それなんてラノベ?「わたしたちの田村くん」
ギャルゲがラノベに近づいているのか、ラノベがギャルゲ化しているのか――「フツーの男子が美少女に慕われる」話は、メディアを問わず愉しめる。わたしがそうでなかったから、ありえない過去を妄想モードで追憶するツールとして、「わたしたちの田村くん」は秀作ナリ。
でもって、「フツーの男子が慕われる」なんてコト、ありえないからこそ想像力の出番だ。なお本書では、ライトノベルに珍しく剣も魔法も超能力者も出てこない。「なぜかモテる」のではなく、ちゃんと理由がある←それがメイントピックスであり、読むと顔がほころぶ体がカユイ。
しかし、フラグ立ち以降の「少女の事情」に達すると、グッとこみ上げてくるものがある。「あたしには、学校という奴は、難しすぎるんだよ」なんてくだりは首をガクガクさせながら読んだ。やべぇ、こういうの弱いんだ… いわゆる、泣きゲ症候群の一種なのかもしれない。ヒロインの秘密が、あまりにも悲惨なことを知って。そして「田村くん」がどうしようもなく無力なことを思い知らされて。
だから、あれやこれや思い出すかも。ギャルゲを意識した台詞回しに、SNEG?(それなんてエロゲ?)よりもむしろ、「それなんてラノベ?」とツッコミたくなる――ラノベにな。
でもって、全2巻読んだ方へ… もちろんわたしは、1巻目のラスト「相馬さんって、誰?」で、すうぅっと背筋が寒くなった一人だけれど、あえて1巻だけで止めておいて、あれこれ2巻を妄想するのってアリでしょうかね? 「わたしたちの田村くんが望む永遠」とやらを思い浮かべるだけでも、愉しいナリ。あえて「読まない」読み方をしてみるのも一興。
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コメント
いやぜひ読みましょうよ2巻。読み終わったら1巻だけよりもっともっとステキに妄想できますから(w わしら素人が1巻だけで読んで続きを妄想するより、もっとステキな展開が待ってます。竹宮ゆゆこすげえよ。2巻読みましたら感想待っています。なお同作者の別シリーズ「とらドラ!」はちょっと方向性が違います。どちらもステキなラノベには違いありませんが。
投稿: れっちん | 2007.06.15 01:54
確かに2巻の後も随分妄想できそうな感じで終ってるんですよね
あそこで切る勇気がその辺の人とは違うところでしょう
ダラダラと続けるよりは、よっぽど良いですから
投稿: 時雨 | 2007.06.15 18:06
>> れっちん さん
> わしら素人が1巻だけで読んで続きを妄想するより、
> もっとステキな展開が待ってます。
って、わたしに「素人」じゃないラベルが貼られている予感が。
ステキな展開に期待して読んでみますか。
>> 時雨 さん
最近のラノベに珍しく「2巻完結」なんですよね。続かせていない点が「田村くん」を手にした理由だったりします(長いと読む気が折れますから)。
投稿: Dain | 2007.06.19 00:01
作者の竹宮ゆゆこは以前エロゲー会社に勤めてて一本だけゲームのシナリオも書いてたはずですよ。百合系?の話だったと思います
投稿: 日野 | 2007.06.27 18:20
>>日野さん
情報ありがとうございます、これですか…
http://www.flyingshine.com/product/noel/index.html
ずいぶん違うので、「お仕事」をされていたんですね…
投稿: Dain | 2007.06.28 01:07