大人の女の、いやな恋「パーマネント野ばら」
……という触れ込みでワクドキしながら読了、ためいき。
スゴ本オフ(恋愛編)で出会ったのだが……これは……これは…これは詩だな。どうしようもない男に人生を振り回されながら、それでもオンナをやめるわけにはいかない。そんな彼女たちの負の情(なさけ)が、パステルカラーでほのぼの&セキララに描かれる。セリフのいちいちがグッと胸に迫り、感情の喫水線は上がりっぱなしだった。心が弱ってたら泣き崩れていただろな。
けどなけどな
私のことなんか誰も
みてくれないしほめてもくれへん
生きていくのを
ほめてもらうのは
あかん事なんやろか
もっと大声で叫ぶような気持ちを、そっとつぶやくように告げる。作者が「わたし」に託しているのは一目瞭然だが、あまりにも"痛い"。自分の痛みを物語化して泣き笑い飛ばしてしまうつもりなのか。これ描いてるとき、サイバラさんどんな顔してたんやろな、想像すると胸がいっぱいになる。
そして、子どもの存在。娘が一人いるということは、(そして二人で暮らしているということは)、かつてパートナーがいて、いまはいないということ。夜、娘を抱きしめながら、こんなこと考えるなんて。そして、とりとめもない日常を語り合う想い人の存在が、「わたし」に伝えるあたたかみ、その温もりが、"痛く"なる、ラストで。
好きやずっとはどこにもないから
わたしはまいにちうそをつく
うわー、と思ったね。"そういう話"だったんかと。誰もほめてくれないから、自分で自分をほめてみる、好きやずっとはどこにもないから、自分で自分にうそをつく。このホントの意味が明かされるとき、わたしは思わず頭を抱えてしまった。この狂おしさ、せつなさ、空虚(ウツロ)感、男のわたしにゃ重すぎる。でも嫁さんには読んで欲しくない。うっかり読んで「わたし、これ分かる」なんて言われたら、どうすればいいんだ……そういう意味で、女性向けやね。
だが、男性陣が読んでおくべき箇所もある。セリフほのぼの、画は壮絶。
20年で満タンになったんや
女の心は、定期預金やからなあ
あはは
ひとつガマンのみ込むたびに
金振り込んで
そーですねん
ある日急に
満期になって自分でも
びっくりしましたわー
毎日ガマン飲み込んで
こら永遠にいけるんかな
思てたらー
あはは
急に帰ってくるもん
金利もバッチリついて
女の定期預金
「女の定期預金」、これはケータイにでも刻んで、毎日復唱すべきやね。読むきっかけを作ってくれたともこさん、ありがとうございます。

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