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松丸本舗へ狩りに行け

 みんなでブックハンティング@松丸本舗の報告。

 「本屋は一人で行くもの」という固定観念を破って、集団で狩りに行く。気ままにぐるぐる周回し、コレハ! というのをオススメしあう。単独だと気付かなかった逸品を紹介されたり、反対に教えてあげられたり。「みんなで本屋めぐり」は視野がグンと広がるので是非。

 それも、ただの書店ではつまらない。松岡正剛の書棚ともいえる松丸本舗でハンティング。ふつうの書店なら「買う/買わない」の判断は容易い。「二度読むか否か」で即断できるから。だが、松丸本舗は読書欲よりも"物欲"が刺激されるので危険だ。読みたい本より欲しい本があるから。評判は知ってて、ずっとガマンしていた欲望が放出されるので、財布がピンチになる(カード使えるので要注意)。

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 最初は独りで、次は声を掛けていただいた方とオススメあいながら循環する。もともと変化に富んだ書棚なのだが、今回、根本的な変動があったのが目を惹いた。コアを囲う棚のセレクトが、大幅に変わっていたから。

 周囲の棚は専属の店員さん(BSE : Book Shop Editorと呼ぶそうな)が作っていたのだが、この『顔』を前面に押し出し、「この人が選んだこの本」という場ができている。既読を頼りに人を探し、その人がオススメする未読を選ぶというスタイルは、まさにわたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいるの実践なり。

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 コアの書棚(本殿、と呼ばれている)は流石に完成されているので流動性は少ない。「完成された」は誉め言葉でもあるが、「動かない」はマイナスにもなる諸刃の剣。もちろん買われた一冊と同じ一冊は補充されるが、「松丸本殿」に新たな一冊(≠新刊書)が入ることはない。関連する新刊が差し込まれることはあるが、店主の吟味をくぐっているのだろうか。

 ここに来る人は、新しい本を求めているわけではなく、新しい知を得たいがためにエスカレーターを上ってくる。何度も通うと、コンセプトや斬り口で集散をくり返すだけで、全体としての流動性は(1~3Fと比較すると)低いことが分かる。だから、澱まないために外の血―――すなわち、他者の書棚や他人のレコメンドを注入するのは正解だろう。

 先日ここで指摘した「松丸本舗にないもの=生活臭」へのまさにカウンターとなる本が見つかった。これだ。

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 日常から乖離した超人的な教養人だから、生活感のある本はそぐわないんじゃないかと思っていた。だが本書を見る限り、書店員さんが押し込んだんじゃぁないかと。ちなみにこれ、マチャミさんが発見、「ほら、生活関連の本あるでしょ」って言いながら。参りました、独りだと見つけられなかっただろう。

 以下、参加者いただいた方や、わたしの戦利品なり。

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 次回の松丸オフは以下の通り。残念ながら9末に閉店のため、本好きはいまのうちに目に焼き付けておくべし。赤いウエストバックでウロウロしているわたしを捕まえて、「これがオススメ!」「○○な本を探してるんだけど…」なんてオフ会にしようず。

 日時と場所 9/15(土) 12:00~17:00 松丸本舗
 参加費無料、申込不要、途中参加・途中退出OK
 終わったら、有志で一杯やりましょう


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コメント

はじめまして。こんばんは。主人と劇薬本の話で盛り上がり、こちらのブログを知りました。突然のコメント失礼します。はじめにお伝えしておきますと、ブラッドハーレーの馬車や隣の家の少女など、アンチです。記憶からなかったことにしたくなる劇薬とDainさんのおっしゃっていた通りで、私はなかったことにしています。いわゆるチキンです。しかし、チキンなりに新しいタイプの劇薬を提案してみようかなんて思い、コメントいたしました。既読のものばかりでしたら、すみません。なかったことにしてください。
以下オススメ本↓
「メルヒェン」ヘッセ(高橋健二訳)新潮文庫
短編集です。高橋氏の訳がヘッセはベストだと個人的には思っていますので、よろしければそちらで。
アウグスツスなんて、子供を持つ親にはある意味劇薬なんじゃないか? エロもグロもなく、救いがあったとしても、くもの糸がどっかにくっついている時のような感覚で、まとわりついてきました。(でも、さらっと読める人も多いと思います)

