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ananで読書通を探す

 [ 本を探すのではなく、人を探す ]シリーズ。

Anan1698 選本の肝は本ではなく、人を探すこと。わたしが知らないスゴ本は、それこそ百万冊ある。その本を探すのはかなり難しい。しかし、百万冊のスゴ本は間違いなく誰かに読まれている(それは"あなた"かもしれない)。だから"あなた"を探すのだ。このblogの究極目的も、そう。「自分のアンテナだけで充分」と思った瞬間に老化する。先が短い人生ならいいけれど、読まずに死んだらもったいない。

 今回は マガジンハウスの anan 3月3日号 「私たち、もっともっと本を読みたい!」メッセージと、蒼井優さんの笑顔に釣られた。このコ、もっさりキャラを作っているみたいだけれど、静止画で見るとスレンダー&クレバーに見える………おっと脱線。

 「泣き本特集」など anan バイアスがかかっているものの、名だたる本のメキキストたちの選書はさすがというべき。わたしの目的は、スゴ本そのもよりも、「そのスゴ本を推しているのは誰か」になる。だから、自分が読んだ/読んでいないに関わらず、高く評価していたり、気になっている本を推している人を探すんだ。

 まずは、翻訳家・金原瑞人さん。「バーティミアス」を訳した人といえば分かるだろうか?オススメの「赤ずきん」(いしい しんじ、フェリシモ出版)に反応する。エンピツ画が生み出した衝撃的なヒロインで、跳んでるヤンキーでイカした大人の絵本なんだそうな。なるほど、赤ずきんが箱乗りしている表紙に魅かれる。

 次は、京都のユニークな本屋さん、恵文社一乗寺店の店長・堀部篤史さんオススメ「お日さま お月さま お星さま」を読んでみたくなる。なぜなら、一緒にオススメしているのがマルケス「百年の孤独」と筒井康隆「家族百景」だから。「百年」は間違いなくスゴ本だし、「百景」は(未読だけど)良いと聞く。なので、「お日さま」も一読の価値ありだろう(カート・ヴォネガットだし)。

 さらに、ライターの小柳帝さんのオススメが嬉しかった。というのも、そのおかげで、みすず書房「大人の本棚」シリーズを知ったからだ。大人だからこそ読んでみたい、読み返したい書目を厳選しており、すぐれた編者による一人一冊の選文集なんだ。小柳さんのラインナップにはピンとこなかったが、「大人の本棚」という緩いつながりでおつきあいしたいですな。

 面白いのは、ページによって編者と選者の色合いがハッキリしているところ。たとえば、「anan女子マンガ部」が選んだスタンダードなマンガ群。アンドレー、真壁くんから千秋まで、胸キュン必至の男の子談義は面白いことは面白いんだが、なんとなく、あざとさが透ける。「ほらほら、これなら文句ないでしょ」という感じ。一方、王道マンガとして「銭ゲバ」や「トトの世界」を持ってくるあたりがスゴいセンスだ。わが道を行くっぽくて楽しい(ドラマを意識しているのかも)。濃い目のBLとかがあれば、さらに趣きも違ってくるだろうが、anan 女子にはまだ早いか。

 最後に小ネタ。村上春樹の「村上ラヂオ」が再開してた(祝)。一目でネタ元がチャルディーニ「影響力の武器」であることは見抜いたのだが、するする読ませられてしまう。体験談みたいな語りだけど、これはフィクションだろう。けれど、同様なことは実際にあるようで、この「ありそう感」を上手に醸している。

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コメント

筒井康隆『家族百景』の続きとして
『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』
も連続して読まれる事を推します。
七瀬三部作として完結していますので。

映像としては、『七瀬ふたたび』
(1979年にNHKにて多岐川裕美主演で映像化:1作目)
も良いのです(が視聴は非常に困難かと)

投稿: goya | 2010.03.05 23:20

>>goyaさん

オススメありがとうございます。良い良いという噂を聞いているので、「家族百景」は、借りてちょい読みの繰り返しで、完読してないです……

投稿: Dain | 2010.03.06 07:22

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