ムー好きにはたまらない「奇界遺産」
オカルト度No.1 X51.ORG の中の人こと佐藤健寿氏の強烈な写真集。
グロまみれの博物館から全て人骨で作ったカタコンベ、取り憑かれてるとしか思えないテーマパークまで、世界中の変な・妙な・珍宝なものを撮りまくる。誰かの脳汁まみれの庭園や、無邪気に狂気を追求しているホルマリン漬の群れを眺めているうち、これはホントに現代か?地球の光景か?と自問する。
もちろん、ナスカやエリア51、ギリシアのオーパーツといった"有名どころ"はきちんと押さえてある。「あの人はいま」的な話として、サティヤ・サイババがまことにビミョーな立場になっており、思わず微笑む。インド人の心の広さを見習うべき。胡散臭さで言うならば、「諸葛亮孔明の子孫」とか「二千年前の死体」(どちらも中国)が群を抜いているが、その怪しさ(妖しさ?)は白髪三千丈ならぬ乗か。漢民族の想像力を見習うべき。
いわゆる観光名所となりそうな、奇岩やら奇景もある。崖っぷちに街がまるごと乗っかっていたり、洞窟の中に村全体が入っていたり、家や部屋が巨岩に呑み込まれている(あるいは岩と一体化した)光景を見ると、住人たちの心胆もかくやと想像するのだが、皆さん、のほほんとしている様子。「住めば都」の極端な例を眺めることができる。
いちばん笑ったのが、表紙のベトナムのソイテンパーク。狂ったディズニーランドと称されるだけあって、すべてがカッ飛んでいる。それ誰のヘヴンだよ、とツッコみたくなる。テンション、巨大さ、壮麗さ、わけのわからなさ、全てが想像力のメーターを軽く振り切っている。ベトナムに行く予定はないが、もし行くなら、必ず見に行きたいものだ。何を参考にしたか考えたくないが、ムリヤリ天国を作ろうとすると、たいてい地獄ができあがる、という誰かの箴言を思い出す。
奇怪な奇習や奇態を並べ、奇矯な奇傑や奇物が結集している。ずっと眺めていると、現実か妄想かなんて、多数決で決まるんじゃないか?そんな気がしてくる一冊。

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コメント
はしめまして!!
>ムリヤリ天国を作ろうとすると、たいてい地獄ができあがる とありますが、もしあるならば出典を教えていただけますが?
投稿: | 2010.03.10 01:33
>>名無しさん@2010.03.10 01:33
すんません、Tumblr のダッシュボードで見かけた箴言なのです。reblog してなかったので、ウロ覚え&ソース不明なのです。
投稿: Dain | 2010.03.10 21:42
返信ありがとうございます!最近貴殿に教えていただいた「銃・病原菌・鉄」を読み始めたのですが、ついさっき父親が福音派の牧師をしている友人に進化論に対する認識を訊ねたところ、本人もそういった状況を客観視しているらしく又福音派の高校でも一応ダーウィニズムの説明はあったらしいです。町山智浩の「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」でバイアスがかかってた自分には新鮮でした。ま、当然といわれれば当然ですけど。いずれにしてもありがとうございました!!
投稿: | 2010.03.11 00:52
>>名無しさん@2010.03.11 00:52
どういたしまして!
わたしの知見が狭い&偏っているため、町山智浩さんのレポートの真偽を判断できません。ただ、面白くするためのフィルタリングがなされているのかもー、と距離をおいています。自分の観測範囲の"外側"からの指摘は重要です。ダイアモンド「銃・病原菌・鉄」も然り、マクニール「世界史」も然り。批判的に読むのが吉だと思います。
投稿: Dain | 2010.03.12 06:49