「1984」ジョージオーウェル
本来は旧ソ(私の記憶が正しければ)をモチーフにしていたはずですが、なぜかひとごとに思えませんでした。なぜだろう。深読みしすぎると、劇薬になるかもしれない小説です。

「カンガルー・ノート」「方舟さくら丸」安部公房
安部公房と小川未明は中高生時代のマイアイドルでした。
何を読んでもスキ。そんな乙女心を奪われた作家さんですが、カンガルー・ノートとさくら丸だけはいかん。最終的に面白さが勝つのですが、ちょいちょい気分が悪くなり、悩まされました。気持ち悪く書かれていないのにいやな気分にさせるってなかなか難しいことだと思うので、そんなことやらないでいいから。って思いました。
が、気がつくと「砂の女」よりリピート回数が多いこの不思議。ソレも含めて気持ち悪いのです。私だけかもしれませんが。

ついでにコミックも↓
「来訪者」(「城」「エッグ・スタンド」)萩尾望都
「百億の昼と千億の夜」も個人的には好きですが、Dainさんはそうでもないかもしれないなぁ、と思ってコチラを推します。劇薬ではありません。あら、たくみねぇ~って感じさせるマンガです。パッション系ではないのに誰が読んでも、何かを感じさせるものでは。と思っています。

ついでに映像も↓
「レクイエム・フォードリーム」
監督ダーレン・アロノフスキー
こちらは劇薬でした。甘くみてました。軽い気持ちで映画館に来てすみません。と謝罪したくなりました。
さほど、ひどい描写があるわけではありません。(耐性があるひとには)でも、最後の映像が絡みあるところで心臓がバクバクしました。そして、チキンな私は数日眠れなくなりました。
こちらヘッドフォンをして暗い部屋でみることを推奨します。普通にみたらもったいないです。こうしたら、映画館ほどではありませんでしたが、バクバクを味わえます。

とりあえず以上です。長々とすみません。
では、お互いよい本に出合えますように~。

投稿: まあさん | 2012.08.18 00:20

>>まあさんさん

ありがとうございます、こんなに大漁に!
まずは、ヘッセ「メルヒェン」と萩尾望都「訪問者」を読みますね。

最近の劇薬系は、ヴィジュアルの残虐さを志向するのが目につきます。そして、「読み手をイヤな気にさせてやろう」という作者のあざとさが鼻についています。ご紹介いただいた作品が、胃や夢や下半身にガツンと来るといいなぁと期待しつつ読みますね。

投稿: Dain | 2012.08.18 00:38

返信ありがとうございます。更新記事をみていたら、返信が!!
少しでもひっかかってもらえたら、嬉しいかぎりです。
そういえば。萩尾望都のコミック「訪問者」です(笑)失礼しました。
「来訪者」はダールの小噺でした。こちらは息抜きになる一冊です。とてもライトで愉快なのですが、ひとによってはぞくっとするようです。ちなみに私はこれっぽちもしませんでした。

期待外れでしたら、すみません。先に謝っておく、このチキンぶり。
どうぞ生暖かい痛みが深く根をはりますように~~。呪い。。じゃなかった、読書愛を込めて。
おやすみなさいm(__)m

投稿: まあさん | 2012.08.18 01:24

>>まあさんさん

謝ることはありません、まあさんさんのおかげで、新しい本との出会いがあったのですから。それがわたしの予想とズレていたところで問題ありませんよ(読む読まないは、読み手の判断ですから)。

とはいえ、ちょっと期待しながら手にするのも確かです。あらためて、ありがとうございます。

投稿: Dain | 2012.08.19 07:04

「松丸本舗へ狩りに行け」の記事、本当に楽しく読ませてもらいました^^記事の内容もそうだけど、写真の挿入の仕方も上手いですね!なんかこういうのを読むと自然とワクワクした気持ちになってきちゃいます♪

けど、これだけ楽しい雰囲気がお店からもDainさんの記事からも伝わってくるのに松丸本舗9月末で閉店って本当に寂しいですね…なんとか存続の道なんかも出てこないものか。

投稿: だいすけ | 2012.08.21 22:38

>>だいすけさん

この写真は魅力の1/100ぐらいしか伝えておりません。実物は、もっと凄いです。なくなるのは残念ですが、ブルックリンパーラーやB&Bなど、「セレクトブック」の衣鉢を継ぐ書店が続々登場しているのも事実。松丸本舗は形を変えて、また出会えることでしょう。

投稿: Dain | 2012.08.22 00:40

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