心にささる一行「胸からジャック」
「胸からジャック」=「胸から惹句」に掛けている。ありふれた言葉から成っているのに、聞いた瞬間、ハートにキたものはないだろうか?そして、いつまでも胸の奥に潜んでて、フとしたはずみで当時の記憶ごと思い出すようなコピーはないだろうか?
なにも足さない。なにも引かない。
人類は麺類
恋を何年、休んでますか。
女の胸はバストといい、男の胸はハートと呼ぶ。
シアワセはシワとアセでできている。
何を憶えているかで、トシがばれてしまうかも。そんな歴代の名コピーとレシピが並ぶ。興味深いのは、本書はコピーライターのための手引書ではないということだ。では誰のため…?
これは、日本人・全員に向けた一行詩のルール集。いまうつむいて、ケータイ画面を魅入っている人、膨大なテキスト文に包囲された中で、「わたしのメッセージ」を届けたい人── つまり、誰かの胸を振動させたい人のための一行詩集+ルールブックなんだ。
日本人は、一行詩民だという。しかもかなり優秀らしい。もともと古来から、ただ一行一文で詩情を表現してきた。
短い言の葉、一行の文。これで思いを詠み、伝えることは慣れ親しんできた。だからいま、あなたのケータイの液晶画面で光を放つ文は、その延長上にある。指先でつむぎあげた短文を送受する人々を母数として、新しい文章表現が生まれるのだという。著者は「指述筆記された感語体」と名づける。短歌。俳句。川柳。みな一行一文である。いわば一行詩に、日本人は恋を詠み、国を詠み、歴史を詠み、社会を詠み、哲学を詠み、人を詠み、鳥を詠み、花を詠み、季節を詠み、風景を詠み、出会いを詠み、別れを詠み、人生を詠んできた。
ミもフタもない言い方なら、歴代の名コピーから「ビジネス」臭気を追い払ったとも言えるが、まとめて見ると一貫した「ルール」がある。をっと、ルールとはいってもstrictなやつじゃないよ、なんたって、最初のルールは「自由律である」なんだから。ルールは17ある。
- 自由律である。
- 文字数の制限はない。
- 一行詩である。
- 季語をもたない。
- 散文詩である。
- 美しい文字使い。
- 真実を伝える。
- 発見がある。
- メッセージである。
- 感慨である。
- 言葉遊びである。
- 哲学である。
- 仕事に使える。
- 愛を伝える。
- スピーチに使える。
- 人生をサポートする。
- 発表して、腕を磨く。
わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
この一行が言い尽くしている。いままで、数え切れないくらいの「あなた」から、陰に陽に、スゴい本を、教えてもらい、読んできた。それでも、1000回夏を過ごしても読みきれないぐらいのスゴ本が、まだまだある。それはきっとあなたの既読本のはず。だから、そんな「あなた」を探すために、このblogを続けていく。
人生は、有限だが、わたしは、ときどき、忘れてしまう。

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