雲マニア必携「驚くべき雲の科学」
雲フェチならずとも魅了される。
オッサンになっても空を見るのは、いつまでたっても厨二だから。刻々と姿を変える層雲のうねりに魅入り、巻雲の高みを想像して地べたの自分を見下ろしたり、いろいろ遊べる。デカい低気圧(必ずしも台風に非ず)がやってくるとわけもなく興奮し、取乱し、窓を開けて空を見る。雲マニアまでいかないけど雲好き。そんなわたしが大興奮した写真集。
奇妙な雲、めずらしい雲、レアな空の現象を集めているのだが、「雲」っぽくない。理由は、撮った場所にある。山頂や飛行機の窓、はたまた人工衛星から撮影した「雲」は、別の何かに見える。たとえば、太平洋上の層積雲は、雲というより、洋上を浮遊する氷棚に見える。ちょうど割目が氷のそれとそっくりなのだ。圏外から大気を眺めると、雲と地球の距離はほぼ無いに等しい。薄い膜(殻?)のような存在になる。
バラエティー豊かな雲を眺めていると、そこが空であることを忘れてしまう。レース編みのようなカルマン渦の雲や、色合い・質感ともに「おっぱい」に見える乳房雲は、とうてい雲に見えない。何か生き物の細胞を拡大したような像だ。本書ではレンズ雲は「めずらしい」うちにはいらず、それは見事なレンズ雲がふんだんに出てくる。見事なやつだと、アダムスキー型未確認飛行物体まんまだ。真珠母雲の虹色は真珠よりもシャボン玉に見える。
信じられないような雲もある。ハリケーン・カトリーナの"内側"を撮ったものは、地球のものとは思えない光景だし、命の危険を顧みず写したスーパーセル・サンダーストームは、まどかマギカの「ワルプルギスの夜」そのもの。音速を突破する戦闘機の衝撃波を撮った「雲」は有名だが、失速した戦闘機の主翼にあわ立つようなウィングクラウドは、まるでそこだけ水中のようだ。そして、画像だけでなく、「なぜそういう現象が起きるのか」「どんな天候の変化が予想されるか」を説明してくれるのはありがたい。
こうした映像モノは、ネットのほうに分がある。雲フェチの集う以下のサイトをどうぞ。癒されるか、瞠目するか、時を忘れることは確か。
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コメント
『驚くべき雲の科学』読んでみました!
これでもかというほどの「驚くべき」形の雲が紹介されていてとても楽しく読めました。特にレンズ雲関係はいいですね。実際に見てみたいです。
この手の本は読み易く、しかも図書館にも置いてあることが多いので、積極的に、類書を読んでいこうと思いました。
投稿: ぽかり | 2011.12.19 02:00
>>ぽかりさん
気に入って頂いて、わたしも嬉しいです。
類書なら、ナショナルジオグラフィック傑作写真集「驚きの地球大紀行」というやつを見ています。これもオススメ!地球の多様性に驚くことでしょう。
投稿: Dain | 2011.12.19 06:54