本とビールのブックショップ
下北沢のB&Bに行ってきた。B&Bとは、"Book and Beer"という意らしい。
第一印象は、「本を売る店」というよりも「本で何かをする場所」だ。それは著名人のトークだったり、本を介したパフォーマンスをする場所。大型書店のイベントスペースが中心の本屋という、一種の逆転だね。書店なのにビールが飲めて、おしゃれな雑貨も扱っていて、ちょっと変わった本と出会える―――店内を眺めると、そういうコンセプトが如実に表れている。オススメ本のプレゼンをするのに、このテーブルなんて最適かも。
本のセレクトショップだから、選書はどうかというと―――面白い。選者の趣味がよく出ていて、「知ってはいるが手ェ出していない本」をいくつか見つける。若い女の子が選んでいるか、「若い女の子が好きそうな本」を選んでいるね。
並べ方もユニークで、テーマに沿ってフィクションもノンフィクションも無関係だ。書店や図書館の、いわゆる「企画棚」ではなく、ノンフィクションの並びにフィクションをちらりと混ぜ込んでいるのが面白い。たんねんに背表紙を追って行くと、おもわずニヤっとできる仕掛けになっている。このユーモア感、だれかのプライベートな書棚を見ている気分になる。例えば、「食」テーマの棚に川原泉「空の食欲魔神」が混ざっているのがイイ(ただ、細かすぎて見落としてしまうかも)。また、「本の本」の並びにレム「完全な真空」を入れているセンスは脱帽。これは、存在しない本の書評集なのだから、書評集の棚に入れているという事が二重の矛盾(というか、読んだ人には諧謔)を含んでいる。
下北沢という舞台での「街の書店」なので、松丸本舗のボリュームやPARCOのような尖った本を求めるのは酷だ。下北沢に降りたら、ちょっと覗くに、ちょうどいい。
ただ、回転が難しい。一般の書店と違い、新刊もそうでないのも公平に扱うのは好感が持てる。だが、「一般の書店」を目指さないのなら、新刊を回しているだけでは済まない。本は動かさないと澱むし固まる。いまある、「良いセレクトブック」をどうやって崩して、新しいものを混ぜていくか―――これを定常作業に組み込まないと、リピーターは難しい。このヘンの感覚は、写真棚、SF棚を見ると、数奇者には分かってもらえるかも。
時間を措いて、再訪したい。
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コメント
初めまして。webookerと申します。
いつも楽しく拝読しております。
本もお酒も好きなワタクシとしては、まさに夢のようなお店ですね!
関西にもこういったお店があるのかなーと調べてみると(私が関西在住なもので)、大阪に作家プロデュースのカフェ&バーがあるようです。
文学バー Bar Liseur~バー リズール~ http://www7b.biglobe.ne.jp/~liseur/
かなり興味が湧いて来ました!
ぜひ行ってみたいと思います。
Dain様の再訪記事もたのしみにしています~
投稿: webooker | 2012.10.15 09:01
>>webookerさん
ご紹介ありがとうございます、(訪れたことはありませんが)有名な「深夜プラス1」というBook&Barを思い出しました。
東京近辺のブックカフェは、以下を参考に制覇しようかと企んでいます(次はブルックリンパーラーかな)
東京に行ったら必ず寄っておきたい素敵本屋
http://matome.naver.jp/odai/2134978352738461101
投稿: Dain | 2012.10.16 21:20
ジョッキの結露で本が濡れちゃわないかしら?
僕だったら、ビールよりも、ブランデーのコーヒー割りですな(笑
でも、こういう店には是非、行ってみたいものですねえ。
投稿: SFファン | 2012.10.17 15:44
>>Dain様
ご返信ありがとうございます!
素敵本屋のまとめ、いいですねー。
東京に行った時に、「B&B」や「深夜プラス1」を訪ねてみるのが楽しみです。
村上春樹に、よくバーで読書する場面が出てくるので私もやってみたいですw
投稿: webooker | 2012.10.17 21:13
>>webookerさん
おっと!「深夜プラス1」は確か閉店したはずです、言い忘れててごめんなさい。
「バーで読書」、若い頃やったことがあります(読んだのはハルキの国境のナントカというやつ)。超浮きますのでオススメしませんw
投稿: Dain | 2012.10.17 22:59
>>SFファンさん
あーそれ、わたしも思いました(だから店でビール飲んでいません)。たぶんそのヘンの配慮をしているのではないかと……再訪時は確かめますね。
投稿: Dain | 2012.10.17 23:06