幻の名著「キミにもできるスーパーエリートの受験術」を読む
幻の受験本「キミにもできるスーパーエリートの受験術」を読んだ。amazonでは常に品切れ、ときどきYahooオークションで出品されるものの、目のタマが飛び出るような価格がついている(確認した限りでは6万円 !! もちろんそんな金なんて出せるはずもない。わたしが入手した方法は末尾で明かす)。
結論から言うと、たしかにスゴい本だ。これを知っているのと知らないのとでは、大きく違うかも。大学受験をターゲットとしており、日本で受けるあらゆる「試験」に効くだろう。タイトルがアレだけれども、「エリート」向けではないなぁ… むしろフツーの学生さんがうっかり手にすると「賢者の書」あるいは「魔道の書」になりかねない。1994年に出ているが、長い間幻の名著とされていたのも頷ける。
―― ただし、「ドラゴン桜」まで。そのものじゃねーか、と何度ツッコんだことか。てっきり、「ドラゴン桜」の種本は「『親力』で決まる ! 」だとばかり思っていた。ところが、「スーパーエリート」こそがベースで、「ドラゴン」はこいつの水割り(マンガだからマンガ割りか)に過ぎない。
急いで追記しなきゃならないのは、「ドラゴン」がダメというわけではない。妙な髪型やヘンなパースは置いといて、「受験」をテーマに、そのノウハウを分かりやすく紹介した功績は大きい。さらに、受験生に限定せずその親まで巻き込んで大売れしたのは、マーケティングにおける勝利の方程式そのものだろう。しかし、18巻にもなって未だ終わらないボリュームを考えるとちょっとキツい(モーニング連載では2003年から始まって、ようやっとセンター試験終了)。
本書はそのエッセンスだと思ってもらってよい。こいつを一気に呑んで(5回読めといっている)、100時間かけて生活習慣を変えろという。著者の受験に対する態度は、次で明確に表されている。
試験は、ゲームだ、クイズだ、ファミコンだ
受験勉強というのは、実際は「しんけいすいじゃく」モドキの記憶ゲームでしかなく、合格したからといっても人間的価値とは何の関係もありません。入試問題は、べつに神様がつくっているわけではなく、いい加減に作られているのもたくさんあります。出題者がイを正解にしている解答欄に、イと書けるかどうかだけが問題なのです。(中略)長くても二時間半程度の試験では、覚えているものを要領よくアウトプットできるかどうかの能力がはかられるだけです。
個人個人で学ぶべきものは、自分に合わせて選んでやればいいのであって、文部省などが決めた科目は教養としての知識と割り切りましょう。
目次も引用する。これまでの「ドラゴン桜」を読んできた人なら、その見出しの中に何が書いてあるか類推できるだろう(←そして、そいつはアタリだ)。
要するに、「受験は要領」をトコトンまで具体化している。後は実践するだけというお手軽さ… こういうのは、自分で試行錯誤して身につけるべきもので、人から教わるなんて── なんて言いたくなるわたしは、もう「古い」のかもしれない。本書は、特急券そのものだな。
第一部 これが、合格術
第1章 合格する学習術
第2章 合格する能力開発
第3章 合格する成功心理学
第4章 合格する生活法
第二部 合格術実践編
第5章 大学受験の合格術
第6章 公務員・教員採用・就職試験の合格術
第7章 資格試験の合格術
第三部 合格術が学べる本
高校生には福音となるかもしれないけれど、今や全入の時代。そんなに上を目指さなくても…とは思うのだが。どうしてもという方は、以下の方法で情報を得ることができる。
オークションで何万円と払う必要はない。以下のやり方なら、計5,000円程度で入手できる。
日本の図書館で、本書を所蔵しているのは、以下の2つ。
- 上越教育大学 附属図書館
- 国立国会図書館
あなたが新潟県上越市に住んでいるなら、そこで借りるべし。そうでないなら、国会図書館を利用すべし(国会議事堂の隣だ、分りやすいぞ)。
