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スゴ本オフ@BEAMS顛末(POP is Dead?)

 第4回スゴ本オフの話。

 8/27に原宿でオフ会をする。会場を貸していただいた TOKYO CULTUART さん、ありがとうございます。やすゆきさん、大木さん、ずばぴたさん、ともこさん、そしてご参加いただいた皆さま、感謝・感謝です。「オススメ本を持ち寄って、まったりアツく語り合う」コンセプトで、今回のお題は「POP(ぽっぷ)」。まずは集まった作品を見てくれ。

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 そして参加された方の発想の柔軟なこと王道なこと極道なこと、わたしの想像力のナナメ上どころか、別次元の本がガンガンでてきて興奮した!知らないことを知ることは、こんなにドキドキするなんて。知ってることを「知りなおす」ことがこんなにクラクラするなんて。「QuickJapan」とか「STUDIO VOICE」とか、懐かしさと甘酸っぱさがこみあげてくる。ドリキャスとかNoel(ノエル)とか普通に特集されててマジ泣ける(そういや、NoelはTwitterそのものだな)。Perfume「ポリリズム」の初版が飛び出したり(ヤフオクで結構なお値段だそうな)、澁澤龍彦責任編集の「血と薔薇」が堂堂とプレゼンされたり、はたまた料理のライフハック本「こつの科学」が並んでいたりする。さまざまな「POP」を見たり聞いたり読んだりしているうちに、POPの解釈は自由だな~とあらためて思う。

 欲しい!と思ったのは、「無惨絵」。幕末に刊行された血みどろ浮世絵「英名二十八衆句」に競作する形で昭和の絵師、花輪和一・丸尾末広が復活させたもの。丸尾末広がフルパワーで描いているのに気合負けているかもしれない江戸の無残絵ばかりといえば(分かる人には)分かるだろうか。これ、U-Streamでどう流れてどんな反響(絶叫?)があったか気になる……

  1. 【ともこ】 Perfume「ポリリズム」シングル
  2. 【ともこ】 HMVフリーペーパー2008春号(表紙がPerfume、裏表紙が綾波)
  3. 【ともこ】 ジャップJap Magazine spring 1994 特集・小泉今日子の死
  4. 【ともこ】 STUDIO VOICE ラブラブ・エレクトロン 1999 1月 277号
  5. 【ともこ】 ポップカルチャー A to Z
  6. 【ずばぴた】 青ひげ(カート・ヴォネガット)
  7. 【wms】 QuickJapan vol68 特集・ほしのあきロングインタビュー
  8. 【ショウノ】 フォルメンを描く(ルドルフ・クッツリ)
  9. 【ショウノ】 MASSAGE(TOKYO CULTUART)
  10. 【さこ】 さるのこしかけ(さくらももこ)
  11. 【さこ】 間奏曲(赤川次郎)
  12. 【さこ】 チェンバロコンチェルト(バッハ)
  13. 【やまざき】 The Best of Norman Rockwell
  14. 【やまざき】 もっと知りたいゴッホ 生涯と作品(國府寺司)
  15. 【ツクダ】 4010 Night Time(TOKYO CULTUART)
  16. 【ツクダ】 フォトグラフール(町田康)
  17. 【ツクダ】 リュートの弦(ジム・ウードリング)
  18. 【おがわ】 DIARY OF A little Avocode(TADA REIKO)
  19. 【おがわ】 八百八百日記(戌井昭人と多田れいこ)
  20. 【おがわ】 relax 2001 01 vol 47 特集・ビースティ・ボーイズ
  21. 【おがわ】 こんぴら狗物語 走れゴン(絵・湯村輝彦 文・多田とし)
  22. 【まなめ】 雷撃SSガール(至道流星)
  23. 【まなめ】 「こつ」の科学(杉田浩一)料理のライフハック本
  24. 【ケースケ】 ワンダー3(手塚治虫)
  25. 【ケースケ】 毎日が夏休み(大島弓子)
  26. 【ケースケ】 ふたりのロッテ(エーリヒ・ケストナー)
  27. 【アオノ】 血と薔薇 復刻版(澁澤龍彦責任編集)
  28. 【アオノ】 あかずきんちゃん(絵・湯村タラ 文・武井直紀)
  29. 【アオノ】 江戸昭和競作 無惨絵(花輪和一 月岡芳年 丸尾末広 落合芳幾)
  30. 【フカサワ】 毒蛙の復讐(篠原有司男)
  31. 【フカサワ】 前衛の道(篠原有司男)
  32. 【フカサワ】 ザ・タナアミ・タイムズ
  33. 【フルヤ】 トランスフォーマー飛び出す絵本(ポップアップだ!)
  34. 【フルヤ】 DESTORY ALL MONSTERS "GEISHA THIS"
  35. 【フルヤ】 ビジュアル全集 人造人間キカイダー
  36. 【さいとう】 レキシントンの幽霊(村上春樹)
  37. 【さいとう】 ゲーム帝国(ファミ通の連載まとめ)
  38. 【さいとう】 銀河ヒッチハイクガイド(ダグラス・アダムス)
  39. 【いのうえ】 女たちよ!(伊丹十三)
  40. 【やすゆき】 僕らの事情(デイヴィッド・ヒル)
  41. 【やすゆき】 How dare you!(10cc)
  42. 【やすゆき】 少女神 第9号(フランチェスカ・リア・ブロック )
  43. 【Dain】 「カフカ」西岡兄妹
  44. 【Dain】 ご近所物語 完全版(矢沢あい)

