なぜ女は片づけができないのか?「持たない暮らし」
「片づける=収納する=仕舞う」という固定観念から逃れることはできない。というのも、「なぜ片付けられないか」について唯一かつ根源的な原因が理解できないから→【答】モノが多すぎる。だから、仕舞うための「棚や箱というモノ」が部屋を占拠しはじめる。
―― なんて嫁を挑発すると、「君のカイショーがないからだ」と一蹴。ごめんなさいがんばります。それでも、あふれるモノに侵蝕されているのは、わが家だけではない。だから、「持たない暮らし」なんてステキな本が出る。
本書の主張はシンプル。「もったいない」からといって、大量のモノを抱え込み、使いもせず、譲りもせず、捨てることもしない。そのうち、持っていることすら忘れてしまっている。死蔵品が部屋を占領しているのに気づかず、「収納できない…」と悩むのはバカバカしい。
だから、
使っていないものは、「使う人にあげる」、「売る」、「寄付する」。行き先が見つからなければ、残念ですが「捨てる」。そうしないと、家も人生も、モノに乗っ取られてしまいます。
処分するというのは決していいことではありませんし、手間隙もかかりますが、捨てるべき時は潔く捨てて、もう二度と、ムダにモノを捨てずに済むような生き方を考えればいいのです。そのほうがずっと、幸せになれますよ。
そして、そのための方法や習慣を、具体的に紹介している。単なる節約術や捨てる技術と異なり、「持たないためのモノとの付き合い方」といった"考え方"までたどりついているのがミソ。「片づける=収納する=仕舞う」のループの外側に立っている。
■ モノに付随するプロセスに着目する
目からウロコだったのは、モノそのものよりも、モノに付随するプロセスが無くなる、という指摘。こんなカンジ…
- 粗品や景品をもらわない
- 100円ショップに行かない
- 本当に欲しいもの(お気に入り)を購入
- モノの絶対量が減る
- 収納術なし
- 片づけラクラク
なるほど!「濡れたり汚れた足は何で拭くんだろう」という疑問は残るが、「そのモノを扱う手間が省ける」は確かに魅力的だ。モノとの付き合いとは、モノそれ自体だけでなく、モノに付随する手間も入っているワケ。わが家には、マット類(玄関、台所、トイレ)が一切ありません。だから、収納、取替、洗濯に費やす手間もかけずに済みます。モノが場所を取らないだけでなく、モノから派生するプロセスが一切なくなるのです。
■ モノとダイエットの共通点
モノとの付き合い方について、「ダイエット」のメタファーが分かりやすい。ダイエットの原則はこうだ。
「 摂取カロリー < 消費カロリー 」 → 体重は減る
「 摂取カロリー > 消費カロリー 」 → 体重は増える
だから、摂るカロリーの量を減らすか、カロリーの消費を増やせば、体重は減る。アタリマエというなかれ。「ダイエットに成功したから食事を元に戻して運動しなくなった」例をいくつか知っているデショ?
