スキとかキライとか、最初に言い出したのは、誰なのかしら→今からそいつを、これからそいつを、殴りにいこうか→「神のみぞ知るセカイ」
あらゆるギャルゲーを極め、「現実なんてクソゲーだ」と、断じる主人公は正しい。
空から降ってきた小悪魔が主人公に課す試練。それは、「女の子の心のスキマを恋で埋める」こと。そのために、ターゲットとなったオンナの子を攻略し、キスをすることが必要となる。ところが問題が。主人公の男の子はコアなギャルゲーマー、つまり3Dの少女には興味がないのだ。
あいや、待たれい。設定がギャルゲだからといって、ギャルゲーマー御用達だけとは限らないぞ。攻略対象を分析し、自分の現在位置を把握する。そのギャップを埋めるための施策を、実績あるパターンから取捨選択し、最も効果的な手法からステップを踏んで適用する――カッコイイ言い方していいなら、コンサルタントの Fit and Gap Analysis そのもの。
しかも、打ち手の効果が見込めないとき、原因解析の着眼点が優れている。道具が適切で望む結果が得られないとき、最初に疑うべきは――そう、「前提」になる。「高飛車ハイソお嬢様」の一次攻略に失敗したとき、主人公が取った「変節」は、自信満々のコンサルタントそっくり。
このマンガを面白くさせているのは、こんな「お約束やぶり」だ。ギャルゲ慣れしたユーザのパロディとしての作品なら一回の読みきりで「終わる」し、そして恋愛オクテの妄想のメタファーとして描いているなら競争相手で真っ赤っ赤の「ジャンル」となる。
ギャルゲというコードに乗っかりつつも、「もしそれが現実なら…」という仮定の下にもたらされるカッコつきでお約束の「現実問題」が乗り越える壁としてあらわれてくる。しかも、その「現実」とやらもマンガの世界の話なので、読み手は二重の枠にハマることになる。「ゲームとしてのリアル」と「マンガとしてのリアル」のスキマを意識するんだ。
主人公の性格として「触れられることを嫌う」ことが象徴的だ。ゲームのオンナの子はどんなことをしても、文字通りどんなことができたとしても、触れ合うことはできない。(このルールの外はレッド・オーシャン、なんでもあり)。その上で、恋愛シミュレーションをやりこめば、恋愛上手になる――のか?という、究極の答えが分かる。
そう、テクニックは上達するが、それは恋をすることと別なんだ。床上手と愛上手は違うし、SEXマシーンはLOVEマシーンじゃない。キスが上手くなることと、キスしたくなる人を見つけることは、似て非なる。このテーマは、おそらく主人公が最後に攻略するだろうエルシィ でズバリ描かれるに違いない。
最後に。まなめさん、教えていただき、ありがとうございます。好き物には、ごほうびのようなマンガですな。「心のスキマにつけこむ」ところと、その追い出し具合から、「しゅごキャラ!」をホーフツとさせられます。薔薇乙女好きとして、オススメします。
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コメント
現実の女の子の攻略は難解な詰将棋のようなもの。
セーブロード不可。バックログなし。ファーストプレイのみ。
ゲームではありえない難条件に苦しみながらも「エンディングが見えた」
直後に光速の寄せを見せる桂馬がカッコいいです。
最後の攻略相手は地獄の女王様で彼女の攻略に成功した桂馬は
駆け魂狩りから解放される・・・と自分は予想してます(笑)
P.S 麻里さん(桂馬のママ)の出番をもっと増やしてほしいです。
投稿: ラッキーマン。 | 2009.02.02 22:16
タイトルを見ていたら、「北斗のメモリアル」とか「ときめき瞬獄殺」とか懐かしい言葉が脳裏に…
投稿: 長月 | 2009.02.03 09:31
>>ラッキーマン。 さん
> セーブロード不可。バックログなし。ファーストプレイのみ。
ああああ、確かに。
それでも、「ごほうび」は画像程度じゃないぞと言ってみたり。
>>長月さん
タイトル考えながら、「ゲスッ メモリアル」を思い出しました。
いろいろ勉強させられたなァ…
投稿: Dain | 2009.02.04 07:13