 自由な「POP」が飛び交う中、ガツンと印象深かったのは、(wmsさんだったかな?)の至言「POPとはexploitされるものである。つまり、売れてナンボ、搾取される運命にある」。これを受ける形で、ともこさんの「現代は消費されるPOPから、アート寄りになってしまった。POP is Dead?」は効いたナリ。たしかにそうだ、ここに並んだPOPを「いま」「これから」出そうとするのは、かなり困難かも。それは先駆者がいるからという理由ではなく、「そのPOPのノリに銭金かけるつもりはねぇ」という出版側の事情によるのだろう。

 実はこの「POP」、ムズかった……ポップン、ポピュラー、サブカルチャー、思いつかない。よっぽど「ぽっぷ」の「あかずきん」とか、ジム・トムプソンの「ポップ1280」でも持っていこうかしらんと知恵熱出した……ムリヤリ脳内変換して「POP」を「おしゃれ」とか「軽み」と置き換えて二つほどひねり出す。

ご近所物語 「ご近所物語」(矢沢あい)

 ラブコメ。「NANA ナナ 」が有名だけれど、ダンゼンこれ。日曜アサの脳内が、どれみやプリキュに浸るずっと以前に、ちょっと鼻がかった声のミカコ(cv:宍戸留美)に染まっていたのかも。デスマーチに心をすり潰されてたわたしには、デザイナーという夢へ驀進するヒロインがまぶしかった。

 「POP=おしゃれ」なのは、彼女のファッション。毎回毎回、着ている服が違ってる。「自分がデザインした服を着ているところなんて、ハートキャッチプリキュアのえりか嬢に相似してる。その軽いアツい性格と、古きよきバブリーな時代感覚のズレが、いま読み返しても面白い。ホント言うと、職場の女子と話を合わせるという下心でチェックしはじめたんだけど、いつ頃からだろうか……日曜アサの女子アニメが「大きなおともだち」のものになったのは。

カフカ 「カフカ CLASSICS IN COMICS」(西岡兄妹)

 カフカ短編のコミカライズ。不気味で不思議で不条理な本。わたしのカフカのイメージは、「物理的にも精神的にもがんじがらめ」「せまってくる締め切り」といった重苦しいもの。それを継承しつつ、思い切った大コマを用いた画面の白さが、浮遊感をもたらしている。

 やらねばならぬことが迫っており、その責は自らにあり、なおかつ監視されているという「あせり」や「手遅れ」感こそが、カフカのモチーフだ。かつて「失踪者」をリアルな悪夢を強制的に見させられる毒書と評したが[参照]、本書は全編みなぎっている。ところが、濃密なタッチで精密に描かれた頁から次のページへジャンプするとき、シンプルな大ゴマが待っている。「バケツの騎士」のジャンプは、一瞬めまいを起したかのよう。「POP」という言葉からはほど遠いカフカに、不思議な「軽み」をもたらしている。

 さて、次回のお題は「ミステリ」、秋の夜長にピッタリの極上なやつが集まってくるだろうなぁ……日程と募集は後日。

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コメント

23、「こつ」の科学は、良いですな。私は、『お菓子こつの科学―お菓子作りの疑問に答える 河田昌子』を、実際にお菓子作りになぜ?と思うたびに「使って」いました。

「こつ」シリーズは、巷の製菓・調理学校の「製菓・調理理論の講義」等で、非常によく使われています。というか、そのままかも(笑)。一方で講師の先生は、製菓調理専門学校の生徒に、この本を紹介しません、だって講義のネタ元ばれちゃいますからw

投稿: シュークリーム | 2010.09.01 11:49

こんにちは。
今回のPOPと言うお題で個人的に

松本大洋
 「鉄コン筋クリート」
カネコアツシ
 「バンビ」

の、2点とか結構有名どころかなと思います。
鉄キンは今更ながらって感じでしょうか。
バンビは絵もストーリーもアメリカンポップな良い感じ。
で、今回の一押しは

朝倉世界一
「地獄のサラミちゃん」
「月はなんでも知っている」
この人のヘタウマ感の絵柄とキュートなストーリー。
なんとなくじわじわ来ます。

お粗末さまです。

投稿: 浮雲屋 | 2010.09.01 16:09

ほおほおPOPですか~。
さるのこしかけ いいですよね!
さくらさんのダラダラしていてくだらなくて温かみのあるエッセイが大好きです。
ちなみに母も読んでいます。
それに絵本も何冊か・・・。
ワクワクしますね。
そして次回の「ミステリ」も楽しみです。

投稿: sis | 2010.09.01 17:15

POPと言われてぱっと思いつくのは
杉山実『マザーコスモス』
と・・・・
三条陸『ダイの大冒険』
ですw
意外にでてこないものです。

あと細かいですが、exploitのスペルが……

投稿: ペル山 | 2010.09.02 12:13

>>浮雲屋さん

オススメありがとうございます、全部未読なので楽しみです。
カネコアツシがよさげなので、読んでみますね(あるいは鉄コンが先か)

>>sisさん

コメントありがとうございます。ほわほわした暖かなやつから、戦闘力のありそうなものまで、「POP」の定義は人それぞれです、ホント。「ミステリ」は楽しみにお待ちください、秋の夜長にうってつけですもの。


>>ペル山さん

「ダイの大冒険」www
「マザーコスモス」は知りませんでした、いいカンジですね、本屋さんでチェックしてみます。
「exploit」のご指摘、ありがとうございます。

投稿: Dain | 2010.09.03 22:33

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