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読書する少女がエロティックな理由「文学少女図鑑」

 ええ、もちろん変態ですとも。女の子が本を読んでいる姿に、いたく興奮するから。高校のとき、あの子が読んでた一冊をコッソリ盗み見し、必死になって探したもの。やたら尾崎翠率が高く、クラスで流行ってた村上春樹は「男に都合いいエロ本」と両断してたなぁ…

 本に夢中になっている横顔を斜めから見つめる。後れ毛と耳の形を確認し、わずかに開いた唇のシルエットを凝視する。視線に気づいて振り向いて、あわてて隠そうとする様も可愛ゆし。

 本書は、そうしたわたしの欲望を充分に満足させてくれる。なぜならこれは、「読書好きな女の子がお気に入りの本を読んでいる、そして、それを紹介しているという、ただそれだけの本です」から。

 タイトルに「文学少女」と銘うつが、いかにも少女から、妙齢の美人までとり揃えている。高校生、大学生、会社員、年齢も職業もさまざまだが、共通している原則がある。

 それは、「本人が」「ガチで」「オススメ」しているところ。かわいい女の子を見つけてきて、いかにも似合いそうな本を持たせて、それっぽい所で撮ってきたのではない。ホンモノなのだ。だから、こちらが赤くなりそうな初々しい取り合わせや、ドン引きしたくなる強烈な奴まで、色々ある。

 たとえば、「され竜(されど罪人は竜と踊る)よりも、後味悪く、むなくそ悪いから『Strange Strange』がイイ」という女子大生に惹かれる。もっと後味の悪いのあるよ、とイケナイ本を教えたくなる(そして『変態ッ!!』って罵ってもらうんだ)。

 あるいは、「一行読んだだけで、恋に落ちました」と魅惑的なコピーでオススメしてくるのは女優・小宮一葉さん。見目も素敵な上に、手にしているのは、ガルシア・マルケスの「エレンディラ」。ちょっとオジさんと呑みに行こうか、と近づきたくなる(そして、『やだこれ~あっちに行ってもらえます?』って追い払ってもらうんだ)。

 好きな小説を告白することは、自分の感性をカミングアウトすること(『心のヌード』とはよくぞ言ったものなり)。これが大人の階段のぼると、臆面なくなったり、反対に羞恥プレイのネタになる。

 それと知ってか知らずか、感受性を丸裸にして身を任せている少女を、思う存分眺めることができる。ただ本を読みふけっているだけなのに、すごくエロティックに見えてしまうのは―――わたしが変態だからだけじゃない…はず。

 おまけ。中の人からオフィシャルサイトを教えてもらう(ありがとうございます@hagiwaraosamu)。文学少女のお試しとしてご観覧あれ→[文学少女図鑑・フォトギャラリー]

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