NO BOOK, NO LIFE 良い本で、良い人生を
人生に本はつきものであり、本のない人生はありえない。
タワレコの ”NO MUSIC, NO LIFE” もそうだが、「本」も然り。そして、ジャンルやカテゴリーに囚われることなく、「好きな作品」を増やしていく。そうやって「好き」を増やすことが、世界を拡げることになり、結果、人生の中を愛すべきもので一杯にする。「本は人生を豊かにする」本質はここにある。
だから、「ジャンル読み」と称して、「その分野の本しか読まない」と決め打ちするのはもったいない。いわゆる「プロの書評家」に見かけるが、ジャンルを絞ることで、「好き」を減らし、世界を狭め、最近は小粒ばかりと嘆く、井の中の蛙の大将となり果てているのを見ると、気の毒になるとともに、反面教師として合掌したくなる。
そして、具体的にどう「反面」するかというと、たとえばノージャンルの「本の本」に出会いを求める。『NO BOOK, NO LIFE』は、そんな出会いにうってつけである。
よくある海外文学とかSFといったジャンル別ではなく、「本を手にするときの気分」や、「人生にどんな栄養や影響を与えたか」といったテーマ毎に、それぞれのイチオシが紹介されている。
しかも、書店員や編集者といった本のプロが本気で選んだものだから、絶版になっているものもある。「なぜそれか」という熱量がすごいので、図書館や古本屋を探してまでも読みたくなる。
いくつかテーマをピックアップしてみよう。あなたの気分や好みに合うものが、きっと見つかるはず。既読が出てきたら嬉しいし、未読が出てきたらもっと嬉しい。
- 3回読んで3回とも泣いてしまった本
- 電車の中でうっかり声をだして笑ってしまった本
- 完全に騙された、まさかの結末に驚愕した本
- 人生を変えた運命の一冊
- ボロボロになるくらい擦り切れても何度も読み返したくなる本
- 企画・アイデアが斬新すぎる、こんな本は今までに無かった本
- 50年後も「紙」で読みたい本
- 絶対に会いたくない悪人に出会える本
たとえば、「電車の中でうっかり声をだして笑ってしまった本」として、三島由紀夫『不道徳教育講座』が紹介されている。「弱い者をいじめるべし」「友人を裏切れ」「痴漢を歓迎すべし」など、良識に反するタイトルがならんでおり、鋭い知性から吐き出された「毒」がその理由を裏付ける。世間に横行する、鼻持ちならない偽善に対するカウンターがいちいち刺さる、ユーモアと機知に溢れたエッセイ集なり。
あるいは、「50年後も「紙」で読みたい本」としてミヒャエル・エンデ『はてしない物語』が紹介されている。わかる! あれは物語に出てくる、あかがね色の表紙の「はてしない物語」という本が重要な役割を果たしているのだから(したがって、あかがね色のハードカバー版が絶対であり、後に上下版になった文庫版は却下だ却下、なんで出したんだろうかねぇ……)。モノとしての本が、これほど人生に影響を与えるのかを考える上で最良の例かもしれぬ。
自分の好みや気分に合わせ、パラりとめくってみて欲しい。落ち込んだ自分を元気づけてくれたり、価値観を180度変えたり、知らない世界への扉を開いたり、あるいは人生そのものを変えてしまったりする本に出会えるかもしれぬ。
人生に本はつきものであり、本のない人生はありえない。NO BOOK, NO LIFE、良い本で、良い人生を。
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