全上司必読「もし部下がうつになったら」
全上司必読の一冊。そう「なる」前に読んでおくのと読んでいないのとでは、えらく違ってくる。予防の1オンスは治療の1ポンドに勝る。
7人に1人は「うつ」になるという時代だそうな。うん、プロジェクトの火消しに没頭するあまり、自分に燃え移っていることに気付かず、火だるまになったことがある。罵倒と怒号が飛び交う火事場で残業100超を3ヶ月続けると、確かにおかしくなったよ。
うつになる人が増えているということは、うつになる同僚が増えているともいえる。さらに、うつになる部下が増えていることでもある。
しかし、うつになった社員にどう対応するべきかは、企業レベルでは浸透しておらず、部下から診断書を見せられて困惑する「上司」が大多数だろう。しかも、そうした「上司」は、出世競争のいわばサバイバーなので、うつになった部下の気持ちが理解しにくい。
本書はそうした「上司」たちに向けて書かれている。業務量は変わらないまま、ギリギリの人数で仕事をしている現状で、おいそれと人は増やせない、仕事も減らせない。しかも部下が「うつ」になった。どうする? の具体的な対処がこれ。
例えば「うつ」になった部下との接し方について。どこかで聞いたことがあるかもしれないが、本書では具体的にどう応えればいいか説明してくれている。
- 「がんばれ」は禁句なのは知った上で応対する具体例
- 受容→傾聴→共感の3ステップで聞き役に徹する
- 「さっきから相槌ばっかり打っているだけじゃありませんか? 私は辞めたほうがいいのでしょうか?」とYES/NOで迫られた場合→受容+オウム返し
- PMや代替の利かないメンバーがうつになった場合→到達点の明確化+医師を含むサポート体制の構築
上司が前半を読むと、職場の人にはどう伝えればよいか、休職させるか、させないか、その判断はどうすればよいかが分かる。さらに、休職させた部下をスムーズに復帰させるために、上司(と人事担当)はどのようにすればよいかが豊富な事例で紹介されている。もちろん、「失敗」した例もあるぞ。
後半は、そうなる前に上司としてしておくべきことがある。いわば、予防やね。[部下を殺すような欠陥上司]の轍を踏まないために、読んでおきたい。
「不適応」のサインを知る方法、職場のストレスを探知し緩和するためには、部下をつぶす上司の例、仕事は減らさずにストレスを減らす解決策(!)がある。最期の奴は、要するに「仕事の負荷は変えずに、裁量権と達成感を持たせよ」という方策なんだけど、直属の上司ではかなり難しい、人事担当の仕事だろうね。
わたしは、いわゆる「管理職」ではないけれど、プレイングマネジャーとしてメンバーを任されるのが常だ。次のチームビルディングの際は、ストレスマネジメントも組み込むべ。

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