困ったオンナを黙らせる技術
オンナの取扱説明書。「まだ」オンナに夢や希望を抱いているヤツは読んではいけない。
主としてオフィスに生息する以下のオンナを如何に扱うかを主眼においている。著者に言わせると、次の10パターンすべてのオンナに対応できなければ、「オンナの気持ちが分かる」なんていえないそうな。やっかいながらも愛すべきオンナたちとうまくやっていくためのスキルを磨くことができる。
- キレるオンナ
- しつこいオンナ
- 逃げたがるオンナ
- やる気のないオンナ
- 浮いているオンナ
- メソメソ泣くオンナ
- 途中で投げ出すオンナ
- ひらきなおるオンナ
- 意地になったオンナ
- まわりを巻き込むオンナ
■ オンナが明かすオンナの本質
とはいうものの、「極端」な事例ばかり並ぶ。書き手は現役の女医さんで、オモシロオカシクするために煽った書き方をしているのは見逃せない。「オンナから見たオンナの裏側」というやつ。
例えば、「オンナの言葉は、その場かぎり」だという。オンナの言葉のほとんどは「その場かぎり」のもの、あきらめてくださいとのたまう。世の男性が嘆くとおり、女性の発言はしばしば整合性・一貫性に欠けるところがあるが、悪気はないそうな。ただただ、たわいもなくしゃべっているだけなんだってー
あるいは、「オンナは行間やストーリーを無視して、シンプルな結論にしがみつく」そうな。「うちの旦那は冷たい」と断定する妻にそのストーリーや前後関係を求めてもムダ。オンナにとってそんなことは本当にどうでもよくって、「あのときこう言われた」「何々をしてくれなかった」という単純命題だけが、ポンと独立して思い出す仕組みになっているという。
さらに、「オンナの辞書に『自己否定』はない」とか、「ダメ男に尽くすのは自己愛を満たしているだけ」などと、えらく挑発的だ。職場や家庭で翻弄されている男性陣にとっては、溜飲を下げる副作用もあるかも。また、「セキララなオンナ像」には著者自身も含まれていることが自覚的でよろしい。
ただ、気になるのは、言葉の端々に「割り切っちゃいなよ」とか「しょせんムリムリ」といった投げヤリ気分が漂うこと。オトコとオンナは同じ生物とはいえ、別の生き物なんだから、相互理解は不可能、あきらめちゃいな―― というメッセージにゲンナリする。
そんな、女性「性」を織り込んで、投げ出さずにつきあっていくのが男の本懐じゃないの? 「オンナだから」とテキトーにあしらっちゃったら、もったいないぞ。そういうメンド臭いところも含めて、オンナとつきあうのはかなり面白い経験だと思う。
■ 「ああ言えばこう言え!」想定問答集
いちばん使えるのは、10パターンのオンナの発言に対し、「どうやって切り返すか?」を解説した問答集。(わたしを含め)ニブい男性陣にウレシイことに、「誤答」までしっかり網羅しているところ。例えば…
「勝手にすれば!?」への対応はこう。
怒り心頭に達した最終通牒──といわれているが、実は違う。本当に気持ちが冷えて見切ったのであれば、こんなにエネルギー使って怒りをぶつけることなんてしない。ホントに愛想をつかせば、黙ってそっと行ってしまうもの。言葉の上でキレられているうちはまだ脈あり。
逆に、ここまで激しいセリフをぶつけてくるということは、その女性にとってかなりの重要人物だということ。それくらい「身内意識・味方感覚」を持っていることの裏返し。だから、「そこまで僕のことを買いかぶってくれて、光栄だなぁ」とひそかにほくそえむべし。
正解は、「面倒だからと、勝手なことをしない」だそうな。間違っても、「カチンときて、本当に勝手に振舞ってしまう」や、「面倒くさいので、とりあえず黙り込んでしまう」のはガソリンに着火マンになる。「こんなに期待していたのに、わたしのひとり相撲だった」と肩すかしにあった寂寥感を強烈に与えてしまい、話はどんどんややこしくなってしまう。
怒りをぶつけてくるオンナからは、逃げちゃダメだ。「なぜ怒って突き放すのか?」という理由を、むしろ積極的に尋ねる態度が重要。「どうして?僕たちの問題じゃないの?」という突っ込みは、単にその場の彼女の怒りを鎮めるだけにとどまらず、彼女に「暗黙の期待」をあらためて示すことができる。つまり、味方感覚をくすぐるわけ。
ああ、たしかにわたしは誤答をくり返してきた。んで、正論でもってやりこめたので、まさに最悪の選択肢を実行してきたわけね… とはいうものの、毎回毎回「誤答」してきたわけではない。ヒートアップする相方とは逆にクールダウンして「どこがマズいのか、どうすればいいのか?」を真摯に追求したときもある。「problem to us」の構図やね。
「バカにしてるよね」にはどう返すか。
オンナは、自分の存在をどのくらい「重要視」されているか、ということにものすごく執着する生き物だそうな。必要とされたい、大切に思われたいという気持ちが強く、極端に言うと、その度合いがアイデンティティを形づくるすべてだという。だから、ひとたび「軽んじられている」と感じると、とたんにモチベーションのみならず、生命力すら低下させてしまう。
で、(ここからが重要なのだが)そこに至った原因は、その場の会話にないんだって。往々にして、すこし以前の出来事からの因果であるそうな。積もり積もった何か。だから、まずその記憶をたぐり寄せるべし――って、ああ、これも思い当たる当たる。数時間から半日ぐらい前の、モヤっとしたイラっとした会話が、直接的に言及されなくてもトリガーとなっている場合が多い。お互い、口に出さずともわかる「何か」が口論の原因なのだから、仲がいいのか悪いのか分からんね。
