自分の声を最適化する「言葉と声の磨き方」
ふだんの自分の声が嫌いだ。録音した自分の声を聞くと、思ってたよりも、か細くて甲高い。興奮すると上ずった話し方になって、弱弱しい語尾になる。けれども、酒が入ってリラックスしているとき、驚くほど「通る声」になる。野太いが、こもっていない低音で会話ができる。しゃべってるうちに自信満々になる。
なぜだろうか?
どうすれば、あの「声」でしゃべれるのだろうか?
景気づけに酒ひっかけて出社すればいいか、なんてアホなこと考えたこともあったが、「言葉と声の磨き方」でその秘密が分かった。アルコールが大切なのではなく、酒飲んだときのわたしの「状態」がキーだったんだ。上半身(特に両腕)をリラックスさせ、顔の前(鼻の頭)を意識して、のどを開けて腹から発声しているのが秘訣なんだって。つまり、飲み屋で話をするとき、期せずして丁度いい「状態」になってたワケ。
では、その理想的な「声」を、どうしたら(酒なしで)身につけることができるか? 本書では、さまざまなシチュエーションに応じた「理想的な声」の出し方が紹介されている。
【ミドルヴォイス】 いちばん役に立ったのは、自分にとって最適な声のゾーンの出し方。「ミドルヴォイス」と名付けており、「言いたいことをハッキリ伝えたい!」ときに使う。「ンー」とハミングして、鼻の頭がムズムズしてきたらこのゾーン。共鳴する・声が響く位置が、顔の中心(目と目の間)になる。イメージは、混んだ飲み屋でオーダーを通したいときの「スミマセーン!」。
このとき注意しなければならないのは、喉に力を込めないこと。声を出す瞬間に喉がひっかかり、痛くなるような感覚をおぼえる人がいる。回避するためには、紙飛行機を飛ばすイメージで声を「放り上げるように」出す。「オーイ」なら「ォオーイ」といったカンジ。
【チェストヴォイス】 いっぽう、説得力を増したい場合は、もっと低い「チェストヴォイス」を使えという。声を出すとき、胸のあたりを響かせることを意識する。口が胸にあるつもりで、胸に向かって声を出す(胸に手を当てると実感できる)。その際、少しあごを引くとより深みのある低音が出る。注意点は、腹筋を意識せずに使うと、暗く、モゴモゴとしたこもりがちな声になる。「響く声」と「こもる声」の違いは、腹式呼吸を生かして、「声を前に出す」ことを意識する。
【ヘッドヴォイス】 文字通り、頭のてっぺんから大きな放物線を描いてターゲットとなる相手まで届くようなイメージを持つ。ボールを持って遠投するようなつもりで声を出してみる。子ども番組のお兄さんが「はーい!みんなー!」と呼びかけるときのアレ。顔の筋肉も全て伸ばしきるように、目、鼻、口を大きく広げる。できるだけ大きな声を出そうとするよりも、むしろ狙った音を丁寧に出し続けることが重要。
それぞれの声を出すためのトレーニングが添付CDで紹介されているが、むしろ、CDのほうがメインだな。前出の「紙飛行機を投げるような声」とか「声を前に出す」って、文字で書いてもイメージわかないが、実際の「その声」を聞くと一発で理解できる。実際、練習+意識付けで、わたしの「声」はかなり最適化された。
しゃべっている内容よりも、声そのものが印象を決めてしまうことがある。身だしなみや礼儀と同様、ヴォイストレーニングは大事。最終章では「女をクドくための魅力的な声の出し方」も紹介されている。自分の声に自信のない独男にオススメ。そういや、嫁さんが「彼女」のころ、クドいたのは常に酒の場だったなぁ(遠い目)。
「魅力的な声」をマネするのではなく、自分の声を魅力的にする。意識してやれば、わりと簡単に出せる。あとは練習練習。
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