ん? 「永田町までどんだけかかると思ってるんだ! オレは都民じゃねぇ! 」だって? もちろん承知の上で、「複写サービス」[参照]をご存知ないだろうか。
「複写サービス」とは、著作権法に基づき、著作権者の利益を害さない範囲でコピーを送ってもらえるサービスなり。この「害さない範囲」がポイントで、「半分まで」が原則となっている。
- 「複写サービス」を申し込むためには、国会図書館のアカウントが必要だ。難しくもないし、年会費がかかるわけでもない。まずは[ここ]にアクセスして、申込用紙を郵送すればOK
- 1週間ほどでカードが送られてくる。近所の図書館でもらえるしっかりとシーリングされたものでなく頼りないが、この「番号」が重要なんだ
- NDL-OPAC[参照]から目的の本を検索しよう。NDL-OPACとは「国立国会図書館 蔵書検索・申込システム」のことで、ものすごく堅牢&最速&膨大なシステムなり。検索の際、自分アカウント番号とパスワードを一緒に入れることを忘れずに(面白いことに、このシステムはログイン/ログアウトという概念が実装されてない)
- 目当ての本が見つかったら、複写申込をすればOK("半分"で2,500円程度)
ん? 目当ての「半分」までしか得られないって? 困るなぁ、ルールを守らなきゃ… てか、ここまで読んだなら… 後はご自分でご判断をどうぞ。あと、アカウント作成に18歳以上という年齢制限がついてくるのでご注意。
健闘を祈る。

| 固定リンク
コメント
横浜市中央図書館にもありますよん。
http://myrmecoleon.sytes.net/map/?isbn=4846301184
投稿: myrmecoleon | 2007.04.03 10:22
>> myrmecoleonさん
おおっ、確かに
てっきり2館しか置いてないものかと思ってました
探せばありそうですね
投稿: Dain | 2007.04.06 01:35
初めて書き込みさせていただきます。
スゴ本紹介ページとともに、このページも興味深く
読ませていただきました。
この本を長らく探していたので、大変有用な情報に
こころから感謝しております。
ひとつ質問させていただきたいのですが、宜しいでしょうか。
私も複写サービスを利用したいと思うのですが、
どのような状態で複写されるのでしょうか。
本を開いた状態では、字が読みにくくなったりするものですが、読むのに困らない程度に複写されるのでしょうか。
簡単でいいので教えていただけたら幸いです。
投稿: ぽんたん | 2007.10.17 17:06
>> ぽんたん さん
本書は、開かれた状態でA4に等倍でコピーされてきました。見づらかったりすることは、ありません。あとは、見開き24円を高いかと思うかどうかですね(わたしが利用したときは、20円だったと記憶していますが、今みると24円/A4版1枚となっています)。
投稿: Dain | 2007.10.17 22:07
はじめまして。
私もこの本を読みました。大阪府の和泉図書館にあったので近所の図書館に取り寄せてもらいました。
複数図書館の縦断検索にかけると、滋賀や新潟などいろいろなところで見つかるようです。
投稿: Kay-akira Hirota | 2007.10.25 18:33
>>Kay-akira Hirotaさん
あっホントだー、教えていただき、ありがとうございます
わたしはコピーですが、市場価格49,000エンを手にしたのですね…
横断検索は、Webcat Plus と jcross を漁ったのですが、近場の普通の図書館(関東圏)になかったので、国会図書館を頼ることに…
Webcat
http://webcatplus.nii.ac.jp/
jcross
http://www.jcross.com/index.html
投稿: Dain | 2007.10.26 22:55
こんにちは!
