好きな本を熱く語った「本のフェス」
「本のフェス」は、新しい本との遊び方を提案するイベントだ。小説のワークショップや読書芸人トークライブ、アイドルによる絵本の読み聞かせ、野外ライブなど、「本」について本気で遊ぶ文化祭のような場なり。3/12に新宿で行われたイベントで、スゴ本からも「蔵書公開」「スゴ本オフ」で参加したので、ここでレポートする。
まず、わたしの蔵書公開。
実は、わたし、「自分の本棚」を持ってない。妻や子どもの本棚を間借りしたり、床に積読山脈を造ったり、行きつけの本屋や図書館を自分の書棚の代わりにしたりしてしのいでいる。あっちこっちに散在している蔵書を集め、「厨子本棚」という可動型書棚に並べてもらったのだ。
「厨子」というだけに仏壇のような面持ちだが、格納するのは「仏」ではない。読書する人なのだ。扉や棚に本を並べ、真ん中に座って観音開きの扉を閉めてもらうと、全面を本に囲まれる安心感でいっぱいになる。まこと読書人にとって理想的な棺桶なり。
しかも、恐れ多くも仲俣暁生さんの蔵書と供に並べていただく。「こんな本の力を借りて生きてきた」というテーマで、100+αの選書なり。好みが重なるところもあれば、ぜんぜん知らないものも多数あって、興味が尽きないラインナップでした(カポーティ『冷血』がなぜか2冊並んでいたのが気になる……)。
わたしの場合、最近読んだ本からエログロを抜いただけという統一感のない選書で、プリキュアからウィトゲンシュタインまで、バラエティだけは富んでいたと思いたい。ギャラリーの人波の後ろから眺めているのが楽しかった。皆さん、ディケンズや諸星大二郎といった通好みを手にとってばかりで、誰も『プリキュアぴあ』見ようとしなかった……
そして、スゴ本オフ@本のフェス。
好きな本を持ちよって、まったり熱く語り合う読書会。それがスゴ本オフ。いつもは「SF」や「恋愛」といった、何かしらテーマを決め、それに沿ってお薦め作品を持ち寄るのだが、今回は変えてみた。なるべく沢山の人に来てもらい、興味を持ってもらい、あわよくば飛び入り参加を期待して、フリーテーマ・ノンジャンルでやってみた。
ギャラリーは30人くらい(?)集まる一方、発表者が6名と少なめで、その分、濃い口のプレゼンになった。いつもはビール片手にほろ酔いで進めるのだが、すごくまじめな雰囲気だったので、呑んでる余裕がなかったw
ささきさんの「理解の範疇を超えた存在と、どう相対するか?」というテーマで『ソラリス』と夫婦間のコミュニケーションを語るのが面白かったし、初参加の方の、ベケットのいつまでも終わらない独白『いざ最悪の方へ』を読むときの「宙吊りの感覚が好きだ」という主張に激しく頷く。ベケットのtweetだと思うといつまでも読めるね。
わたしは「読まずに死んだら、もったいない」級のスゴ本、『アイデア大全』『自分の小さな「箱」から脱出する方法』『死を食べる』を暑苦しく語った。『箱』と『死』は放流したが、『アイデア大全』は使い倒すつもりなので、「買って読め、一生モノだから(命令形)」と宣言したら、さっそく買っていただいた模様。
これ、アイデア・ノウハウ集というより、計画的に問題解決を設計・実行するためのツールボックスのようなもの。この「問題」は、ほぼありとあらゆるものに応用が利く。レビューは読書猿『アイデア大全』はスゴ本に書いたので、未読の方は買うべし(命令形)。
次のスゴ本オフは2つあるぞ。ご興味とご都合のよいときにどうぞ。
◆美と変身
3/26(日) PM 六本木
[詳細と申込み]
スゴ本オフ番外編。POLAとベンツのコラボスペースを借りて「美と変身」をテーマに六本木でやります。「美」だけでも、「変身」だけでもOKで、オススメの本、マンガ、CD、DVDなどを紹介してください
◆読まずに死んだら、もったいない
4/22(土) PM 渋谷
[詳細と申込み]
シミルボンで募集中のコンテスト「読まずに死んだら、もったいない」のテーマでやります。これ読んでないなんて、人生損をしてるよなぁ……という徹夜小説、夢中本、目鱗本を持ち寄って、お薦めあいましょう。
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