そして、思い当たるところを引き出しながら、素直にその態度を認めろという。「あなたをバカにしているのではない」というメッセージを強く伝えるためには、そう誤解されても仕方のないエピソードを思い出し、探し出す。
見つかったら、その部分をあえてこちから話題にのぼらせ、部分的に認めてしまう。「そう誤解されても、たしかに仕方がないね」と。その上で、「でも違う」と釈明することが重要だという。とぼけたり全否定して片付けようとすると、傷を深めることになる。たとえオンナの被害妄想からであっても、怒らせた「何か」を探し出して謝ろうとすることが、最終的に彼女の心を癒すんだってー
ううむ、眉ツバものとして聞いておこう。たとえ部分的にでも「ああ、あれ?wwwホントだよバカにしてたんだwwwそこだけwww」なんて言ったら刺されるよマジで――冗談さておき、怒らせてしまった何かを必死に探すのは男子共通のリアクションかも。
「どうせ、私、ジャマなんでしょ」のフォロー。
いじけたオンナをどうリカバるか。あからさまなイヤミ・あてつけに対しては、カチンときてはいけない。わたしがやってしまう失敗は、「何が言いたいのか、はっきり言えば?」とか「そんなわけないだろ」、最悪は「結局○○なんだろ」とまとめてしまうところ。これでなんべん涙の雨を降らせたことか…オンナの極端な自己卑下は、単なる強いイジケの表現。だから、リクツで問答しあうとこじれた論争になるという。
「どうせ」でイジケているときのオンナは被害妄想の鬼と化しているから、何か言葉を返せば返すほど、その言葉の中からネガティブな単語だけを拾ってインネンをつけてからんでくる。例えば、
なんでそんなこと言うの? | → 「ソンナことですってぇ、どうせその程度よね」 |
おかしいなぁ、なんでそう思うの? | → 「オカシイ?私の頭がオカシイってわけ?」 |
こうなったら何も発声してはならない。「愛を込めて頭をコツンと」するのが得策。恋人など、もっと親しい関係であれば、腕や手をギュッとにぎることが効果テキメン。肩をギュッともんであげたり、手をポンポンとたたいたりするといいんだってー
ボディタッチはちょくちょくしてるけれど、タイミングは意識していなかった。こういった重要な場面で使うと効果大なんだね。
■ 面白うて、やがて悲しき「オンナだけ?」
自己中だったり自己憐憫のカタマリだったり、おかしなオンナの交わしかたを読み進むにつれて、当然のように「これって、ホントにオンナだけの話?」という恐ろしい疑問が現れてくる。もちろん、オンナに限らない。「ハハッ、オンナってバカだよな」と笑ってるオトコが焙り出されていることに気づく。
例えば、「これやって!」「いいからやって!」とゴリ押しする人。「やってほしいこと」そのものよりも、その要求が通ることの方に重きを置く人がいる。その人にとって、「要求=プライド」の等式がシンプルに成立しているから。
つまり、要求を通すことで、プライドが引き立てられていることを確認できるのだ。オトコ・オンナ、関係なくこんな人がいる。対応策は、そのプライドの重要性をきちんと認めてあげること。その上で丁寧キッパリ断る。
あるいは、「こんなシゴト、ムナシイ」とやる気のない人。「Become 目標」ばかりを追求しすぎた結果だという。つまり、「○○というクルマを買う」「三年後には部長クラスに昇進する」というような、「わたしはこうなりたい(wish to become)」といった具体的な目標ばかり追いかけていると、満たしても満たしても、次の「欲しいもの」が出てくる。遅かれ早かれ、エネルギーが枯渇してくる。
これには、「Being 目標」を明確に持っている必要があるという。「わたしはこうありたい(wish to being)」という日々の生きざまに対するセルフイメージを目標化する。たとえば、「人の意見に対し、できるだけ肯定的な自分でありたい」「変えられるものは、変える勇気を、変えられないものは、受け容れる心の平和を持ちたい」――って、これもオスメス関係ないだろうね。
男女の性による違いから出発して、いつのまにか男女を超えた人性まで話を持ってくる―― 狙って書いたのならスゴ本級だけれど、著者に自覚はなさそうだ。もちろんそんなことはなく、途中からどっちともとれる「職場のコマッタちゃんの扱い方」話に陥っている。
それでも、脳やら遺伝子をこねくり回して「オトコは○○、オンナは△△」と断定するクミコセンセやバーバラセンセよりは、うんと使える一冊。なんたって、実地のカウンセリングに基づいた知見だからね。
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コメント
これは面白そうだ!ってことで、買ってきて読みました。
あああぁぁぁ。めんどうくせええぇぇ!(笑
部下ならともかく、こういう人が(男性であっても)上司だったりするとかなりしんどそうですね…
いきなり全部は無理ですが、とりあえず出来そうなところから手をつけていきます…
# アラビアの夜の種族、大変面白かったです。ありがとうございます。
投稿: jolyholy | 2008.05.29 00:01
>> jolyholyさん
> あああぁぁぁ。めんどうくせええぇぇ!(笑
あああああああ、分かります、その気持ち痛いほど。
でも、そのヘンを上手いことマネジメントすることが、「オトコの器量」なんじゃないかなーと自問自答する日々です。
「アラビア」を超える/匹敵するスゴいヤツがあったら、ぜひ教えてくださいね。
投稿: Dain | 2008.05.30 00:21
めんどくさw
女ってバカなのか?と思ってしまうものだったな
投稿: 名無し | 2017.01.23 16:40