新米パパのための3冊
敬慕する切込隊長殿にジュニアが誕生したとのこと。おめでとうございます!
わたしのblogから、とーちゃん一年生にお役に立ちそうなエントリをピックアップしてみる。刹那的な人生感覚から、生きることに貪欲になったのは、嫁さんと子どものおかげ。「親になって一人前」というセンシティブな言葉があるけれど、すくなくともわたしにとっては真だった。親をやらせてもらっているおかげで、わたしは「まとも」に生きていられるのだから。
まずは、夜泣き対策。[入門編]と[応用編]がある。個人差があるので必ず、とは言えない。けれど、泣き続ける子どもに殺意を抱かないために、こういう対策がありますよと伝えたい。
世の中は便利になったもので、ズバリまんまのこういう本がある「赤ちゃんがピタリ泣きやむ魔法のスイッチ」。とりあえずいま泣いている赤ちゃんを静める方法(お包み+シーッ)は有効だった。「抱っこして限界まで歩き続ける」とか、「自動車で深夜ドライブ」といった忍耐と精神力を試すような方法よりも、まず本書をお試しあれ。
それから、一部の育児書にあるけれど、「泣いてる赤子は、押入れなどに閉じ込めて、ずっと放っておけ」というアドバイスには不賛成。理由は、次の通り。
どんなに泣き叫んでも誰もこないならば、赤子は泣き寝入りするだろう。「死にゃしない」と考えるのは勝手なのだが、そういう風に育てられた子どもは大きくなると、ある傾向が見受けられるという。
それは人を信じる心が欠けていること。「泣く→めんどうを見てくれる」の繰り返しによって、赤ん坊は「泣いたら世話してくれる」ことを知る。さらに「泣いたら助けてくれる存在=親」を信じるようになる。
どんなに泣き叫んでも誰もこなかった夜が繰り返されると、赤ん坊はついには絶対に泣かなくなる。「泣いても助けてくれない」ことに諦めてしまう心ができあがる。この子は長じて「人を信じる」という心が抜け落ちてしまっている――これは、「子どもへのまなざし」の受け売り。「育児書」のコーナーにいくと、山ほどこのテの本がそろっているが、パパ一年生にとって最も重要な一冊はこれ。
子育てというと、「対子ども」に視線が移りがちだが、むしろ重要なのは嫁さんとの関係。恥ずかしながら、「嫁さんをいたわる」とは具体的にどういう行動かを、本書によって思い知った。
親マニュアル本としてなら、「子育てハッピーアドバイス」という鉄板を立ち読みすればよろしい。けどあたりまえのことがあたりまえに書いてあるので、隊長殿には物足りないかと。「子どもの話にどんな返事をしてますか?」がオススメ。親を自覚するようになると、ハッとすることを沢山見つけるに違いない。
たとえば、正しい怒り方。感情を噴出させる方法があり、自覚しながら正しく怒る。子どもに激情をぶつけ、自分がスッキリするために怒るのではない。親にも堪忍袋の緒というのがあることを理解させ、すべきこと/してはいけないことをハッキリと思い知らせるために、怒るのだ。正しく怒るため、次の3つの準備をしておく必要がある。
- 子どもの相手をしていると、怒りを感じるという事実を受け入れる(わたしたちは聖人ではない)
- 罪の意識や恥を感じることなく、怒る権利を持ち、感じたことを表現する権利がある(怒りは悪徳ではない)。
- ただし、怒りを表現するとき、子どもの人格や性格を攻撃してはならない。怒りはコントロールできる。怒ることを止めるのではなく、正しく「怒る」
「親になったら読みたい○冊」シリーズでいくつか紹介してきたけれど、実用度と有用度のベスト3冊は、上述の通り。がんばって、新米パパ!
