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人生で二度目のクッキー

 ブログは人生を変える。

 たとい些細であっても、予想だにしなかった未来を生きた。わたしがクッキーを焼くなんて、ありえないと思ってた。が、塞翁が馬、練習一回、本番一回、四十路のオッサンがクッキーを焼くことに。

 きっかけは「gomm 秋のチェックピクニック」だ。「チェック柄オンリー」という無駄に狭いドレスコードで、代々木公園でピクニックしよう! というイベント。そこで一緒に「スゴ本オフ」をしよう、テーマは「ピクニック本」で、という企画が乗っけてもらった。

 素晴らしい本の出会いもあったのだが、その話は後。わが娘が参加したいと言い出したのだ、しかも「クッキー焼いてもってく」と断固たる口調で。背伸びをしたい年頃、危なっかしくって火や包丁は渡せないので、わたしが代わりにやることに。かくしてオレンジページを開き、嫁さんをオブザーバーに仕立て、人生初クッキー。

 クッキーなんぞ、女生徒が調理実習の半コゲを「ホラ、ありがたく食べなさいよ」なんて釘宮声で男子に配るものと相場が決まっているものだリア充こんちくしょうと思ってた。だから、実際に測って混ぜて焼いたらびっくりした。クッキーって、アホほど砂糖とバターを使うんだね。

 無塩バター 120g
 卵黄 3個分
 砂糖 90g
 薄力粉 140g
 塩 ひとつまみ

 紅茶の葉(小さじ1)すりおろし 
 アーモンド 25g
 チョコチップ 25g
 ココアパウダー 小さじ1

 バターをレンジで半溶かし、泡立て器で混ぜる。砂糖を2、3回に分けて入れながら、なめらかになるまで。塩投入、卵黄投入、混ぜる。泡立て器→木べらに替える。薄力粉をふるいながら入れる。このとき、かき混ぜない。切るようになじませ、まとまった感じにする。これが生地。

 生地を四等分して、それぞれ紅茶、アーモンド、チョコチップ、ココアパウダーを混ぜる。生地をティースプーンですくい、もう一つのスプーンの背で天板に載せる。天板はクッキングシートを敷いておく。生地は広がる、間隔は開けておくこと(6~7cm)。

 オーブントースターで5分だが、焦げやすい。数分で表面が乾いたら、アルミシートで覆って焦げが防ぐ。

Gomm1

 出来上がったのがこれ(これでも焦げてないほうなんだ)。料理は「料理の四面体」の影響でアバウトにやってきたが、お菓子作りは厳密だ。理科の実験みたいで面白い。ブログやってなかったら、知らなかった面白さ。

 で、スカーンと秋晴れの下、皆さんに「娘が焼いたんですよ~」と馬鹿親のフリをして食してもらう。好評価をいただいて嬉しい限り。

 クッキーなんて可愛いもので、おいなりさん、おはぎ、キッシュ、アップルパイ、照り焼き、串焼き、自作のガリ、巨峰と盛りだくさん。食べて、ひっくり返って、本を眺めたり空を見たり、誰かの話をぼんやり聞いたり。積極的に「なにもしない」を実践した半日でしたな(gommさん、ありがとうございます)。

Gomm2

Gomm3

Gomm4

 考えない練習は大事だね、放っておくと、どんどん何かをどこかに持ってってしまう。「なにもしない」をする練習をしないと。

HIPS で、耳半分ながら「これは!」に出会えた。ひとつは「おべんとうの時間」。いわゆるレシピ本ではなく、おべんとうと、その持ち主(食べる人)をひたすら撮ってインタビューしたもの。ごくごくフツーの人たちの平々凡々な人生が語られるかとおもいきや……おべんとうに込められたメッセージや、そこに至る思い出や絆がこみあげてくる。おべんとうを通じて、その人の人生や人となりをうかがい知る、いい本みたい。続巻も併せて読むぜ~

 もう一つは「LOVEサンドイッチ」。表紙から窺い知れるが、サンドイッチを撮ったモノ。ただし、おどろくなかれ、サンドイッチ断面図をカメラじゃなくスキャナーで撮ったのだ(サンドイッチ + スキャナー = スキャンドイッチ)。これは面白い。サンドイッチの断面をマジマジ見るときって、食べかけの自分の歯形とともにつぶれた具材を眺めることになるから、正直旨そうではない。ところがこれは、断面をスキャンしたそのものなので、具がそのまんまだ。一緒に語られるウンチクも自家薬籠にしたい。

 他に集まったピクニック本はこんな感じ……宮本常一さんのは、読もう読もうと思っていた矢先なので、いいタイミング。

 「パークライフ」吉田修一
 「星屑ニーナ」福島聡
 「忘れられた日本人」宮本常一
 「赤毛のアン」モンゴメリ
 「ジャイアント・ジャムサンド」ジョン・ロード
 「ドン・キホーテ」セルバンテス
 「遥かなる水の音」村山由佳
 「ブルータス」の公園特集号
 「天然生活」のお弁当特集号

 ん? わたしがプレゼンしたのは何かって? これだ! ピクニック本といえば「ぐりぐら」、なかでも直球なのがこれ。

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