子どもと一緒に魅入る「ジャーナリスティックな地図」
成功本をどれだけ読んでも、実行しなきゃ「読まなかった」ことと一緒。
なので、「ドラゴン桜」を見習って、テレビの傍に地図帳を置いている。でもって、「ここ北京の会場では…」とか、「ドバイからのレポートです」というたびに、子どもと地図帳を開いている。
これが、結構たのしい。
グルジアやドバイの地政学的にビミョーな位置を確認しつつ、子どもには「ここは石油がたくさんあるんだよー」とか、「中国ってどれ?」といった地図遊びをする。戦争相手を地図で探せない人が大半という某超大国は、良い反面教師だ。ああはさせまい。
いま、帝国書院のオーソドックスなやつ(2006年版)と、日本に特化した地図帳の2つ持っているが、面白いものはないかとブックハントで見つけたのが「ジャーナリスティックな地図」。
現代社会における代表的な問題を「地図」の形で見える化している。問題の複雑性を地図の一覧性・視認性で表現してあり、諸側面を切り捨てるリスクはあるものの、課題の「場所」と「関係」が一目でわかる。
たとえば、環境問題。石油消費量の多い国は大きく、少ない国は小さく縮尺を変えた「世界地図」だと、米国は破裂しそうなほど膨満する一方で、アフリカ大陸は枯れ木のように見える。あるいは、東京都心のヒートアイランド化を加速しているのは、じつはシオサイトのビル林だということが「見える化」されいて興味深い。
環境、社会、政治経済、国際、文化のジャンルから、50のテーマが選び抜かれている。
環境
- 地球温暖化1(現象編) 地球温暖化によって何が起きるか
- 地球温暖化2(対策編) 急がれる地球温暖化防止への取り組み
- 北極をめぐる思惑
- 変わらない石油への依存
- 災害1(地震) 迫る大地震
- 災害2(風水害) 大水害の恐怖
- 街を熱くするヒートアイランド現象
- 積もり積もったごみ問題
社会
- 格差社会1(富の偏在) 広がる富の格差
- 格差社会2(職の不均等) 職の不均等がつくる格差社会
- 格差社会3(医療格差) 広がる医療格差
- 課題の多い日本の教育事情
- 世相を映す家計
- 古き良き時代「昭和」
- 引退を控えた団塊世代
- 日本人の病気と寿命
- 強まる少子高齢化問題
- 結婚に見る日本社会
- 離婚の背景
- 変わりつつある女性と労働
- 疲弊する企業戦士
- 自殺の背景にあるものは
- 広がる死刑制度の廃止
- あなたも参加する裁判員制度
政治経済
- 年金問題 噴出する年金をめぐる問題
- 国政選挙 日本の選挙の現状
- 政治的リーダー・国家元首・王室 世界の王室と政治的リーダー
- 企業1(日本の中小企業) ものつくり大国日本の中小企業
- 企業2(世界企業) 国を超える世界の大企業
- 株式市場 連動する世界の株式市場
- 通貨・為替 世界の通貨と米ドル
- 食問題 世界に頼る日本の食糧
- 水産資源 世界で高まる魚人気
- タクシーをめぐる規制緩和
- 特区でつかむビジネスチャンス
- 現実味を帯びてきた消費税アップ
国際
- 領土・領海問題 日本の領土・領海問題
- 北朝鮮問題 人ごとではない北朝鮮問題
- 未来の経済大国BRICs諸国
- 急速に発展する中国の光と影
- 外国人との共生
- 世界を動かすサミット
- 国連の可能性と限界
- 混迷が続くイラク情勢
- 絶えることのない世界の紛争
- 世界に展開するアメリカ軍
- 火花を散らすアメリカ大統領選挙
- 広がる自由貿易協定
- 価値が高まる知的財産権
文化娯楽
- IT社会 世界と繋がるIT社会
- マンガ・アニメ 世界で愛される日本のマンガ・アニメ
- アスリートの戦場 オリンピック
- サッカーは世界共通言語
- 人類の宝 世界遺産
- 身近になった海外旅行
統計図だけ見てても飽きないが、それぞれのコラムやグラフを読み砕いていくと、どんどん興味が広がっていく(数値の妥当性やグラフの"意図"探しといった天邪鬼的な読みになるが…)。もちろん、世界地図、日本地図、統計資料も「いつもの帝国書院」さながら充実しているのがありがたい。
政経や現社のサブテキストに読みふけった方なら、日を忘れる一冊。

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