趣味の料理と主婦の料理「やっぱり肉が好き」と「家族のこんだて」
料理と献立の違いが分かる二冊。
嫁さんと本屋めぐりする。出会った頃の「本屋デート」は二人一緒に棚めぐりだが、つきあいも十年たつと、別行動がデフォルトになる。それでも自然に落ち合うのは、レシピ本コーナーになる。そこで手にした本が対照的で面白い。互いの料理観が透けて見えるから。
わたしが選んだ一冊は、小林ケンタロウの「やっぱり肉が好き」。タイトルが全てを物語る、よだれの垂れる肉料理ばかり。写真のページとレシピのページを分けることで、料理のプレゼンが効いている。「食べたい→作ろう!」という食欲と創作欲の両方が刺激されるのだ。肉好きな我が子と写真見ながら一緒に選べるのも、マル。
いつものレパートリーに、ちょっとしたコツをが加わるのが嬉しい。肉じゃがに味噌を合わせろとか、スペアリブのオーブン焼きにハチミツを塗るといいとか、とんかつ用ロースをひたすら包丁で叩いて、肉だけ酢豚にするアイディアは貰った!
笑ったのが「理想的ハンバーグ」。厚みがあるので火が通りにくい、強火にするとコゲてしまうデメリットを回避するため、「焼き目をつけたら、お湯を入れてフタして蒸し焼きにする」というアイディア。これ、カツ代レシピでお世話になっている技だよ、さすが親子だなぁ。ケンタロウと勝代でハンバーグ対決する姿を想像すると愉しい(予想図↓上は「小林カツ代のクッキングベストヘルプ」、下がケンタロウ)
嫁さんが選んだのは、ベターホームの「家族の献立」。チキントマト煮とか、蒸し野菜と肉だんごといった、メニュー的にスタンダード。だが、ポイントが違う。気合い入れてメインの「一皿を作る」だけではなく、一汁三菜を「組み立てる」のだ。具体的には、その献立全体の段取りがまとめてあり、非常に使いやすい。
たとえば、「タンドリーチキン+キノコのマリネ+じゃがいものスープ」という献立て。普通ならそれぞれのレシピを羅列して終わりだが、これは、そのメニューに向かって、どの順にどんな作業をすれば良いかが分かる。段取り的にはこうだ。
- とり肉にたれをつける
- 主副菜、汁の野菜を切る
- 副菜を作る、汁を煮始める
- とり肉を焼く、スープを仕上げる
さらに、家族それぞれの「食」に対する要望をすくいあげている。食べ盛り中学生にはボリュームのある一皿、残業父さんには、すぐに軽く食べられるもの、好き嫌いッ子には野菜をおいしく食べさせる工夫が随所にまとめられている。
また、余った食材でもう一品つくる小技や、残りものを翌日に「くり回す」方法がありがたい。台所をあずかる主婦/主夫は、料理を作るというよりも、「食材をやりくりする」というほうが適切だ。冷蔵庫と相談しつつ、安くて旬の食材を使い、マンネリを避けつつ、家族の好評を目指す。
「おいしい!」と言ってくれる一皿を作るため、食材をわざわざ探してくるわたしの料理と違うなぁ…とつぶやいていると、嫁さんにトドメを刺される。
「それは、趣味の料理と主婦の料理の違いなの」
休日料理人には耳が痛いが、精進しよう。

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コメント
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
投稿: 履歴書の趣味 | 2011.10.19 21:00