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スゴ本オフ@ジュブナイル報告

 本を介して人と会い、人を介して本と会う、それがスゴ本オフ。今回は、わたしが知らないジュブナイルを、ざくざく発掘した夜だった。

 書店のジュブナイル(ヤングアダルトは死語?)の棚なら、だいたい想像がつく。イマドキならあさのあつこ「No.6」や「ハリーポッター」、気の利いた選者なら「トランスフォーマー」(今夏公開)か「タンタンの冒険」(今冬公開)をいそいそ準備するだろう。そんな話題性よりも、みなさんの、それぞれの、「ガチ」をずらりと並べると、この世のどこにもない「ジュブナイル」棚ができあがる。まずはこの成果を見てくれ。

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  • 【Dain】「シルバーチャイルド」クリフ・マクニッシュ
  • 【Dain】「はてしない物語」ミヒャエル・エンデ
  • 【Dain】「イルカの島」アーサー・C・クラーク
  • 【やすゆき】「どこからも彼方にある国」ル・グゥイン
  • 【やすゆき】「ライ麦畑でつかまえて」サリンジャー
  • 【金巻ともこ】「キングダム ハーツ Re:コーデッド」金巻ともこ
  • 【金巻ともこ】「クレヨン王国の十二か月」福永令三
  • 【金巻ともこ】「クレヨン王国の新十二か月の旅」福永令三
  • 【ろき】「ペルソナ4」アトラス
  • 【ろき】「ふたつのスピカ」柳沼 行
  • 【ろき】「それいけズッコケ三人組」那須正幹
  • 【ろき】「空色勾玉」萩原規子
  • 【ろき】「トレジャー・ハンター八頭大I」菊地秀行
  • 【倉数茂】「ツバメ号とアマゾン号」アーサー・ランサム
  • 【倉数茂】「黒揚羽の夏」倉数茂
  • 【master】「エグザイルス」ロバート・ハリス
  • 【ぽかり】「銀河鉄道の夜(ますむらひろし版)」宮沢賢治
  • 【ぽかり】「星の王子さま(池澤夏樹訳)」サン=テグジュペリ
  • 【佐藤博人】「旅のラゴス」筒井康隆
  • 【佐藤博人】「ヨッパ谷への降下」筒井康隆
  • 【sako】「十二国記」小野不由美
  • 【sako】「カラワンギ・サーガラ」津守 時生
  • 【スガ】「茄子」黒田硫黄
  • 【セベ】「オオカミさんと七人の仲間たち」沖田雅
  • 【ゼムクリップ】「東京石器人戦争」さねとうあきら
  • 【林田】「銀河英雄伝説」田中芳樹
  • 【林田】「スパイダーマン」池上遼一
  • 【林田】「世界ケンカ旅」大山倍達
  • 【林田】「謎の拳法を求めて」松田隆智
  • 【でん】「はてしない物語」ミヒャエル・エンデ
  • 【でん】「池袋ウエストゲートパーク」石田衣良
  • 【とく】「氷菓」米澤穂信
  • 【とく】「愚者のエンドロール」米澤穂信
  • 【とく】「クドリャフカの順番」米澤穂信
  • 【husaosan】「ゲイルズバーグの春を愛す」ジャック・フィニイ
  • 【chibizou】「ラストソング」野沢尚
  • 【エアー】「涼宮ハルヒの憂鬱」谷川流
  • 【エアー】「MOTHER」久美沙織
  • 【永田】「だれも知らない小さな国」佐藤さとる
  • 【永田】「ハイブリッド・チャイルド」大原まり子
  • 【ズバピタ】「とらドラ!」竹宮ゆゆこ
  • 【ズバピタ】「たったひとつの冴えたやりかた」ジェイムズ・ティプトリー・Jr.

 わたしが「シルバーチャイルド」を持ってきたのは、「ジュブナイル=少年少女の成長譚」という構図を崩しているから。もちろん普通なら、成長はポジティブな意味合いを持つ。だが、親視点の「成長→変化→可愛かった子どもが別物になる」からすると、そこに一種の不気味さを伴う。これはもっと拡大させ、怪物と闘うために選ばれし子らは、それゆえにおぞましい怪物に変化する。理性に反していようと、わが子だと信じようとする・つながろうとする親があわれだし、シンクロする胸が痛い。SF+ダークファンタジーならではの空想実験だ。

 ジュブナイルの王道を持ってきたのはやすゆきさん「ライ麦畑でつかまえて」。新訳ではなく、白水のハードカバーなのが粋だね(Uブックスじゃないよ)。佐野元春のBGMとあわせると急にノスタルジックになるのは、わたしがオジサンになったせい。ぽかりさんの王道「銀河鉄道の夜」は朗読つき!岸田今日子さんの声の演じ分けに皆聞き入る。音楽もアリだが、オーディオブックという手もあったか。そして、でんさんの王道「はてしない物語」は、わたしと被ったので嬉しくなる。誰かと被るかなーと予想はしていたが、まさかでんさんとは。「子どもに読んでほしい選」に必ず入る逸品ですな。

