リチャード三世+酒呑童子=「朧の森に棲む鬼」
ときは乱世。死人(しびと)の山から、一人の男が現れる。名はライ。野心と欲望あふれ、嘘をまことと言い包める"舌先"を武器に、王になろうとした男の物語――ッ!
この「嘘」がいいんだ。だいたい名からしてライ(Lie)なんてイカしてる。そして、その名に違わず上手な嘘をつきまくる。彼を偽り、彼女を騙り、話術と詐術と策略でノシあがっていく。絶体絶命のピンチを舌先三寸で切り抜ける。オンナとカネが大好きで、ハッタリかますのもっと好き。無理を通して道理を蹴っ飛ばす。嘘がホントになり本当がウソに化ける変わる変化する。「オレを誰だと思ってやがるっ」すげぇぜアニキ!
ん?
どこかで訊いたこのセリフ――そう、この脚本は、「天元突破グレンラガン」の構成を担当した中島かずき。これは「嫁と天元突破グレンラガン」で、よしぼうさんに教えてもらったおかげ、感謝、感謝、大感謝です。
性格はこのカミナ。だが、彼が紅蓮団を率いるのではなく、国を乗っ取ろうとする話だ。魑魅魍魎あふれる国盗り物語といったところか。しかも勧善懲悪の正反対のベクトルで。後半に出てくる偽カミナが邪悪の道を選んだら、いかにも吐きそうなセリフを大喝する。
「外道?冗談じゃねぇ
これが本道だよ
俺は俺の欲望の道をまっすぐに行く
誰にも邪魔はさせねぇ!」
とか、
「この剣は、俺の舌だ
俺がしゃべる速さで剣は動く
俺の真っ赤な嘘でこの剣も赤い血に染まる
誰も俺を黙らせられねぇ
誰も俺をとめられねぇ」
「リチャード三世を換骨奪胎」と言われているが、瞼に浮かぶのは、リチャードIIIでもマクベスでもなく、蜘蛛巣城の三船敏郎。あの、悪鬼の形相がピッタリとくるのだ。最初はケレン味たっぷりの悪役に惚れているうちに――その回転が、舌の回りが速すぎて、追いつけなくなる。読んでるこっちがダマされるぅ。
これは劇場で出会いたかったなぁ…
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コメント
こんにちは。最近リーダー登録しました。
毎回楽しみに読ませて頂いております。
さて、既にご存知かもしれませんが、中島かずきは新感線という関西の人気劇団の座付作家です。
http://www.vi-shinkansen.co.jp/
舞台も同じテイストなのでおススメですよ!
投稿: まこと | 2009.09.04 03:00
はじめまして。いつも楽しく拝見しております。
朧の森~の「劇場での上映」は終了していますが(DVDは発売中)、ゲキシネという形で「舞台をフィルムで撮って流す」試みがなされています。
もし機会がございましたら、ぜひ。
(15年がとこ、この劇団を追い掛けています)
http://www.geki-cine.jp/schedule/index.html
投稿: セレステ | 2009.09.04 09:13
>>まことさん
ありがとうございます、中島かずきの名前は、「グレンラガン」が縁で教えていただきました。アツいキャラクターがいいですねっ
>>セレステさん
了解です。DVDというテがあるのですねー
とーちゃんが嫁子どもほっぽって劇場に駆けつける、なんてマズいよなーと思っていたので。
投稿: Dain | 2009.09.04 21:28
早速お読みになりましたか。
ありがとうございます。
私もかつて、新感線にはまって、劇場通いをしたり、DVDを購入して観たりしてました。
中島かずきの紡ぐアツい舞台と、レーザー、スモークはじめ、視覚に訴える演出、派手な殺陣やアクションが新感線の売りで、一流のテレビなどで活躍するスターを主演やゲストに招くことも多々あります。
人気の劇団だけあり、チケットもなかなか入手出来ないこともあり、代金も高額です。
ただ、それだけのことはある作品をいつも見せてくれるので、DVDも必見です。
最近は新感線も生き残りをかけて色々やっているみたいで、中島氏ではなく、別の劇団(大人計画)の宮藤官九郎氏に脚本を頼んでみたりもしています。
それに、劇団で有名になった古田新太氏なども他の仕事のためか舞台に出てこなくなったり、残念なことがあったりもします。
投稿: よしぼう | 2009.09.04 23:31
>>よしぼうさん
Youtube等でサワリを見るかぎり、ちょっと手が出にくいです。なのでDVDや脚本から入っていけたらと思ってます。も少し子どもが大きくなって、家族で観劇になればなーと企んでいます。
ともあれ、「中島かずき」という鍵となる名前を教えていただき、ありがとうございます
投稿: Dain | 2009.09.05 21:57
中島さん繋がりで観やすいものといえば、アニメ『大江戸ロケット』を借りて観てみるのもいいと思いますよ。
脚本は中島さんではなく旧ハガレンの方がやられていますが、原作は中島さんの演劇。