とても参考になりました!ありがとうございます。
早速横浜中央図書館に聞いてみたところ現在はもう在庫がないとのことでした・・・。国立国会図書館はネットで調べてみると常に利用中・・・大人気ですね。
投稿: まい | 2009.02.15 16:44
>>まいさん
復刊してほしいところなのですが、著者自身が望んでいないとのこと。巷でハヤリの「勉強本」は全て本書の劣化コピーです。国会図書館で貸出しはしてなさそうなので、「複写サービス」のチャンスはありますよ。
投稿: Dain | 2009.02.16 01:07
>>Dain さん
返信ありがとうございます! 先日国会図書館に問い合わせてみたところやはりかなりの人気なようで「利用中」とサインが消えてもすぐ次の人が複製コピーサービスをするようです。なので定期的にネットでチェックしてみます!
そこで1994年版と改定版は内容は、かなり違うのでしょうか?
投稿: まい | 2009.02.19 21:19
>>まいさん
まいさんの書き込みを機に読み返したのですが、やはりこれはよくできています。効率の良いアウトプットを生むための方法論を窮めており、「何も言わずに実行する」だけで、きちんと結果を出すことができるでしょう。
わたしが入手したのは改訂版(のはず)です。改訂前のと見比べていないので何ともいえませんが、スゴさは変わらないかと。
投稿: Dain | 2009.02.19 23:34
Dainさん
今国立国会図書館のサイトで再び検索してみたところ、1994年版のも利用中となっていました(;;)
都内で横断検索してみてもなさそうで、横浜中央図書館には「借りた人が返却してくれない」という理由で借りることはできず、後は大阪と新潟のみのようです・・・。 先週までアマゾンで29800円で売られていました。今はどなたか購入に一番安くて70000円です。買っておけばよかった・・・(;0;)
Dainさんのお話を聞き、ますます読みたくなりました!
投稿: まい | 2009.02.20 16:41
>>まいさん
高額で買う必要はありません。
高額で買う必要はありません。
大切なことなので、もう一度、いいます。
高額で買う必要はありません。
まいさんにとって大切なのは、その本を「所有」することではなく、本の中身を「知る」ことなのですから。「貸出し不可」の本でも、「館内閲覧なら可」という場合もあります。国会図書館の開館時間帯は常に誰かが借り出しています。だから、国会図書館NDL-OPACから照会するときは、夜間を狙いましょう。
投稿: Dain | 2009.02.21 09:10
>>まいさん
エントリー中でDainさんが「ドラゴン桜は本書の水割り」とおっしゃってくれているんだから、逆に濃縮しちゃえばよいのでは?
つまり、ドラゴン桜を熟読してエッセンスを自分でまとめれば、本書に限りなく近い質のものができあがるのではないかと。
ただ受け身になって本書を読むより、エッセンスを汲み取るという能動的作業に取り組んだほうがはるかに身につくと思います。
私も、Dainさんの「高額で買う必要はない」というご意見に賛成です。
投稿: KM | 2009.02.22 23:54
>>KMさん
「マンガ喫茶で1日でやる」など、時間を限定してやれば、価値はあるかもしれません。
高額で買ってしまう人は、「買った」という事実に満足してしまうでしょう。読むことは読むでしょうが、1回きりかと(本書は、「5回読め」と命じています)。そして、大切に保管するでしょう。たしかに魔道書なみのパワーはありますが、それは実践して初めて発揮します。高額で買うことは、実践への「反」動機づけになるかと。
投稿: Dain | 2009.02.24 00:01
お前ら気持ち悪すぎて頭おかしすぎて悪い意味で悪すぎだな。==================================================
おれは良い意味で良い。
投稿: | 2011.10.03 13:28
管理人様
スーパーエリートの受験術、国会図書館に行って複写しようと思っています。
ただ、管理人さんの仰っていることが今一つ分かりません。
国会図書館では、著作権上半分までしかコピーできないとのことですが、どうすれば全て手に入れられるのでしょうか?見開きページの片側だけを申請するということでしょうか?(1,3,5,7,9・・・)
すみません、わかり易く教えてください。お願いします。
投稿: スルー | 2013.10.13 10:26
>>スルーさん
ヒント:友だち、家族
投稿: Dain | 2013.10.14 12:29