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猫好きは本好きである『文豪の猫』

 猫が好きな人は本が好きである。

 これ、わたしの友人を通じて知ってた。猫を飼っていたり、飼ってはいないけど猫に寄ってこられる人は、必ずと言っていいほど本が好きなのだ。文筆業に携わっている人も猫率が高いので、都市伝説というより定説の一種だと考えていた。

Bungounoneko

 ところがこれ、実証されていたらしい。米国のfacebookユーザを対象に、2016年に行われた調査が、本書で紹介されている。自分のペットの写真を公開している16万人のデータを集計した結果、猫を愛する人が本好きであることが極めて多いという結論が導き出されている。

 この定説が、作家にも当てはまるのを示した写真集がこれ。古今東西の作家と猫のツーショットを集めた、猫愛あふれる写真集。猫好き作家といえば定番の人から、意外なあの人まで楽しませてくれる。

 面白いのは、作家と猫の関係性。おそらく猫と一緒のところを撮るからというリクエストがあったのだろう。イメージとかけ離れた甘い顔の作家と、なんだかイヤそうにしている猫の写真が多い(表紙はトルーマン・カポーティ)。

 たとえば、猫好きの定番といえばマーク・トウェイン。可愛がっていた黒猫が失踪すると、新聞各紙に尋ね猫の広告を出したというし、「ネコを愛する人となら、わたしは友人として、同士として付き合える。堅苦しい紹介などいらない」という言葉も遺している。彼の猫好きを知ったファンが、適当な猫を連れて押しかけたというエピソードも面白い。

 意外な組み合わせといえば、チャールズ・ブコウスキーと猫。猫と一緒に相好を崩す姿が微笑ましく、またブコウスキーを見上げる猫の表情がまた可愛い。「猫をたくさん飼う人ほど長生きできる。100匹いれば10匹いるより10倍は長く生きられる。1000匹飼う人が出てきたら、永遠に生きるようになるかもしれない」なんて、どれだけ好きなんや。

 また、スティーヴン・キングは大の猫好きで、『ペット・セマタリー』の猫が車に轢かれるエピソードは、彼の飼っていた猫が元になっていることを知って驚く。他にも、村上春樹、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、レイ・ブラッドベリといった大御所と猫の姿を見ることができる。作中の猫と重ね合わせて見ると、一層楽しめる。

 猫好き作家の写真集だと『作家の猫』があるが、こちらは日本の作家が中心となる。ポイントは、作家「の」猫であること。つまり猫に焦点が当たっているのである。「犬は?」という人は、姉妹本の『作家の犬』と比べてニヤニヤするといいかも。猫好きは本好きかもしれないが、本好きは猫好きと犬好きと両方とも好きがいるから。


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