された。旧版はべらぼうな中古価格となっていたが、ようやくお薦めできて嬉しい。

どのページを開いても、勇気づけられるメッセージが並んでいる。『本を書く』は、あらゆる「書く人」に贈りたい。

 

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脳汁あふれる英単語パズル「Wordle」

Wordleは、5文字の英単語を当てるパズルだ。脳汁ドバーってなり、中毒性が高い。

調子が良いと10分で解けるが、長い場合、1時間くらい悩まされる。単語力だけでなく、推理力、閃き、戦略性も必要とする、窓口広く、奥深いパズルだ。

  • 5文字で成立する、1つの英単語を当てる
  • 6回まで挑戦できる
  • ヒント1:その文字が無いとき、灰色
  • ヒント2:正しい文字が正しい場所にあるとき、緑色
  • ヒント3:正しい文字だけど、場所が違うとき、黄色

やってみせるほうが早い。こうだ。

最初は適当な5文字の単語、例えば「YOUNG」を入れる。するとこうなる。

Wordle002

「N」だけが緑色になって、他の文字(Y、O、U、G)は、灰色に変化している。「N」が緑色になっているのは、これが正解の単語の4番目に位置する文字であることを示している。他の灰色の文字は、正解の単語には使われていないことを意味している。

ここから考えるのは、灰色に変化していない文字から、単語を組み立てる。「SWEAT」を入れてみる。するとこうなる。

Wordle003

「T」が緑色になっているので、5番目に位置する正しい文字だ。なので、正解の単語は末尾が「NT」で終わることが分かった。

さらに、「A」が黄色になっている。これは、「Aという文字は正解の単語に含まれているが、この場所(ここでは4番目)ではない」ことを意味する。

4番目と5番目が「NT」であることは分かっているから、「A」は、1、2、3番目のいずれかに入ってくる。こんな感じだ。

 A??NT
 ?A?NT
 ??ANT

まず、「A??NT」。Aで始まってNTで終わる単語……思いつかない。探せばあるだろうが、ちょっと留保。

次に、「?A?NT」。2番目にAがくるパターン。これはありそう。なぜなら、子音+母音の組み合わせはありがちだから。「PAINT」や「SAINT」が浮かぶ。

そして、「??ANT」。3番目にAがくるパターン。これよく見かける。接尾語「-ant」はよくあるから。だが、5文字という制約があるので、「GIANT」とか「PLANT」とか。

ここで、灰色に変化した文字が効いてくる。「SAINT」の「S」や、「GIANT」の「G」は灰色になっているので、これらは無い。なので、「PAINT」と「PLANT」のうち、「PLANT」に賭けてみる。

Wordle004

この時点で分かっていること。

  • 正解は、「??ANT」
  • 灰色の文字は使えない
  • 英単語である 【←重要】

言い忘れていたが、いい加減な文字を入れることはできない。5文字で一つの英単語として成立している必要がある。

ここで、戦略が問われてくる。

  1. まだ灰色になっていない文字、例えば「C」や「M」を使った単語を作ることで、文字を絞り込む戦略
  2. 末尾が「ANT」で終わる単語を総当たりで入れる戦略

「末尾ANT総当たり」だと、思いつかないので、文字を絞り込む戦略を採る。この時のコツは、「できるだけ灰色の文字を避ける」ことになる。使える文字を減らすのが目的だから、使えないと既に分かっている文字を使ってしまったら、もったいないからね。

私はここで、「CHILL」を入れたが、悪手だ。なぜなら、「L」は既に使えないと分かっているから。しかも2文字も使ってしまっているので、非常にもったいないことをしている。ただ、これしか思いつかなかったのだ。

Wordle005

ただし、結果オーライとなった。「CH」は正しい文字が正しい位置にあることが分かり、正解は「CHANT」だね。

今回は、比較的早い段階で、緑や黄色に変わったが、数手進めても全部灰色ばかりの場合がある。すごく焦るのだが、これはヒントにもなる。つまり、以下の方向性が出てくるのだ。

  • 使える文字が絞り込まれているため、4手目からアナグラムの問題として対応できる
  • 同じ文字が使われている可能性がある(「VIVID」とか「MIMIC」とか)

こんな風に緻密に考え推理しながらもできるし、使える文字が減っていく中で単語を思いつくゲームとしても遊べる。

知らない単語だったら解けない、といった印象もある。確かにスラングが正解という場合もあった。だが、英語的な綴りを推理する力からアプローチすることもできる。例えば、通貨のルピー(rupee)は綴りを知らなかったが、推理だけで解けた(ここがまた脳汁出るところ)。

もう一つ、絞り込むべき「場所」について。

先頭、中ほど、末尾のうち、どこを優先して絞り込むべきか。他の空き具合にもよるが、優先すべきは、先頭と末尾になる。

たとえば、「PA??T」よりも「?AIN?」の方が難しく「GI??T」よりも「?IAN?」の方が難しいと感じるだろう。それは、私たちが単語を読み解くとき、先頭と末尾で判断する傾向があるからだ。

これは、単語の頭と末尾が正しく、真ん中を入れ替えても読めてしまう現象(タイポグリセミア/Typoglycemia)に関係しているのかもしれない。そのため、まず先頭、次に末尾を攻略しよう。

全力で考えていると、時と溶かす危険なパズルであるが、うまい具合に、1日に1題しか出題されない。

Wordle、お試しあれ。

 

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