【PMP試験対策】 プロジェクトマネジメント・フレームワーク(その3)
【PMP試験対策】は、PMBOK4版をベースに、PMP試験の傾向と対策をまとめるシリーズ。
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プロジェクトマネジメント・フレームワークの続き。制約条件、OPM3、ステークホルダーについて。
「制約条件」について。プロジェクトを縛るものとしてさまざまな制約条件が挙げられる。スケジュール、コスト、リスク、スコープ(仕様)、品質、リソース、顧客満足度など、さまざまな要素がある。先に「縛る」という比喩を用いたが、見方を変えるとこれら制約条件は、要求達成度を測るモノサシとして定義することができる。つまり、制約所受けとはプロジェクトを縛るものではなく、測るものなんだ。
制約条件には優先度が伴う。リリース日が譲れないのなら、機能を削減するか、コストを追加するといった対策が必要だ。そして、制約条件の優先順位を決めるのが、上級マネージャーの役目になる。
あたりまえのことなんだが、これを理解できていないぼんくらは意外に多い。このぼんくらは、特に上司や発注元に集中しているのはナントカの法則ともいうべきだろう。スケジュールを短縮したら、コストや品質に悪影響を及ぼすなんて、常識以前の問題だろう。「すべて最優先で!」などと、精神力でナントカさせようとするその精神が狂っている。
プロジェクトが開始された途端、制約条件は追加・変更される。制約条件が変わらないプロジェクトなど、ありえないといっていい。そして、変更要求が制約条件へどのような影響を与えるかを分析するかは、PMが責任を負っている。全ての変更要求は、統合変更管理を経て精査される。これは「べき」論ではなく、あたりまえの手続きだと受け取ったほうがいい。ぼんくらどもの要求圧力は、統合変更管理という公の場で吟味され、優先順位とトレードオフが決められる。舞台裏での「貸し/借り」は、ないのだ。
「OPM3」とは、"Organizational project management maturity model" の略で、「組織的プロジェクトマネジメント成熟度モデル」と訳される。プロジェクト、プログラム、ポートフォリオをマネジメントする組織的能力や成熟度を測るためのモデルで、「標準化」「測定」「コントロール」「継続的改善」の4つの改善段階を踏むとされている。
「ステークホルダー」について。ステークホルダーとは何ぞや?よく「プロジェクト関係者」と表されるが、要するにプロジェクトに影響を与える人や組織のこと。この「影響」はポジティブでもネガティブでも関係なく、PM、顧客、スポンサー、チームをはじめとし、マネジメントチームやPMOもステークホルダーとして含まれている。
Rita本では、ここで注意が入る。「ステークホルダーとは、プロジェクトチームの手助けをする人たちだけではない」と忠告する。もし、「ステークホルダー = チームのアシスタント」と思っているのなら、大きな勘違いをしているそうな。PMP試験は危ういし、プロジェクトそのものの成功もおぼつかないとまで言う。
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ベースは、PMBOKガイド4版と、"PMP Exam Prep"、通称Rita本の2本立て。PMBOKガイドを傍らに一連のエントリを「読むだけで合格する」ようなシリーズにするつもりだ。過去の記事は、以下のリンク先が入り口となっている。PMBOKガイドの古い版が元となっているが、「PMIイズム」「PM的思考」は学べる。ぜひ参照してほしい。
【PMP試験対策】 PMBOK2000版
【PMP試験対策】 PMBOK3版
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コメント
僕がステークホルダーの訳で聞いたのは「利害関係者」でしたね。これなら「プロジェクトチームの手助けをする人」なんて誤解もおきないなあ、と思ったりしてます。
まぁ、僕自身も「ステークホルダー? 利害関係者の事だよ、フフン」って言うだけで、「じゃあ、それって何で定義づけられてるの?」とか「その定義がどうだから覚える必要があるの?」などと質問されたら何も言えない所がダメダメですけど。
PMPはいつかはお鉢が回ってくると予感してるので、このエントリはいつもためになります。更新楽しみにしています。
投稿: VOL | 2010.01.17 23:53
>>VOLさん
おッ、励みになるコメント、ありがとうございます。PMBOK4版では、ステークホルダーの扱いが格上げされています。なるべく覚えずに読むだけで入るように、工夫したいですね。このシリーズで合格者を増やすべく、頑張りますねー
投稿: Dain | 2010.01.18 00:03