BRUTUS「大人の勉強案内」が良かった
なぜ勉強するのか?
わたしの場合、知りたいことを知ろうとしているだけで、「勉強している」という意識は少ない。それを知るのに英語が必要だから学んでいるだけだし、より深く知るために背景知識に当たっているだけ。
だから、より効率の良い学習法や、学びなおしが必要なジャンルを紹介されると、嬉しい。そんなわたしにピッタリの特集を、BRUTUSでやっていたのでご紹介。
好きなものを好きなだけ学ぶ(読書猿)
学ぶための動機付けから始まり、時間管理、資料の探し方、暗記術、継続して学ぶヒントなど、「独りで学ぶ」ためのあらゆる技法が詰まった『独学大全』(レビュー)。その著者の読書猿さんのインタビューが紹介されている。
『独学大全』は700ページを超える辞書並みのぶ厚い本で、その形状から「鈍器本」と呼ばれている。あまりのぶ厚さに敬遠している人は、この記事を読むといいかも。この記事そのものが、『独学大全』の良いイントロダクションとなっているから。
例えば、スキミングの技術。本は全部ちゃんと読まなくてもいいという。一冊の本、一つの文章から、必要な箇所だけを掬いとって(スキミングして)読む方法が紹介されている。だから、この記事を手がかりに、『独学大全』そのものをスキミングしてもいいわけだ(著者自身も推奨している)。
あるいは、「独学は挫折する」と言い切っているところ。「僕も毎日どころか10分ごとに挫折してますから」と苦笑ぎみに答えている。大事なのは、挫折も織り込んだ上で、失敗からの立ち直りを早くすること。今はダメでも、「未来の自分は今より賢い」という姿勢を保ち続けること。これは勇気づけられる。
『独学大全』の紹介だけにとどまらず、彼自身がやってきた失敗談も交えつつ、最終的には「なぜ学ぶのか」への実質的な答えが記されている。全面同意するが、ここでは書かないので、BRUTUSでチェックしてほしい。
対話で学びが深まる(山本貴光・吉川浩満)
そうだよなーと最近、実感しているのがこれ。一人で机に向かうだけでは限界がある。知ったことを誰かに話し、フィードバックを受けることで、さらに広げ・深める。
文筆家の山本貴光さんと吉川浩満のお二人の対談が紹介されているが、この記事がそのまま学びを深めるヒントとなっている。お二人は、古くからの友人であり、共著者であり、共に学ぶ仲間でもあるという。最近では、Youtubeで対談しつつ、まとまったものを著書にして出すというスタイルで活動している。
この記事では、お二人が対談しながら、「ドゥルーズ&ガタリ」や「荒川修作&マドリン・ギンズ」を例に、対談しながら学びを深めるエピソードが紹介されている。
「結論」が決まってるなら、そのまま書けばいい。だが、そこへ至るまでの紆余曲折やプロセス自体が重要な場合が出てくる。これを対談形式で進めることで、想定される反論を吟味したり、議論を修正することで、よりブラッシュアップすることができる。
例えば、共著である『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。』がそうだ。古代ローマの賢人・エピクテトスの教えを、お二人で読み解いてゆく。生きていく上で、悩ましいこと、煩わしいことが出てくる。どうすれば良いか? 結論を言うだけなら簡単だ。
コントロールできることと、コントロールできないことに分ける。そして、コントロールできないことには関心を持たない。
そんなことは分かっている。それができたら苦労はしない。じゃぁ、どうすればこの結論を活かせるか、が問題になる。本書では、新任の年下の女上司に対するモヤモヤや、電車遅延に怒鳴り込むオッサンを例に、対話しながら領域展開していく(レビュー)。
図書館司書から学ぶ検索術(小林昌樹)
図書館のレファレンスサービスをご存知だろうか。知りたいことはあるけれど、それをどうやって調べれば良いかが分からない場合、調べもののプロである司書が手助けしてくれるサービスだ。
ググればよい、という人。じゃぁ、「最近の若者はダメだというグチは、どれくらい古くからあるか?」という疑問をググってみるといい。エジプトの壁画など怪しげなネタを取り除くと、プラトン『国家』に行き着く。これ、わたしが書いた[この記事]を出所としている。そしてこの記事は、品川図書館のレファレンスサービスで調べてもらったものだ。
BRUTUSでは、図書館情報学の小林昌樹さんが、レファレンスサービスを紹介している。司書の目から見ると、ネットでは探せない情報が確実に2つあるという。
一つは、ネット普及以前の情報。1995年以前の事柄全般は、ネットには無い。あったとしても、それは何か(たいていは書籍)を元にした情報となる。もう一つは、Googleが情報収集していないデータベースの類いになる。そうした情報は、国会図書館のリサーチ・ナビから分野ごとのデータベースに列挙されている。
ネットは便利だが、調べ方によってノイズだらけになったり、エコーチェンバーになることもある。司書がネットをどのように使っているかは、『プロ司書の検索術』がよさそう。
他にも、松岡正剛編集『情報の歴史21』の紹介や、図鑑の図鑑、地球外生命体を探求する関根康人さんの話、Youtube大学、Wikipediaの歩き方など、もう一度学びたい人のための役に立ちそうな情報が集められている。優れた独学人を探す、「人のカタログ」としても有用なり。これ、シリーズ化してほしいなぁ……
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コメント
「学ぶ」からは何かを学ぶ事ができるかも知れませんが、「学ばない」からこそ学べる事もある気がします
最近うどんを捏ねるのがマイブームです
うどんのレシピを読むより、グルテンについて学ぶより、捏ねる
ただ捏ねる
無心で捏ねる
その方が美味しいうどんができました
パンは捏ねすぎるとダメです
美味しいは正義です
投稿: | 2021.07.06 18:51
追伸
( ・∀・)つ【キッチンの悪魔】
投稿: | 2021.07.06 18:54
もういっこ追伸
( ・∀・)つ【習得への情熱-チェスから武術へ-】
これめっちゃ良かったです
投稿: | 2021.07.06 18:57
更に追伸
( ・∀・)つ【HOW DESIGN MAKES THE WORLD デザインはどのように世界をつくるのか】
さっき読み終えたばかりです
滅茶苦茶面白かったです
仕事・人生・勉強などで躓いた時、悩んだ時、疑問を抱いた時に役に立つと思います
本は薄いし、文章は読みやすい、そしてユーモアと皮肉の効いたジョークが満載(4ページおきに必ず笑えました)
私が最も笑った所を転載します
P205:行動に移す より
行動に移す-世界のデザインを- 以前するためにあなたができること
世界は広い。この本はちっぽけだ。そこで、良いデザインの重要性をよりたくさんの人に理解してもらえるよう、力を貸してくれないだろうか?
あなたにできることが次のとおりだ。
・本書を知り合いのリーダーやインフルエンサーに紹介する。
・アマゾンにレビューを書き、ひとりでも多くの人に読むように促す。
もうこの本が役に立ちましたw
この本のデザインが素晴らしい証しだと思います
投稿: | 2021.07.08 06:53
>>( ・∀・)つ さん
いろいろオススメありがとうございます!
特に『デザインはどのように世界をつくるのか』が気になります。『インタフェースデザインの心理学』や『誰のためのデザイン』のアップデート版の印象を持ちました。ぜひ読んでみたいです。
デザインの科学『インタフェースデザインの心理学』
https://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2014/03/post-87ab.html
投稿: Dain | 2021.07.10 11:17