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料理上手は楽上手『小林カツ代のおかず道場』

 料理で大切なことは、「楽に」「楽しく」すること。どちらも必要十分に書いてある本書は、読むだけで腕を上げることができる

 おいしい料理を作るため、頼もしい味方となるのが小林カツ代。しかし最近、「小林カツ代」の看板に、完成品の写真を並べただけのカタログ本が出回っている。初心者向けなら必須のはずの手順毎の図解が無く、慣れてる人にはレパートリーが少なすぎ。

 だが心配無用、語りかけるようなカツ代節で、文庫一冊に74品を詰め込んだのが本書になる。一品あたり3分くらいで読めるエッセイと、「語り」を1頁に凝縮したレシピで構成される。慣れてる人向けだけれど、料理初心者もこんな語りならイメージが湧きやすいだろう。ノーベル賞級の発見「かゆくなりにくい里芋の剥き方」より引用する。

まず里芋をきれいに洗って、水をヒタヒタにして一回ワーッと煮立てるんです。フーッと噴いてきたら2~3分そのままに置いて、すぐ冷たい水に取ってから皮を剥くの。で、皮を剥いた里芋は冷たい水の中に入れておいてください。

 本書の特徴は、その料理を美味しくさせるために絶対に外せないポイントを絞っているところ。たとえば旬の白菜なら、「軸は繊維にそって縦に切る」とか「甘味を引き出す呼び甘味として砂糖を入れて」など、やってみると納得する。いっぽう、ポイント以外は適当に語っており、よくも悪くも作り手を信じていることが分かる。エッセンス部分を記しておく(太字化はわたし。エッセイ部分で絶対外せないポイントとして語られていた部分)

■鶏肉と里芋の四川煮(2人分)
 ・里芋300g(10個)
 ・鶏もも唐揚用200g
 ・煮汁
   水1/2カップ
   赤唐辛子1本
   豆板醤 小さじ1/4
   醤油 大さじ1
   みりん 大さじ1.5
 ・ごま油 大さじ1
 ・水1カップ

  1. 里芋は皮ごと5分茹でて水に取って、皮を剥き、大きければ2-3つに切る
  2. 煮汁の材料を煮立て、鶏肉を加えて蓋をして強めの中火で5-8分煮る
  3. 里芋と水1カップを加えて10~15分煮込み、竹串がスーッと通ったら、蓋をして火を消す。そのまま5~10分余熱で味をじんわりしみこませる
  4. 蓋を開け、ごま油を回しいれて全体をホワット混ぜ、器に盛り付ける

■豚肉の天ぷら(2人分)
 ・豚赤身薄切り肉200g
 ・塩コショウ 少々
 ・衣
   卵1個 + 水、合わせて3/4カップ
   小麦粉3/4カップ
   片栗粉 大さじ2~3

  1. 豚肉は長さを2つくらいに切って、塩コショウを振りボウルに入れておく
  2. 卵を溶き、水を足し、合わせて3/4カップにして混ぜる
  3. 卵液に1.をジャポーッと加えて、肉に絡ませる。小麦粉を加えてサクサク混ぜる。綺麗に混ざらなくてもいい
  4. 3.のシャラッとして衣に片栗粉を加えて混ぜる
  5. 揚げ湯を中温に熱し、豚肉に衣をたっぷり絡めて油に入れていく。カラリと揚がったら、油をよーく切って引き上げる。からし醤油が合う

■大根おろしの肉サラダ(2人分)
 ・牛しゃぶしゃぶ用薄切り肉200g
 ・大根おろし5-10cm
 ・レタス2枚
 ・ミニトマト5-6個
 ・貝割れ大根 1わ
 ・しめじ 小1パック
 ・レモン2きれ
 ・A
   ポン酢 大さじ4
   ごま油 小さじ1
   赤唐辛子輪切り 小さじ1

  1. 大根おろしは水気を切る。ミニトマトはヘタを取り、2つに切る。レタスは食べよくちぎる。貝割れ大根は根を切り落とす
  2. 湯を沸かし、塩を入れてしめじをさっと茹で、水気を切る
  3. 肉を次々にヒラリンヒラリンと入れて茹で、火が通ったら水気を切り、合わせたAに浸ける
  4. 器にレタス、トマト、貝割れ大根、しめじを盛り付ける
  5. 肉を盛り付け、大根おろしをのせる。レモンを絞って食べる

 そして、葉物や根菜や肉の種類を変えることで、いくらでもレパートリーを増やせる。おかず「道場」に入門して基本の技を会得したら、すぐ応用が利くという仕掛け。

 類書として、『小林カツ代のお料理入門』もあるが、家族向けというより、一人暮らしの自炊の味方となっている。ひとりだと、節約+満腹に目が行きがちだが、彼女のポリシーだと、「ひとりのご飯こそ贅沢においしく」になる。結果、料理のラインナップは、かなりユニークだ。[自炊の味方『小林カツ代のお料理入門』]を参考にしてほしい。

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