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【PMP試験対策】 PMIイズムについて(その1)

 【PMP試験対策】は、PMBOK4版をベースに、PMP試験の傾向と対策をまとめるシリーズ。

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 一言、「プロジェクト」といっても多岐種々に渡る。

 もちろんPMBOKガイドには「プロジェクトの定義」だの「PMの役割(立場)」が挙げられているが、その大きさや距離感は人により・経験により、まるで違う。だから、自らの知識・経験でもって答えようとすると、必ずといっていいほど間違える。だからといって自身の経験が「誤り」というのではないのが痛くて痒いところ。

 そうならないための「考え方」というものがある。これはPMBOKガイドに明確に書かれているものから、ガイドから「類推して」推定できうるものまで、たくさんある。Rita本ではこの考え方のことを、「PMIイズム」と呼んでいる。

 これは、PMIの考える「あるべきPMの姿」や「(想定される)プロジェクト感覚」のことで、知ると知らぬとではかなりの差がつく。それなりに勉強したにもかかわらず、「Fail」の結果になった人は、このPMIイズムではなく、自分の経験に照らして答えていたからではないかと推察する。

  1. プロジェクトの「大きさ」について。PMBOKガイドで定義されるプロジェクトとは、「有期性、独自性、段階的詳細化」だろうが、その大きさは、「かなり」のもの。もともとPMBOKガイドの母体がNASAのプロジェクトマネジメントのため、それなりのデカさを誇る。途上国での灌漑プロジェクトや、化学プラントの建設プロジェクトといったものを想像してほしい。Rita本では、「200人程度が携わる多国籍プロジェクトで、最低でも一年、100万ドルの予算」だという
  2. 組織形態にもよるが、権限のないPMを経験していると、「プロマネとは、プロジェクトをサポートし、各担当に何をするべきかを告げてまわる人」という誤解を生じることがある。権限の強い弱いはあるけれど、PMは「プロジェクトをマネジメントすることに責任を負い、その権限を有する個人」のこと。プロジェクトをマネジメントすることとは、全プロセスの権能を有し、全プロセスを遂行することを指す。ただし、全部PMひとりで、というわけじゃないから、安心して
  3. PMはプロジェクト立ち上げ期に任命され、プロジェクトのどのプロセスをどの順番・タイミングで行うのか(さらに、なぜその順番なのか)熟知している(ものとみなされる)。さらに、PMの主要な仕事は、見積もりとプランニングとマネジメント、そして「スコープ/タイム/コスト/品質/リスク/リソース」のコントロール、および、顧客を満足させることである。それだけのリソース(権限)を任されているのが「あるべきPM」なのだが、現実はかなりかけ離れている場合が多い…が、現実に即して答えるとミスるので要注意
  4. 組織はPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を有しており、プロジェクトへの権威付けを行う。さらに、組織はプロジェクトマネジメントのポリシー、方法論、リスク管理や品質管理の手法、過去の教訓をアーカイブしており、PMはそれらを適用ことができる――はずなのだが、はずなのだが、実際はそうではないね。PMOはPMのフキダマリだったり、会社が用意するマネジメント手順書はゴミだったり――だけど、「あるべきPMO」はこれなんだ
  5. WBS(ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー)は全てのプロジェクト計画の基礎となるものであり、どんなプロジェクトでも有用なものである。さらに、WBSは階層構造をもっており、単なる「ToDoリスト」ではない
  6. ステークホルダーはプロジェクトにより「損得が発生する人」であり、プロジェクト全体を通じてかかわってくる。ステークホルダーの要望は計画時とコミュニケーションマネジメント時に考慮・反映される。あるいは、ステークホルダーの意見は、リスクを洗い出す際にも用いられる

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PMBOK4日本語 【PMP試験対策】シリーズについて。

 ベースは、PMBOKガイド4版と、"PMP Exam Prep"、通称Rita本の2本立て。PMBOKガイドを傍らに一連のエントリを「読むだけで合格する」ようなシリーズにするつもりだ。過去の記事は、以下のリンク先が入り口となっている。PMBOKガイドの古い版が元となっているが、「PMIイズム」「PM的思考」は学べる。ぜひ参照してほしい。

   【PMP試験対策】 PMBOK2000版
   【PMP試験対策】 PMBOK3版

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