狂言めいた台詞回しやアクの強いキャラクターたちは、まさしく中島さんの舞台を意識されているようで、毎週楽しく観ていました。機会があったら是非。
投稿: yukkii22 | 2009.09.06 23:14
>>yukkii22さん
教えていただいて、ありがとうございます。
初の新感線アニメですかー
まずは原作からチェックさせていただきますねっ
投稿: Dain | 2009.09.07 06:45
こんばんは。
「大江戸ロケット」について少し。
芝居としては、いしだ壱成が主演でしたが、主役が大麻騒ぎで公演途中で捕まり、主役が交代になったことで有名です。
なぜこのいわく付きの作品をアニメ化したのかは分かりませんが、「グレンラガン」ほど話題にはなりませんでしたが、マニアの間では知られています。
脚本とDVDが出ています。
脚本はamazon当たりを見て下さい。
DVDは昔の作品なので、
「劇団☆新感線20th century BOX」に収録されています。36000円と少しお値段張りますが、昔の作品をまとめて観るのには便利です。
投稿: よしぼう | 2009.09.08 21:40
>>よしぼうさん
情報ありがとうございます。
行きつけの図書館に総当りしたのですが、軒並みアウトだったので、レンタル屋さんを地道に回ってみますね。
舞台であれアニメであれ、映像化されたものよりもむしろ、脚本そのものの方に興奮できたりするので、「注意」しながら探します。
投稿: Dain | 2009.09.08 23:10
脚本はあまり図書館で評価は高くないので、大変だと思いますが、たまに目当てのものが置いてあることもあります。(これで、中島かずきではないけれど、野田秀樹にハマったことがあります)
amazonあたりを使うとかなり確実です。
DVDはE!oshbai(株式会社ヴィレッチ)という会社が一括販売しています。
演劇のDVDは、レンタル店で見かけたことはありませんが、探せばあるかもしれません。(私の場合、近所の紀伊国屋書店に置いてあったので、探し易かったです)
以前も載せたことがあるのですが、E!oshbai(株式会社ヴィレッチ)のアドレスを引用します。
DVDはだいたい6000円ぐらいです。(特典がつくと2000円ほど高くなります)
http://www.e-oshibai.com/
http://www.e-oshibai.com/search/group.html
投稿: よしぼう | 2009.09.08 23:31
>>よしぼうさん
了解です、そしてその通りです。
劇物はナマモノですから、図書館の網をスルーしてしまいがちですね。お金ためてAmazonに行きます…
投稿: Dain | 2009.09.09 23:30
いろいろ書いてきて、そろそろウザくなったのではないかと思うので、そろそろ終わりにしますが、
すみません。DVD高かったですか。
確かに”演劇”って、
”一見さんお断り”みたいなところがあります。
脚本もDVDも、結局は”劇団の収入”になるような面があって、コアなファン向けなんですよね。
劇団の”公演”があると、そこでファンのために”販売”するんです。
手に入らない場合は通信販売で買うわけです。
新感線の場合、チケットが1万円以上するので、DVDは約半額で結構おトクなんですが、確かに高いです。
私の場合、近所の紀伊国屋に演劇のコーナーが充実しているので、通信販売を通さず楽に手に入ったので、良かったです。
図書館につては”釈迦に説法”でしょうが、
近くの図書館のOPACを検索すると、
中島かずきの代表作がかなり在庫にありました。
Dainさんの近くの図書館は全滅みたいですが、
図書館は相互貸借の制度があり、
他の地域の図書館から取り寄せてもらえるので、頼んでみると、案外”図書館で中島かずきを読む”という難事も可能かもしれません。
投稿: よしぼう | 2009.09.10 19:45
>>よしぼうさん
ああ、これはわたしの説明不足ですゴメンナサイ。
図書館で探したのは、まさにそのDVDです。5地区の図書館をメ一杯に使っており、映像関連も充実しているので、借りてみればいいや、と考えていたのです――もちろん、そんな「コアなファン向け」の媒体など図書館にあるべくもなく、わずか「阿修羅城の瞳」だけ見つかるという次第…
いっぽう、中島かずきの脚本・原作本は山ほど見つけています。「髑髏城の七人」「アテルイ」「花の紅天狗」「七芒星」「君は時のかなたへ」等など、よりどりみどり状態です。コミック版「天元突破グレンラガン」まで揃っています(w
いまは「朧の森に棲む鬼」にアてられて、シェイクスピアの読みなおしをしています。でもって「大江戸ロケット」に手を出してみようかと。
投稿: Dain | 2009.09.11 00:04