「 入ってくるモノの量 < 出て行くモノの量 」 → モノは減る
「 入ってくるモノの量 > 出て行くモノの量 」 → モノは増える
モノも同じ。リビングのモノが増えている理由は簡単。リビングに持ち込むモノが持ち出すモノより多いから。アタリマエと気づきにくいのは、そのスピードがゆっくりとしているから。贅肉は時間をかけてついてくる。
一気にダイエットするのは、ゴッソリ捨てることと一緒。一時的にスッキリするだけで、モノをため込む習慣を変えない限り、またモノは増えていく。リバウンドを避けるために、ライフスタイルから変えていく必要がある。
■ 習慣を味方につける
いちどに全部はムリ。だから、入りやすいもの・続けやすいものから始めていく。モノを減らすのではなく、「モノを減らす習慣」を身に付けるわけだ。
「マイバック」は上手い例。外出するときはマイバックを持つ、とか、買物するときは「袋は要りません」と断ることから始めてみては、と提案している。「ウチもやってるよ!」というツッコミは、わたしもした。
ところが、この習慣から、
- 外から持ち込まないようになると、家の中から、レジ袋だけは片付き始める
- 整理整頓をする前にレジ袋自体が無くなっていくので、レジ袋をたたんだり片付けたりする手間がなくなる
- レジ袋のような袋が必要になったら、今度は、市販されているポリ袋をお金を出して買う
■ 「持たない暮らし」のための7つの習慣
「持たない暮らし」そのものがライフスタイル。そのための習慣が7つあるという。まとめると、
- もらわない : 「使うかもしれない」モノは、もらう理由にならない
- 買わない : 100円ショップは極力避ける、「安いから」は買う理由にならない
- ストックしない : 大量に在庫を抱え込むと、部屋が狭くなる
- 捨てる : 最終手段。そして二度と捨てずに済むようにする
- 代用する : 「じょうご」の代用品が秀逸
- 借りる : たまにしか使わないモノのためのスペースはもったいない
- なしで済ます : なくても済むもののために、買わない
こいつぁ嫁に読ませてやりたいねぇ、と嘆息していると、「女は片付けできないなんて言うけど、そういう君はやれてるの?」と真顔&至近距離で訊かれて轟沈。
ごめんなさいがんばります。
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コメント
>4.捨てる : 最終手段。そして二度と捨てずに済むようにする
と一言で書けますが実際のところ捨てるのってなかなか難しい。
そこんとこに特化した書籍として『辰巳渚の「捨てる!」生活』はいかがでしょうか
投稿: AoVA | 2007.09.21 14:04
ここまで書かれちゃうと著者がかわいそーw
というか自分の場合、部屋を片付ける秘訣として、
①片付けたいエリアの物を一つだけ毎日片付ける。
②親が死のうが隕石が直撃しようが、必ず一つだけ片付ける。
この2点を守るだけで1ヶ月もしないうちに部屋がかなり整頓されます。調子に乗って2つ3つと片付けたりする日もあるので、かなりキレイになります。即実行!
投稿: たぬ | 2007.09.22 19:50
>> AoVA さん
オススメありがとうございます
「捨てる」のは、たしかに難しいです
それでも、可能です
いっぽう、
「最初から持たないように心がける」は、
もっと難しいです
>> たぬ さん
> ①片付けたいエリアの物を一つだけ毎日片付ける。
あ、これは独身時代にやったことがあります
「片付いた場所」がどんどん増えていくのが嬉しかったです
「即実行」は重要ですね
実用書をレビューするとき痛感するのですが、読んだだけで、OKという気になって、結局何もしないのがなんと多いことか…
投稿: Dain | 2007.09.23 23:03
うちの彼女に聞かせてやりたい。まじで。
投稿: きゃろっとっと | 2007.09.24 08:32
こういうのって結局
空間の価値と物の価値
がどっちがどんだけーって話ですよね。
空間の価値と物の価値って生きている場所と時間によってぜんぜん違います。
物の価値なんて本人価値だけじゃなく時系列にそった価値なんて人間じゃ判断不可能。
なんでも鑑定団のおもちゃの見てるとはっきりわかります。
対する空間の価値なんて今の時象以外の時系列価値はそれほど問われないから、わかりやすい。
ようするに今ゴミでも未来でゴミ?っていうのは難しいってわけですわ。
パリの街角を克明に書いた画家いました
死ぬまで彼は画家として認められんと
極貧の中死んだ
21世紀になって彼の絵は認められた。
彼の望んだ芸術的価値はあいかわらずやけど
写真のない時代の写真的なパリ
って価値は認められた。
こんな話読むとどんなもんでも価値がある!