 作家の乱入が、金巻ともこさんと倉数茂さん。どちらも鉄板ジュブナイルだから良いようなものの、ちゃっかり自著の宣伝になっている(ちなみにスゴ本オフでは宣伝歓迎)。「キングダム ハーツ Re:コーデッド」はサンプルの一冊だけだったけれど、「黒揚羽の夏」は複数冊放流されたので、争奪ジャンケン戦となる。見事勝ち抜いてゲットできたので、読むぞ。このモチーフとなったのが「ツバメ号とアマゾン号」だそうな。スティーヴンソン「宝島」に憧れているけど、もうそんなフロンティアはなくなっている1930年代が舞台。だからゴッコをするのだが…という骨組みらしい。湯本香樹実「夏の庭」かトウェイン「トム・ソーヤー」を反射的に思い出す。

 ビブリオバトルの乱入が、紀伊國屋書店のセベさんとスガさん。黒田硫黄「茄子」を持ってくるのが好事家だなーと思いきや、茄子の本質「栄養がないけど美味しい。無駄に対する愛情」と喝破する。それはまさに、ジュブナイルの本質につながる。そして「オオカミさんと七人の仲間たち」はラノベはラノベでも、ちょっとエッチで甘酸っぱいな王道学園モノだそうな。萌え属性と神話性がリンクされ文学としても面白いんだそうな。放流されてきたので読む!

 こうやって見ると、作家や編集者、書店の中の人が増えてきた。読み手どうしの出会いを作る場が、本にまつわるコミュニティに拡張されてきているのが分かる。今までのテーマは「ジャンル」だったけれど、書店しばり、出版社しばりでやっても面白そう。ホントは「編集者しばり」「編プロしばり」だと色が出てユニークだろうけれど、マニアックすぎるか(というより、黒子なので探しにくいという難もあり)。

 他に惹かれたのが、「クレヨン王国の十二か月」。12の悪癖をもつお姫様が、一つ一つ改めていくという成長モノらしいが、続編とあわせて読みたい。また、池上遼一「スパイダーマン」は必読。というより、そんな傑作があるとは知らなかった。アメコミの輸入物なのに、「よりパワーアップして濃くなっている」らしい。後半になると事件すら解決しなくなるという槍投げテイストに、よりソソられる。また、ろきさんが熱くプッシュしてたP4(ペルソナ4)はPSPで出ないかなぁ…

 やる度にゴソっと読みたい山が増えてくるスゴ本オフ。参加いただいた方、ありがとうございます。受付から発表者フォローまでありがとうございます、ともこさん。ズバピタさん、twitter実況ありがとうございます。やすゆきさん、司会ありがとうございます。そして、会場をお貸しいただき、ありがとうございます、KDDIウェブコミュニケーションズさん。

 過去のスゴ本オフは、以下からどうぞ。

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コメント

当日は大変お世話になりました。ありがとうございました。
読みたい本がどんどん増えていって、図書館から「読み終わってから予約してください」と怒られています・・・。
また参加させてください。

投稿: ゼムクリップ | 2011.07.24 15:28

>>ゼムクリップさん

当日はありがとうございました。ゼムクリップさんの選書はわたしの知らないツボを突いてくるので楽しみです。図書館は掛け持ちで!

投稿: Dain | 2011.07.24 20:10

初参加させて頂き、皆様のプレゼンの素晴らしさに
「酔ってごまかそうとした」者です。

本を読むきっかけとなった「三銃士」や「怪盗ルパン」
この話もする予定だったのですが・・・・酒で飛びました。
リブロバトルも観覧させて頂こうと思ってます。
今後もその鋭い切り口をお待ち申し上げます。

投稿: Air | 2011.07.24 20:51

>>Airさん

 > 「三銃士」や「怪盗ルパン」

!それこそ望んでいたサムシングです!
以前のスゴ本オフに「奇岩城」を持ち込んだ方がいましたが、皆さん食いつく食いつく。以外とベーシックなやつは「穴」になりますよ。
誰かと被っても無問題、自分がそれを読んだときの状況や想いを思い出して語れば、それでオリジナルレビューになりますから。

投稿: Dain | 2011.07.24 20:59

先日はどうもありがとうございました。初対面の人と話すのが苦手なので緊張してしまいました。次回はもう少しリラックスして行きたいと思います。当日登場した本のなかで、オーラを放って見えたのが、「シルバーチャイルド」と「東京石器人戦争」。次が「クレヨン王国」シリーズかな。必ず図書館でゲットして読みます。お預かりした「十二国記」は現在四冊読了。

投稿: kurageru | 2011.07.25 10:12

>>kurageruさん

わたしも最初は緊張して何を話したか覚えてませんでした。回数こなして(アルコール入れて)ようやく自由にしゃべれるようになったのが、つい最近です。
いちばん大切なOpen Mindは、やすゆきさんに教わりました(←ここ重要)、感謝感謝。スゴ本オフにたくさん参加して、どんどんリンクを増やしてくださいませー

投稿: Dain | 2011.07.26 00:17

Thanks for making me to obtain new ideas about computer systems. I also possess the belief that certain of the best ways to keep your mobile computer in leading condition has been a hard plastic-type case, or even shell, which fits over the top of one's computer. These kinds of protective gear are generally model specific since they are manufactured to fit perfectly in the natural housing. You can buy all of them directly from the vendor, or via third party sources if they are readily available for your notebook computer, however its not all laptop will have a spend on the market. All over again, thanks for your recommendations.

投稿: cheap air max | 2011.08.07 19:34

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