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「チェルノブイリ旅行記」と「廃墟チェルノブイリ」

 究極の廃墟なら、チェルノブイリだろ。

 1986年4月26日未明、ウクライナ共和国、チェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故――あれから22年経った今、チェルノブイリ「石棺」周辺は、ぶっちぎりの廃墟ゾーンとして聖地なっている。

 2003年、ただ独りで、バイクで訪れた人がいる。エレナという、ウクライナの若い女性だ(彼女のサイト : [elenafilatova.com])。

 彼女によると、原子炉を中心とした「ゾーン」そのものが放射能を帯び、呪われた土地となっている。たとえば、45km離れたヴィルチャでは、ガイガーカウンターは109mRを示している。危険ではないらしいが、吸い込んだ放射塵は分からない。ホコリは地面に吸収され、土地そのものが汚染されているのだ。

 彼女の旅行記の日本語訳は[チェルノブイリへのバイク旅]にある。文章よりも写真が豊富で、ある特定の廃屋や廃ビルの「写真集」ではないところがスゴい。

 つまり、バイクに乗って延々と走っても走っても、遺棄された光景が続く。連綿とつながる写真『群』を見ていると、核戦争後の風景はきっとこんなんだろうな、と思えてくる、オオカミが支配する大地。

 この地を、「自動車」で訪れた日本人がいる。中筋純といい、廃墟写真家としていくつかモノにしている。彼はクルマで行った。現地のガイドを雇い、装備をととのえ、「石棺」のかなり近いところまで迫っている。その写真集が「廃墟チェルノブイリ」。

 人間が完全に排除され、22年ものあいだ風雨にさらされ続け、植物が支配する街。メーデー祭の直前に事故が起こり、一度も使われることのないまま朽ちていく観覧車やゴーカート。ハイクラスの生活が根底から覆り、破壊と混乱のまま捨てられていった建物群。

 そして、その向こうにクレーンを張り巡らせた巨大な棺桶が並んでいる。

 面白いな、と思ったのは、このサンクチュアリを目指す人が少なくないこと。しかし、不用意に訪れるのは死を意味する。エレナによると、この周囲は何十キロと、地図からは地名も道路も抹消されている。旅のドライバーがうっかり迷いこまないようにとの配慮らしい。

 ゾーンは広範囲にわたっているため、完全に封鎖されているわけはなく、どこからでも入り込める。しかし、地図なしで汚染された区域をウロウロするのは自殺行為に等しい。

 だから、ガイドが必要だ。「その場所」までの安全なルートとクルマ、それからガイガーカウンターを用意できる人物 ―― ここらでタルコフスキーの「ストーカー」を思い出すのだが、この映画は1979年につくられている。黙示録的という評価はむべなるかなー

 ガイド付きにせよ、単独にせよ、目的地はゾーンの中心部、「石棺」だ。映画のように、その中で「あらゆる願いがかなう」わけがない――が、生きているうちにいける最後の場所となるに違いない。

 動画ならこれが入口かな。「あの観覧車」もしっかり撮っている。

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コメント

「チェルノブイリへのバイク旅」については、こんな話もあります。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20070605/bike

ご存じだったらすみません。

投稿: rr | 2008.06.22 17:28

>> rrさん

情報ありがとうございます、知りませんでした。
バイクガセ説には「?」なことに、
めっさ写っているんですけど…

http://www.angelfire.com/extreme4/kiddofspeed/chapter4.html

http://www.angelfire.com/extreme4/kiddofspeed/chapter3.html

http://www.angelfire.com/extreme4/kiddofspeed/chapter29.html

http://www.angelfire.com/extreme4/kiddofspeed/chapter31.html

http://www.angelfire.com/extreme4/kiddofspeed/chapter32.html

(これも別場所といえば証明しようもないのですケド)


投稿: Dain | 2008.06.22 21:33

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