やりたいことは全部やる『キミオアライブ』
病院のベッドで、ひたすらノートに書く少年。
大病を患い、未来に絶望しかない状況で、「やりたいこと」を書き続ける。リストには、たくさんの「夢」が並んでいる。
- リコーダーを吹きたい
- 風船の中に入ってみたい
- 自分で考えた物語を本にしたい
- 部屋中を使ってピタゴラ装置をつくりたい
- 空を飛びたい
………………
ささやかな願いから、とんでもない冒険まで、さまざまな夢がある。
あなたは、こんな「やりたいこと」リストを作ったことがあるだろうか?
わたしはある。むかし「夢ノート」が流行ったとき、やりたいこと、行きたいところ、食べたいものなどを綴った覚えがある。リストを作り、名前を付けて保存した。それから十年にもなる。
しかし、少年は違う。名前はキミオ、『キミオアライブ』の主人公だ。
- ノートに、やりたいことを書く
- 書いたことは、必ず実行する
- 実行したら線を引く
キミオは、律儀に、真面目に、一つ一つ、実行していく。
「リコーダーを吹く」は簡単にできるが、ピタゴラ装置はちょっと大変かも。さらに、「空を飛ぶ」のはもっと難しい。飛行機に乗ればいいのか? あるいは、[ジェットマン] や [ウイングスーツ] みたく、命をカネをかけて飛ぶのか?
できない理由ではなく、できる方法を探す
しかし、キミオは違う。別の方法で「空を飛びたい」を実現する。
ここが、キミオとわたしの大きな違いだ。
わたしは、「やりたいこと」が浮かんだとき、まず、その「できない理由」を探し始める。お金が無いから、もっと時間があったなら、スキルが足りない、仲間が必要、そもそも法律で許されているの? なんて考えてるうち、名前を付けて保存したくなる。
一方、キミオはこう考える。「もしそれを実現できるなら、どんなやり方がある?」と考える。あるいは、「何が実現されたなら、『できた!』になる?」と考える。そして、できる方法を探し始めるのだ。
やりたいことで、生きていく
この発想力と企画力、そして実行力がすごい。
最初は呆れて馬鹿にしていた周囲の人も、だんだんとキミオに巻き込まれてゆく。
その一方で、キミオ自身も、自分のためだけではなく、仲間と一緒に企画して、知恵を出して実現する喜びを知る。さらに、「あの人の笑顔が見たい」という新たな「やりたいこと」を見出す。
そして、この喜び、楽しさ伝える、動画配信という方法があることを知る。動画配信は、「やりたいことで、生きていく」ための強力な武器になりえる。
後に、チャンネル登録数1000万人を超える youtuber となるのだが、それはまた別のお話らしい……
今をやり直す
『キミオアライブ』の第一話を読んだとき、以下を初めて読んだときと同じ衝撃を受けた。
きっとお前は、二十年、せめて十年でいいから、
戻って人生をやり直したいと思っているのだろう。
今やり直せよ、未来を。
十年後か、二十年後か、五十年後から戻ってきたんだよ、今。
第一話は、『キミオアライブ』 から読める。
第一巻は、コロナで書店が閉まっていた時期に発売され、気づかなかった。読書猿さんが呟いてくれたおかげで、知ることができた。読書猿さんありがとう! おかげで、「やりたいこと」をやらなかった十年後から、今に戻ってくることができた。
人生の持ち時間は少ない。やりたいことは、全部やろう。
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コメント
恵口公生さん8月に亡くなったみたいです。
投稿: | 2020.09.09 14:49