さよなら、プリキュア
はっきりいって、俺サマ大勝利の気分だった。
人目を気にしぃ映画館に集結するヲタを尻目に、「パパと一緒に観ようね」と娘の手を引き入場行進できる優越感。「ミラクルライトは子どもだけ」という制約には、「2回行けば平和的解決」とオトナの対応。
しっかし、今度のプリキュアはスゴいね、ごく普通の、ただの女の子、なんたって戦わないプリキュアだもの。抱きしめるだけで昇華させられるって、なんという女神だろう。わたしの知る限り史上最短は10センチ爆弾だけど、そいつを超えるゼロ距離攻撃だぜ。
大切な人を守りたい
そんなやさしい心があれば
女の子は誰だって
プリキュアになれる!
だから俺だってプリキュアになれる!ピンチのときは「プリキュアに、力を!」と(心の中で)唱えつつ、ジャラジャラさせながら歴代ミラクルライトを一斉に点ける。月光に照らされた蛍の群れのような館内で、ここだけ薔薇色と日光の輝きに満ちあふれる。「なにあれー」「スゴーい」鵜の目と鷹の目でこっちを見てる女児(およびミラクルライトを持たないヲタ)の視線を浴びていると、我が鼓動は激しく律動し、我が松果体から変な汁があふれ出る。
ところが、である。桃の花が咲く頃から、近所の女児たちで、脱プリキュアが始まったのだ。ポケモンからモンハンに移行するように、プリキュアからプリティリズムに移り変わる。高価な玩具を買ってもらう代わりに、フィギュアスケート教室へ通いだす児もいる。
でもあれって変だよ!美しい旋律に合わせ、「お洋服の声が聞こえる」と叫びながらジャンプするだけで、マカロンやら果物が出てきて、だいたいあれ、"プリズムストーン"って初代のパクリやん、パパ許しませんよ! (あとちっちゃくない種島さんも)。どちらが本家か、黒白はっきりさせようじゃないの。
…とはいえ、冷静に考えると、他人事ではない。「Change!」(バラク・オバマ)、「気合だキアイだ」(アニマル浜口)、音撃棒(響鬼)、サザエさんじゃんけんなど、換骨奪胎はよくあること。大きな声では言えないか、海より広い心で受け止めてあげましょ。
だが、いつか告げられる日がくるかもしれない、「パパ、まだプリキュア見てるの?」ってね。だから、これは一時の夢なのだ。休日の陽気な日差しを浴びながら、嫁の冷たい視線も一緒に浴びながら、薄荷に檸檬を混ぜたジュースでも飲みながら、苺ケーキを食べながら、紅顔の娘と仲良くプリキュアを鑑賞するなんて。
ひょっとすると(しなくても)来年、いやもうすぐなのかもしれない。「パパ、なんでプリキュア見てるの」と問われる日が。わたしの答えが何であろうとも、反応は分かっている。嫁と同じ眼になるだろう…
そのときは、心の中で告げるんだ、「さよなら、プリキュア」ってね。そして、もって行き場のない情熱を抱えながら、録り溜めしたプリキュアを深夜に再生するんだ。その日がくるまで、この幸せを噛みしめよう。

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コメント
愛しいわが子と一緒に引き目を感じずにプリキュアを楽しんで視聴っていうのは確かにある種の理想の一つかもしれませんね。
永遠にこの幸せが続けばいいってのも贅沢ですから、今この瞬間の勝ち組の幸福を十分に堪能しておいて下さい
>>女の子は誰だってプリキュアになれる!
この言葉を聞いた時「男の子は無理なの?」感が…
いやでもキュアファイヤーとかあったし
投稿: 悲喜交々 | 2012.04.02 00:12
5GOGOの途中から見始めました。
そんな娘も、小2です。
映画は、プリキュアより、ドラえもんがいいというようになってしまいました。TVは見てますが、、、
幸い、次女4歳が プリキュア大好きで助かってます。
投稿: kakobon | 2012.04.03 00:13
>>悲喜交々さん
キュアファイヤーwww
ありでしょうありでしょう!
「オッサンでもプリキュアになれる」と信じて精進します(夢の中で)。
>>kakobonさん
4歳ならしばらく安泰でしょう。
イベントショーもアリでしょう。
いまのうちいまのうち…
いま公開しているオールスターズが、脱キュアの試金石になりそうです。「ふつうの女の子」を中心にすえて、ストーリーとしての面白さ(でも幼児にも分かる)を追求していますよ。
投稿: Dain | 2012.04.04 01:20