« Amazon化する図書館の挑戦「貸出履歴を利用した新しい利用者支援」 | トップページ | 油断のならない語り手「庭、灰」 »

【PMP試験対策】 プロジェクトマネジメント・フレームワーク

 【PMP試験対策】は、PMBOK4版をベースに、PMP試験の傾向と対策をまとめるシリーズ。

─────────────────────────────────

 プロジェクトとは何か?PMBOK4ではプロジェクトを次のように定義している。

  1. 有期性 : プロジェクトには、開始と終了がある
  2. 独自性 : プロジェクトは、独自のプロダクトやサービスをもたらす
 いわゆるルーチン作業は「プロジェクト」と呼ばない。デイリーであっても年単位であっても、繰り返し行われる作業は、プロジェクトとは定義されないのだ。だから、「予算編成プロジェクト」は(PMBOKの定義によると)誤った使い方になる。「試験に出やすい」設問を作るならば、「プロジェクトとは何か?」という問いではなく、「次のうち、プロジェクトではないものを選べ」になる。PMBOK3だと、ここに「段階的詳細化」が追加されるが、4版では無くなっている。

 たとえば、上司がふらりとやってきて、「あのシステムの調子が悪いみたいなんだ。ちょっと行って見てきてくれる?」はプロジェクトだろうか。あるいは、ヘルプデスクみたいなものを想像してみてほしい。誰かが連絡してきたトラブルを解決する。有期性も独自性もあるから、「プロジェクト」になるのだろうか?または、新しいハードウェアを展開するのは「プロジェクトに」なるのだろうか?PMBOK4ではプロジェクトの例を、以下のように挙げている。

  1. 新製品や新サービスを開発すること
  2. 情報システムを開発したり展開すること
  3. ビルや橋などのインフラを建設すること
  4. 新たなビジネスプロセスを実務に適用させる
 Rita本では、ユニークな判断基準を設けている。「3ヶ月」「20名」というボリュームだ。つまり、期間が3ヶ月以下だったり、メンバーが20名以下だったりするならば、それは(PMIのいう)「プロジェクト」に相当しない可能性がある、というわけだ。もちろんこれはRita本の見解であり、PMBOKのどこにも書いていないのでご注意を。

 ではRitaのいうプロジェクトは、どれぐらいのサイズになるのか――200人のチーム、少なくとも1年間の期間、そして1,000,000ドルの予算だと、「プロジェクト」になるという。経営陣の思いつきでテケトーに割り当てた予算でやっていけと命ぜられる「プロジェクト」が、いかに名前負けしているかがよく分かる。

 この良い例がRita本にある。小さなプロジェクトだったなら、話す必要がある人と直接会ってミーティングすることが可能だが、PMBOKで扱うのは、コミュニケーションマネジメント計画に数週間を要するぐらいのものだ。話す相手は他の言語だったり、ひょっとすると海の向こう――時差とかを考えなければならない国だったりすかもしれない。

 では、「プロジェクトマネジメント」とは何だろうか?PMBOK4では次のように定義している。プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトの要求事項を満たすために、知識・スキル・ツールと技法をプロジェクト活動へ適用すること。そしてプロジェクトマネージャ(PM)とは、プロジェクト目標を達成する責任を負う人のことを指す。

 Rita本ではもっとカッコ良くこう言い切っている――プロジェクトマネジメントとは、システマティックなプロセスに従った、科学であり芸術なのだ、と。プロジェクトマネジメントは5つのプロセスグループに分かれている。すなわち、立ち上げ、計画、実行、監視とコントロール、そして終結のプロセスだ。

 そして、次のプロジェクトの制約要素に制限されないように、バランスをとること。すなわち、スコープ、品質、スケジュール、予算、リソース、リスクのバランスをとりながら、プロジェクトの目的を達成するんだ。

─────────────────────────────────

PMBOK4日本語 【PMP試験対策】シリーズについて。

 ベースは、PMBOKガイド4版と、"PMP Exam Prep"、通称Rita本の2本立て。PMBOKガイドを傍らに一連のエントリを「読むだけで合格する」ようなシリーズにするつもりだ。過去の記事は、以下のリンク先が入り口となっている。PMBOKガイドの古い版が元となっているが、「PMIイズム」「PM的思考」は学べる。ぜひ参照してほしい。

   【PMP試験対策】 PMBOK2000版
   【PMP試験対策】 PMBOK3版

このエントリーをはてなブックマークに追加

|

« Amazon化する図書館の挑戦「貸出履歴を利用した新しい利用者支援」 | トップページ | 油断のならない語り手「庭、灰」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【PMP試験対策】 プロジェクトマネジメント・フレームワーク:

« Amazon化する図書館の挑戦「貸出履歴を利用した新しい利用者支援」 | トップページ | 油断のならない語り手「庭、灰」 »