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この「本のオフ会」がスゴい

 ネットの外に出る試み。本と人と出会うため、ブクブク交換に行ってきた。

 「ブクブク交換」とは、BookとBookの交換のこと。物々交換を洒落ており、本のプレゼン→交換による交流を楽しむ会だそうな。あらかじめテーマを決めて本を持ち寄り、その本についてアツく語るとこなんて、「スゴ本オフ」と一緒なので嬉しい。

 違うのは、「本と名刺の交換」なところ。スゴ本オフだと「ブックシャッフル」なので、どの本がアタるかは運次第になるし、プレゼンのためだけの「見せ本(放流不可)」もアリ。また、ブクブク交換では本だけでなく名刺の交換もするため、人の出会いも加速しやすいメリットがある。

 本よりも、人に会うため、行ってみる。わたしが持って行ったのは、ジュースキント「香水」とサン=テグジュペリ「人間の土地」。で、「交換」してきたのは、ジェロームの「ボートの三人男」。英国的ウィットと諧謔的ユーモアを絵に描いたような傑作と誉れ高く、ずっと気になってきたものの、なかなか手が出せなかったのだが、よい機会ナリ。他にも、「大人になってから読み直す『赤毛のアン』は、むしろマリラに共感して、アンは電波娘に見える」とか、「本好きでこの業界に入ったのに、十年経つと本が"商材"としか見えない」など、興味深い発言に出会えた。

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 「ブクブク交換」で参考になったのは、進行役のテリーさんの"あたり"が優しいところ。発表者が詰まったり言いよどんだりすると、すかさず助け船を出すので、安心して話せる。集まってくる人は、いわゆる「本好き」という方が多いので、なごやかな雰囲気だった。最初からアルコール入りのライトニングトークのスゴ本オフとは偉い違う。また、「本の紹介をカードに書く」とか、「次の発表者を、"本で"選ぶ」ところは取り入れよう。

 さて、これで「本のオフ会」は網羅したことになる。「スゴ本オフ」、「ビブリオバトル」、「本屋オフ」、そして「ブクブク交換」……本にまつわるオフ会はさまざまだが、ここで傾向と対策を語ってみよう。

 まずスゴ本オフ、一言なら「本をダシにした宴会」やね。わたしが酒好きもあって、始まる前から呑んでいる……持ってきた本への愛を熱く語るあまり、話が跳躍したり拡散したりツッコミが激しかったりする。ほろ酔い加減だから、持ち時間の5分が5分で済まなくなる→後ろになるほど時間が足りなくなるのでマシンガントークになる。

 集まってくる本も、小説、ノンフィクション、写真集、エロス、コミック、CD、ゲームとエッジの効いたというより「カオス」なラインナップとなっている。オススメ本は「シャッフル」されて手元にくるから、欲しいのに当たらなかったら個別交渉or後で図書館か買うことになる。これまでのスゴ本オフは、スゴ本オフ@ジュブナイルからどうぞ。

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 次は「ビブリオバトル」、これは「オススメ本のコンテスト」になる。これは、発表者と視聴者と明確に割れている。発表者のプレゼンを聞いて、視聴者が読みたいと思った本を投票して、一番の「チャンプ本」を決める。いわゆる美人票に陥りがちなのを、プレゼンや選書でどう逆転していくかというのが勘所ですな。

 「われこそは!」という人が発表者になるから、それなりの本がそろってくる。「聞いたことがある教養系」か「これから話題になりそうな」といった知的好奇心より、知的自尊心を満足させる本が"売れセン"だ。紹介された本はその場で買う(書店で開催)または借りる(図書館で開催)ことができるのがメリット。わたしの参戦記はビブリオバトル夏編@紀伊國屋書店あたりをどうぞ。

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 そして「本屋オフ」、これは「危険なオフ会」だ。なぜなら、書店で実際に手にとって、「これは良いよ!」とオススメされるのだから。リアルジャパネット状態。テレビショッピングなら、購買意欲が刺激されても、電話してたりネットにつないだりしてるうちに醒めることもあろう。だが、目の前でプレゼンされ、欲しい!と思ったら容赦なくお買い上げ~なので、財布は厚くしておく必要がある。途中参加、途中離脱が可能なのも嬉しいが、最後に集まった本を積み上げるのが圧巻ナリ。

 本屋は孤独に巡回するもの…という常識をうちやぶるグループ・ブックハンティング、それが本屋オフ。みんなでブックハンティング@松丸本舗か、本屋オフ@丸善ジュンク堂をどうぞ。

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 最後は「ブクブク交換」で、これは「本のだんらん会」かなぁ。ワキアイアイを目指してて、「婚活」「合コン」のノリで自己紹介もする。時間制限もゆるやかなので、ゆっくりでも、短くてもOK。趣味の本やベストセラー系が多いので、ノリが合う人を「本で」探すような感じ。今まで紹介されてきた本を眺めていると、「いわゆる文系」な香りが。SFが少なめなので、持ってくると喜ばれる(敬遠される?)

 また、「ブクブク交換というモデル」がメディアによって拡散している。形式が単純でゆるやかなため、学校や図書館でも取り込みやすい。本のオフ会を主催したいなら、一度参加して、自分のコミュニティで広めるのが最適かも。

 スゴ本を探すのではなく、スゴ本を読んだ人を探す。参考にしてくださいまし。

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