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子離れのすすめ「13歳からの心を強くする子育て」

13歳からの心を強くする子育て 親の目的は、「わが子を大人にする」に尽きる。

 そして、あらゆる子育て本は、「そのためにどうする?」を語ったもの。それ以上でも以下でもない。

 もし、プラスアルファとか別の「目的」をわが子に見出した場合、無理強いや歪みを引き起こす。どんな時代にも、おかしな親がいる。自分が果たせなかった夢を子どもに押し付けたり、自分の思い通りにわが子を操ろうとしたり(わたしの子ども時代には、『母原病』なる言葉が流行った)。わが子は小学校の高学年。そろそろ難しい年頃にさしかかる前に、予習のつもりで読んでみる。予想通り、厳しい(でも王道の)言葉が並んでいる。

 本書の真髄はここになる。

   赤ちゃんは、肌を離すな
   幼児からは、肌を離しても手を離すな
   小児からは、手を離しても目を離すな
   少年からは、目を離しても心を離すな ← ここ

 もちろん「少年」に限らず「少女」も同じ。肌をくっつけ存在を知らせ、手を引いて歩き、迷わないよう目で追い、いつでもここにいるよと声をかけてきた。いわば、安心するため・させるための親の役割を果たしてきた。その甲斐あってか、不安なこと、心配なことは何でも相談してくれる。

 しかし、それじゃぁダメなんだ。分かってる、わかってる、手を差し伸べて、大人の目線で処方箋を与えようとすると、子どもが自身の「理想と現実」に向き合えなくなる―――よく、分かってるんだが、これは厳しい。いまじゃないが、わたしが「子離れ」しなければならない時期がくる。子どもの自立をハラハラしながら「見守る」。「見張る」のではなく、見守るのだ。

 「子どものため」という理由をつけて、子どもを過度に監視するのを、本書では「拘束の杖」と呼んでいる。あれもダメ、これもダメ、と厳しく見張るパターンだ。これは、子どもによかれという(親の)イメージがあって、それに合わせて子どもを育てたいという思いが根っこにある。そのイメージに合った子が可愛いとなってしまう。本来、無条件の愛となるべき親の愛情が、「条件付」になってしまうというのだ。「勉強ができる子」が可愛い、「運動ができる子」が可愛い、「皆に好かれる子」が可愛い、なによりも「親の言うことをよく聞く子」が可愛い―――前提条件つきの愛は、かなり思い当たる。

 この「前提条件つきの愛」を確かめる方法がある。子どもが抱く「理想」とは何か、問い直してみるのだ。その「理想」が親として子どもの前で言い続けていたものだとしてら、親の押し付けである可能性がでてくる。子どもが自ら思い描いた理想ではないかもしれないというのだ。仮に親の押し付けだったとしたら、わが子のこころにある「理想」をもう一度リセットする必要がある。当然理想と現実のFIT/GAPで揺れ動くのなら、その揺れ動きこそ成長のために必要なんだと。先回りして転ばないように差し伸べていたこの手は、これから「拘束の杖」になりそうやね。

 王道ながら、きちんと言葉にされにくい原理原則が並んでいる。たとえば「疑いの教育」。教育の目的は、「信じるに足るものは信じ、疑いがあるときは徹底して疑う。その方法と能力の発達を導くこと」になる。著者は、「子どもを『愚か者』にしないために、勉強をさせる」という。ここでいう、「愚か者」とは、「学力の低い人間」のことではない。「正しいジャッジメント」ができない人間、あるいは「偏った価値観の持ち主」のこと。

 テレビや新聞でタレ流される安易なレッテル貼りや歪曲化を見るにつけ、「善の敵は悪ではなく、愚かさだ」というボンヘッファーの至言を思い出す。この「疑う」教育はガッコ任せにできないよな、と痛感する。テレビや新聞を批判するための手段として、ネットや海外ソースが利用できるようになるまで教えるか―――をっとこれは「拘束の杖」?

 きっと、子どものほうから、だんだん距離をおくようになるだろう。あと数年でやってくる、わが子の第2反抗期が楽しめるよう、心を構え覚悟する。そういや、わたしが子ども時代は「積み木くずし」が流行ったなぁ……

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コメント

それの原典は「子育て四訓」です
ちょっと改変されていますが
詳しくはググッてください

投稿: とおりすがり | 2010.09.19 14:48

>>とおりすがりさん

ご明察!Tumblrから流れてきました。

投稿: Dain | 2010.09.19 22:34

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