と思えるし、そんなこといってるとゴミもすてられん。
息子・娘の作文だって稚拙でもなんでもそれぞれの結婚式にはとーちゃんかーちゃん当事者ついでに列席者かて感涙で池ができそうになるし。
普通のもんならいざしらずヒューマンな要素が含まれそうなもんは後で後悔する分まで含めて判断
した方がええよ
つー話です
投稿: とおりすがり | 2007.09.24 17:20
>> きゃろっとっと さん
あああ、ソコは激しく同意かつ異議ありです
「彼女」を変えようとすると必ず失敗します
むしろ反発を招くかも
──なんて、わざわざ言うまでもなくご存知かもしれませんが…
オンナというのは「そういうもの」なので、
男性陣が裏から働きかけるかコッソリ自分でヤルしかないのかも
>> とおりすがり さん
> 空間の価値と物の価値
> がどっちがどんだけーって話ですよね。
その通りですね
ただ、「その時は必要or重要だと思った」ことで買ってしまったモノ群に部屋を占領されて落ち込む女性を見ると、↑の真理がこれっぽっちも理解できないんじゃぁないかと
投稿: Dain | 2007.09.24 22:18
まあ、片付けは性別に関わらず、本人がやる気にならないとまったく進みませんよね。私も苦手なのですが。
最近出た片付け関連本では「片付けられない女魂」も面白いので、機会がありましたらぜひ。
きっと何か理由があるんですよ。彼氏彼女の仲であっても、結婚してる仲であっても、理解および共感には到達し得ない何かが。
投稿: 「そういうもの」 | 2007.09.24 23:53
@niftyトップページ「旬の話題ブログ」コーナーにて、
9/22に本ページの記事を紹介させて頂きました。
紹介記事については、「旬の話題ブログ」バックナンバーで
半年間、ご覧いただけます。
今後も旬な話題の記事を楽しみにしておりますので、
引き続き@niftyをご愛顧の程、よろしくお願い致します。
ありがとうございました。
@nifty「旬の話題ブログ」スタッフ
投稿: 「旬の話題ブログ」スタッフ | 2007.09.25 11:00
>>「そういうもの」さん
周囲のオンナだけを見て一般論を語る危険はありますが、これだけ「証拠」を見せ付けられると、やっぱり何かあるんでしょうね…
理解はできても共感するにはためらわれる何かが…
地道にガンバります
投稿: Dain | 2007.09.26 01:13
内向的で家の中で何かを楽しもうとする人と、外交的で家にいる時間が少なく、
家で何かをすることの少ない人の違いだと感じてます。
物が多くても綺麗ならかまわないんですが、昔流行った?汚部屋とかは理解できないですね。
物が多い=女 汚部屋=男 ってイメージですね。
投稿: | 2007.09.26 23:46
いつも拝見させていただいております。当方オンナです。
自分と周囲の様子を見て考えるに、男性は収納が上手な方が多い気がします。うちの彼氏の持ち物は私よりはるかに数も体積も多いですが、うまい具合にDIYも駆使してちゃちゃっと片付けてしまうんですよね。私が「どうやって片付けよう…」と悩んでいる間に手ごろな収納家具を持ってきてさっさときれいにしてしまったり。その手腕を見るにつけ関心するばかりです。
あとはその手腕をもう少しマメに発揮してくれればと思います。日々の掃除やら洗いものはほとんど私の仕事です。
投稿: yuha | 2007.09.29 14:31
>> 名無しさん
> 物が多い=女 汚部屋=男 ってイメージ
ああ、なんとなく想像がつきます。
(もちろん例外もありますが)モノが少ない女性、というのはあまりいないような…
>> yuha さん
わたしと違った意見なので、嬉しいです。確かに、片付けの上手・下手は重要です。しかし、そもそも女性のほうがモノ持ちなので、片付けが上手くいかないのではないかと。
着るもののパーツとか化粧道具とか髪まわりとか。さらに、世の「試供品」は圧倒的に女性を向いているような…
投稿: Dain | 2007.09.29 22:53
よくわかりました。今まで片付けられない理由が。ライフスタイル、自分自身全体というか。こうありたいという内なる目標を忘れていました。ありがとう。
投稿: さむ | 2007.10.11 01:59
>> さむ さん
ええと、だれでもこの傾向はあります。この著者さんだって、カンペキにできているわけでもなさそうだし。むしろ、「片づけられない場所が、○○によってできるようになった」レポートとして読めば有用かと。
投稿: Dain | 2007.10.12 23:54