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人生を変えた一冊 『箱』

 品川駅の、HENNGEのメッセージが、好きだ。


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 駅をジャックするかのように、吹き抜けのデカイ看板、デジタルサイネージ広告がある。目に付くところ大きな広告であるにもかかわらず、モノトーン+簡潔なメッセージなので、逆に目立つ。なかでも、中央改札入ったとこの、日替わりメッセージが良い。


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 もとはHDEなのが、社名がHENNGE(へんげ)になるとのこと。スゴ本オフでお世話になっているので気になっていたのだが、このメッセージは刺さる。全部のメッセージは[あなたが変われば、世界も変わる。]で確認できる。


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 変化のメッセージといえば、イチロー「変わらなきゃ」、オバマ「Change」が浮かぶ。そこでは、ある種の覚悟や切実さでもって変化(へんか/Change)が求められている。いっぽうHENNGEでは、もっとコロッと、自由に気軽にお試しで、変化(へんげ/Metamorphose)することが誘われている。人はもっと変われるし、化けたほうがいい。


人生を変える一冊

 なぜなら、わたし自身、何気なく手にした一冊が、人生を変えてしまった経験があるから。

 それは、『箱』という本だ。ある時期、人間関係で非常に苦しい思いをしていたとき、本書に出会った。なぜ伝わらないのか、どうして分かってもらえないのか、こいつバカなのか!? と激しく悩んでいたのだが、一読し、一変した。

 一言で言うと、自己正当化と自己欺瞞の話だ。

 自己正当化は人間の仕様である。だが、自己正当化という仮面を人生の目的にしてしまうと、仮面を守るために自分に嘘を吐くようになり、ひいては自己欺瞞に乗っ取られる。そうなる前に、自己欺瞞(本書では箱と呼ぶ)に気づく方法が書いてある。

 急いで付け加えねばならないのが、「箱」は殻でもATフィールドでもない。「箱」は、殻でもATフィールドにもなれるが、それ以前の「自分が正しいという感覚」のようなものだ。もう少し詳しい説明は、[5冊の本が、わたしを自己正当化から自由にしてくれた]に書いたが、この感覚は、実際に読んで自分で体験してくれ、という他ない。


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5冊の本が、わたしを自己正当化から自由にしてくれた


自己欺瞞に気づくだけで楽になる

 自分で自分に吐いた嘘は気づけない。

 なぜなら、自分が「正しい」から。その「正しさ」が何にもとづいているのか、どんな根拠でなぜ「正しい」と言えるのか、深く掘り下げて考えてゆくと、わたし自身が揺らぐところまで降りることができる。そして、その嘘がバレる瞬間は、かなり気まずいし、恥ずかしいし、情けない。自分への裏切りに気づく瞬間は、恐怖以外の何ものでもなかった。

 しかし、『箱』を読み、「箱」に気づくことで、変わった。もちろん一回読んだだけで万事解決、というわけにはゆかぬ。何度も何度も、毎日のように「箱」に気づき、それを守るための人生を選ばないだけで、変わった。「箱」を意識することで、これまであたりまえのようにしていた防御や牽制、(箱を守るための)攻撃的な姿勢が、なくなった。



復刊後のタイトルは『自分の小さな「箱」から脱出する方法』


 要するに、楽になったのだ。自分で自分を苦しくしていたのだ。自分の首を絞めていた手に気づいて、やめたのだ。このままだと、自分を破壊していたかもしれない。この変化、へんか(Change) というより、へんげ(Metamorphose) に近い。

 たった一冊の本が、ここまで変えることは、珍しい。そして、どうやって自分がこの一冊にたどりつけたかを考えると、ほとんど奇跡のようだと思っている。


自分を変化(へんげ)させる一冊

 もともとは、[まなめはうす]のまなめ王子が絶賛していたのがきっかけ(14年くらい前?)。気になって調べてみたところ絶版状態で、Amazonでは8,000円くらいの値がついていた。

 図書館に駆け込むが、予約待ちが何人も入っているのに驚いた。発売当初の新刊に、予約がむらがることはありがちだが、当時からしても昔の本なのに、待っている人がいるというのは珍しい。これ、クチコミなどで広まった、隠れた需要があるということだともいえる。

 ずいぶん待たされた挙句、ようやく借りて読んでガツンとやられた。

 そして、8,000円は惜しいので原書を買い、「こんなスゴい本がなぜ絶版なんじゃ~」と出版社に電凸し、復刊ドットコムを教えてもらって働きかけたことがある。その甲斐もあってか、復刊されることとなり、好調に部数を伸ばし、シリーズ化もしているようだ。このあたりの事情は、まなめ王子が[箱本の思い出]で書いてくれたおかげで、思い出した。

 以後、出会う人出会う人ごとにお薦めしている。これ、あらゆる人にオールマイティに薦められる、珍しい本なのかもしれぬ。なぜなら、世界で最も重要な人、すなわち自分自身と向き合い、楽に変われる方法が書いてあるのだから。この変化の別名は、適応というのかもしれぬ。

 自分が変われば、世界が変わる。その意味で、世界を変える一冊なのかもしれぬ。わたしの人生を、わたしの世界を、よいほうに変えてくれる一冊に出会うことができたのは、まなめ王子のおかげ。このブログのタイトルの通り、わたしが知らないスゴ本は、まなめ王子が読んでいたというやつ。どれだけ感謝しても感謝したりないくらい。

 よい変化(へんげ)で、よい人生を。

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