« 松丸本舗にて松岡正剛さんと小飼弾さんの対談を聞いてきた | トップページ | 愛ある辛口「ナボコフのドン・キホーテ講義」 »

ゲームで子育て「ロードランナー」

 まさかこのレトロゲーにハマるとは…そして負うた子に浅瀬を教えられるとは!

 XBOX360でネットにつなぐと、「お試しダウンロード」ができるゲームがある。無料でやってみて、気に入ったら完全版を購入してね、というやつ。で、懐かしのレトロゲーをいくつかやってるうちに、わたしと息子の両方が夢中になってしまったのが、「ロードランナー」。

 SHARPのX1のはカセットテープだったよなぁ…ロードのたびにガチャガチャいってたよなぁ…と、わたしは懐かしみ、セガサターン版だと敵が自キャラをムシャムシャむさぼり喰う音が怖かったよねぇ…と、嫁さんが遠い目をし、ロードが一瞬(HDDだもん)、ポリゴンで描画された最新のロードランナーに目ぇキラキラさせている息子がいる。見た目は変わったとはいえ、こんなに昔のゲームを今やる(しかもハマる)のは、不思議なもんだ。

 どんなに美麗になったとしても、ゲームシステムは四半世紀前のと同じ。知らない人もいるだろうから説明する。ダンジョン内に配置された金塊を全部とって、出口から脱出すれば一面クリアというゲーム。敵キャラが自分を捕らえたらミス。自分は左右の床に穴を掘り、敵を誘導して落とすことができる。上手に穴を掘らないとたどり着けない金塊もあり、パズル的要素もある。いわば、平安京のエイリアン+倉庫番やね。

 「ロードランナー」が徹底しているのは、ゲームの基本要素「反復」と「パターン化」に忠実だというところ。プレイヤーは反復してパターンを編み出し、最も安全な動作を最適化する。一筆書きの効率性を追求する(短時間クリアでボーナス)一方で、敵の行動アルゴリズムを逆手にとって誘導する戦略性も求められる。面が進むにつれて、だんだん難しくなってくる。そのバランスが"絶妙"の一言に尽きる。これよりも難しいゲームバランスだと、くじけてしまうだろうし、易しすぎるならプレイしなくなるだろう。

 ゲームルールが単純なことと、この"だんだん難しくなる"のが病みつきになっている親子がいる。息子は、やみくもにトライ&エラーをくり返し、「クリアできるパターン」を作り出そうとする。少しオトナのわたしは、敵の行動や金塊を取る順番をアタマで考え抜いた上で、実地で試してみる。試行錯誤が多い分、当然のことながら息子のほうがペースが遅くなる。「ちょっとは考えてみようよ」と誘い水を向けてみるのだが、「敵がいるから無理。パズルモードならゆっくり考えられるのに」とのこと。

 で、ああでもない、こうでもないと親子で協力しあってパズルモードに耽る。ほとんど敵が出てこず、金塊を全部を取ることを純粋に追求したパズルとなっている。凹部にハマりこんだり、穴に閉じ込められたりしてもミス扱いなので、より慎重に操作する。一面一面、だんだん、相当むずかしくなっており、クリアしたときのヤッター感はちょっとしたもの。

 このカタルシスを味わわせたくて、ゲームをすすめるのだ。「ゲームばっかりやってると”ゲーム脳”になる」と脅す方がいらっしゃるが、これ長時間やってるとかなりアタマ(と指)が疲れるぞ。むしろ、淡々黙々とプレイできる能力のほうを高く買いたい。なんであれ、上達するには熱中する必要がある。その「熱中できる才能」のために、ゲームをやらせたいのだ。

 「反復によるパターン化で、ゲームがクリアできる」ことを理解したなら、「リアルの○○をゲームにできる」ことに気づかせるだけ。あとは反復練習のみ。漢ドも計ドも、「漢字ゲーム」「計算ゲーム」なのだ。もっと極端にいうなら、受験勉強も、与えられた時間(6・3・3の12年)で目標レベルに到達するための「ゲーム」だし、サッカーや水泳の選手になることも同じ。もちろん、才能や運の要素もあるが、「熱中できる才能」が凌駕する。そんなことを考えながら、パズルモードをひたすらやりこむ。

 そして、ある面で詰まる。2機の敵はかわせるが、どうしても金塊までたどり着けない。自分はジャンプできないし、穴を飛び越えることもできない。どうあがいても絶対ムリ!な場所が2つもあるのだ。うんうん唸るわたしをよそに、「まず、やってみようよ」と、黙々と失敗をくり返す息子。何十回目だろうか……めげない息子の操作をぼんやり眺めていたら、なんと敵の頭を踏み台にして穴を越えたのだ!その発想は無かった!「敵=触れたらミス」に凝り固まったアタマには斬新すぎる…旧作にもあったっけ?といぶかしむわたしに、息子は一言、

 「パパ、マニュアル読まなきゃ」

 最近のゲームはマニュアル読まずに始めてるからなぁ……

このエントリーをはてなブックマークに追加

|

« 松丸本舗にて松岡正剛さんと小飼弾さんの対談を聞いてきた | トップページ | 愛ある辛口「ナボコフのドン・キホーテ講義」 »

コメント

熱中できる才能・・・その通りですね。
ロードランナー懐かしいです。
自分は1974年生まれのファミコン世代なので、ハドソンのロードランナーをよくやりました。
続編の上級版としてチャンピオンシップロードランナーというゲームが出たのですが、CMの映像で「頭上越え」の技が披露されていて「おおお!」と驚いたのを思い出します。
ちなみにWikipediaを見て、再確認しましたが、road(道路)ではなく lode(坑道)なんですね。

投稿: ぽかり | 2010.10.08 00:40

>>ぽかりさん

「頭上越え」の技は有名だったんですねー、知りませんでした。わたしの場合、ファミコンやらせてもらえなかったのです……その反動で今でもハマれるのかもしれません。
それから、"Lode"Runner は今気づきました、そういや道路じゃないや。25年目にして気づかされました、ありがとうございます。

投稿: Dain | 2010.10.08 08:27

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ゲームで子育て「ロードランナー」:

« 松丸本舗にて松岡正剛さんと小飼弾さんの対談を聞いてきた | トップページ | 愛ある辛口「ナボコフのドン・キホーテ講義」 »