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コメント
三歳児と三ヶ月の子どもの父親だけど、「子どもの話にどんな返事をしてますか?」は気になるなぁ。
投稿: そふ | 2009.09.17 10:01
>>そふさん
逆説的なのですが、「父親…子ども」の関係よりも、むしろ夫婦関係のほうが重要だと思います。夫が妻をいたわり・おもいやる様子を見て、子どもは「いたわる」とは何か、「おもいやる」とは何か、そして愛情とはなにかを学ぶのです。これは、「子どもへのまなざし」の受け売りですが、日々この思いを強くしています。
投稿: Dain | 2009.09.18 01:28
「泣いたら世話してくれる、泣けばなんとかなる」
事を知ることによって超わがままな子供になるケースもある。
泣いた時に放置しても他で信頼関係は築けるから
一概には駄目とは言えないかと。
子供の性質を見極めた上で取捨選択すべきだから
あまり気に入ったマニュアル本に傾倒するのも問題ですよね。
といいつつこの手の本をつい買っちゃう自分がいる。
子供は生もの、子育てはほんと難しい。
投稿: Natsu | 2009.09.23 07:10
>>Natsu さん
そうですね、自分が信じるものを軸にすえればよいかと…ただ、
> 「泣いたら世話してくれる、泣けばなんとかなる」
> 事を知ることによって超わがままな子供になるケースもある。
が、Natsu さんオリジナルでないのなら、ぜひ出典を教えていただけると幸いです。本当にそうなのであれば、その因果が何を根拠にしているのか、ぜひ知りたいので。
投稿: Dain | 2009.09.23 08:41
>>Dainさん
ありがとうございます。
大人は子どもの手本ですからね。子どもが生まれたことは、日頃の自分の行動を見つめなおすきっかけになりましたよ。
泣いた時に放置したとしても、しばらくしたらちゃんとお話して、最後はぎゅっと抱きしめておしまい。
その後は楽しく遊ぶってのが一応ウチの方針。
子育てって大変ですよね。
投稿: そふ | 2009.09.25 16:24
>>そふさん
親を楽しむ呪文として、次のなんていかがでしょう――「子どもは親の言うことなんて聞かないが、親のマネだけは抜群に上手い」。子どもの言動に「わたし」を見つけるとき、けっこう感動するものがあります。
最近の感動は、「ありがとう」です。ナントカの一つ覚えのように、嫁さんに感謝の意を表していたら、子どもも自然に「ありがとう」が出てくるようになりました。周りに感謝しながら育ってくれるといいなーという思いがあったので、初めて気づいたとき、ちょっと目頭が…(馬鹿親まっしぐらですなw)。
その反対に、子どもの発言に自分の「嫌」なところを見つけるときも…ありますね。
投稿: Dain | 2009.09.25 21:16
夜泣き放置に対する考察にとても同意です。
もちろん他の場面も含めた総合的な視点で判断しないといけないと思いますが、
総合的にも放置してしまうと子は親だけでなく人に頼れない性格になってしまうと考えています。
実体験として幼稚園ごろから放置され続けて成人しましたが、
親に対して精神的に甘えたり頼ったりした覚えがなく、相談したいと思ったこともありません。そばにいると息苦しさしか感じない。
なんでも自分でできるようになることを目指してしまい、人に頼ることにとても抵抗を感じます。
他人に対して「なにか失敗したらすぐ攻撃される」といったような警戒心が第一に来てしまって気遣いされることを期待できない。
会社で強制的に人と交流するようになってからは人の優しさにも触れ、優しい人が多くいることは頭では理解できていますが、反射的に身構えてしまう。
といった具合です。
投稿: Hi | 2009.09.28 21:52
>>Hiさん
それなんてワタシw
わたしも一緒です。放置された記憶は残っていないのですが、まさに「なんでも自分でできるようになることを目指してしまい、人に頼ることにとても抵抗を感じます」の通りの人生を歩んできました──このトシになって無理して損してきたなぁ、と痛く感じています。
そのせいか、子どもには同じようになってほしくない、もっと人を信じて頼りにしていい(相手もそうなのだから)、と強く願うのです。
投稿: Dain | 2009.09.28 23:44
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2648694/4704098
「子どもに定期的にあめやチョコレートを与えると、その子どもは、欲しい物をどうやって待つかを学ばなくなってしまうのではないか。そうなると、満足を得られるまで我慢するということができなくなり、衝動的な行動に走ることになる。そしてこの衝動は、非行と強く結びついている」
これと似たような流れで
泣いた時に世話をする事で泣けば何とかなると理解するケースがあっても不思議じゃないと思います。
自分の周りの甘やかされた人って総じて我が儘で我慢を知らないですし。
けど泣いている赤ん坊をずっと放っておくのは出来そうもない…
投稿: Taku | 2009.10.02 16:19
>>Takuさん
大丈夫です、わたしもかつて同じことを考えて、既に結論が出ていますから。
ご指摘の話は「5歳や10歳の子ども」のことであって、ここで話題にしているのは、その前の段階です。子どもに我慢を覚えさせなければならないことは、もちろん承知していますが、だからといって、赤ん坊の頃から「我慢」させる必要はありません。「我慢」を覚えさせるために放置プレイは、極端というより、むしろ無茶です。我慢の何たるかどころか、衝動を押さえ込むなんて、赤ちゃんは知ったこっちゃないですから。
赤ん坊の頃は、まず「親を信頼する」「親に安心する」ように、なるべく努めるほうがいいでしょう。で、「我慢する」ことが自覚できるような年齢になったら、そう躾ければよいかと。
定期的に出る、こういう「親を不安がらせる情報」に惑わされないためにも、原則本を持つことをオススメします。
投稿: Dain | 2009.10.03 10:05