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最も危険な読書会(B&Bでブックハンティング)

 下北沢にあるビールが飲める書店「B&B」で読書会をしたので報告する。結論から述べると、積読山がさらに高くなっただけでない。本を通じて知らない人と友になり、友人とはもっと親しくなる、素晴らしい読書会だった。B&B マジおすすめなので、松丸本舗難民は皆行くように。

『別冊 諸星大二郎』が大幅に!

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 ふつうの読書会は、ある一冊の本を決め、参加者はあらかじめ読んできて、その本について批判や議論を展開する。スゴ本オフは、あるテーマを決め、それに沿った本を持ってきて、お薦めポイントや作品への愛を語る。だが、今回やったブックハンティングは、書店の棚を皆で巡り、気になる作品やお薦めを、互いに紹介しあうのである。

日曜の朝から女性器とか巨乳について語り合う

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 本が好きな人は、孤独な狩人である。静かに書店を巡回するのが常である。それが、店を借り切り、皆でワイワイおしゃべりしながら宝探しする。いつもなら見過ごしていたジャンルや、スルーしていた棚に、実はストライクゾーンど真ん中の作品が潜んでいることを教えてもらう。

棚ごと欲しい(その1)

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棚ごと欲しい(その2)

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棚ごと欲しい(その3)

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 ふつうの読書会なら一冊だけ、スゴ本オフでも数冊という限界が、「書店全部」に拡張される。さらに、ただでさえ面白そうな本がセレクトされている B&B ですると、お財布がトンでもないことになる。ブックハンティングが、「最も危険な読書会」と呼ばれる理由は、おわかりいただけたであろうか。

水声社の充実度が素晴らしい

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何度も挫折している2冊

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これも何度も挫折している(難しい)

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 まだ松丸本舗があった頃、[松丸本舗でブックハンティング]して「6時間ぶっ通し書棚巡り」なんてムチャもしていたが、今回は2時間に限定した。一瞬だったので、隣のサイゼリアで延長してブックトークしてきた。

これは読むだけでなく「使う」本

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 これは読みたい! と強烈に思ったのが『別冊 諸星大二郎』なり。2011年発行されたムックに100頁の新規掲載を加えマシマシ状態となっている。「暗黒神話」「孔子暗黒伝」「妖怪ハンター」「マッドメン」「西遊妖猿伝」「栞と紙魚子」「諸怪志異」など、55作品を徹底解説、全351作品リストも最新化されている。しかも、いま銀座の[スパンアートギャラリー]で原画展をやっていて、6/10までなので、早々に行かないと(紹介したOさんはこのあと銀座に向かった)。

 何度もお薦めされ、読もう読もうと思ってて、今回も強力にお薦めされたのがダニエル・エヴェレット『ピダハン』。ピダハンはアマゾンの奥地に暮らす少数民族で、そのユニークな言語と認知世界を描き出したノンフィクション。ピダハンの文化には「左右」「数」「比較」の概念がない。伝聞もなく、すべては自分の経験として語られる。面白いだけでなく、私たち常識だと思うものが「無い」のではなく、別の概念で世界が成り立っているのだという気付きも得られる。ところどころで言語学者チョムスキーをディスってて、そこも読みどころだという。

狩りの獲物

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『星の王子さま』とゲイの共通点は......

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ボレスワフ・プルス『人形』は端的に言って鈍器

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『陰影礼讃』の写真集!

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『うちは精肉店』は素晴らしい

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『ブッチャーズ・クロッシング』は傑作

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 全く知らない、でも凄いのに出会えたと確信を持ったのが、シオドーラ・クローバー『イシ』だ。北米最後のインディアンを描いたノンフィクションである。白人の迫害から逃れ,山中に隠れ住んでいた一人の男が、文明社会に姿を現わす。文化人類学者のアルフレッド・クローバーは、自分の名前を明かさない彼の面倒を見て、友達になろうとする。このアルフレッドと、著者シオドーラが結婚してできた子が、アーシュラ・ル=グウィンといったら話ができすぎだが、本当のことである。真の名を明かすことは本質を捉えられることだとしたゲドの物語とつながってくる。

 ピピピッと来て衝動買いしたのがスチュアート・ダイベック『シカゴ育ち』である。ユーモアにあふれ、美しく、温かく、緩急自在の7つの短編集とのこと。紹介するTさんが本当に嬉しそうに熱っぽくお薦めするのと、訳した柴田元幸さんが「これまで訳したなかでいちばん好きな本」と断言してるので、これは読まねばと即決した次第。人生初のレイモンド・カーヴァーやポール・オースターと同じ印象を受けたのだが、こういう直感はたいてい当たる。楽しみなり。

わたしの獲物

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 わたしが選んだのは、山本貴光『文学問題(F+f)+』である。世に出た瞬間、手にする前からスゴ本だと思っていたが、積読山に埋もれさせるのが嫌で買わなかった。だが、買わないと読まない本だということが分かったので、この機に背伸びする。文学とは何ぞや? それは、F(観念)+f (情緒)であるという漱石の議論を下地に、古今東西の文学論を総ナメし、これからの文学を語る。通読するだけでなく、読んだ後は「引く」ように利用するのが、正しい使い方じゃないかしらん(学習参考書のように)。しゃぶりつくしてみよう。

 あっという間に終わってしまい、足りないブックトークは隣のサイゼリアで続ける。これ、サイゼ飲みと組み合わせたら、B&B でブックハンティング→サイゼで休憩を組み合わせて無限に本屋で遊べるぞ(そして我が財布が最大のピンチに陥るのだった)。

 参加いただいた皆さま、B&B さん、ありがとうございました! またやりましょう~

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