嫁とKanon(最終回 : あゆと名雪とオレの嫁)
(前回までのあらすじ)木曜 25:00、BS-i のひそかな愉しみをエロDVD鑑賞と間違われる(その1)。のちにエロゲ原作のアニメだと知られ、マジ離婚を検討される。しかし、ナユキストであるダンナに引きずられるように、いつしか一緒に観るようなるのだが――(その2)
このエントリは、京アニKanonの最終回のネタバレを含むよ(反転表示)。
いわゆるギャルゲについての認識が根本的に誤っていたことを、京アニに思い知らされる、しかも徹底的に。
つまりこうだ、ギャルゲとは、複数の女の子から一人の娘を選び取り、その子と仲良くなるプロセスを楽しむことが醍醐味だと思っていた。したがって、選ばれなかった子たちは、選ばれなかったエンディングへ向かうことになる。
より反語的な例として「君が望む永遠」を挙げよう。あれは、「選ばれなかったほう」のストーリーこそ秀逸であり、いかに彼女らが傷心と共に己の運命を受け止めたかが、見るべきポイントだろう。うんこたれ鳴海孝之の周章狼狽っぷりこそオマケだ。
したがって、ギャルゲにおいて「ひとつのシナリオへ進む」とは、選ばなかった子が選ばれなかった運命をたどることを自動的に意味するものだと思っていた―― 真琴は行き倒れ、栞は病膏肓に入り、舞はいまでも闘いつづける―― それは、あゆ・名雪を選び取った結果なんだと。
あるいは、秋子さんが病院送りになるならば、(それは名雪ルートであり)、あゆは目覚めることないはずだ―― そう決め付けていた。だから、秋子さんが1トンの乗用車に巻き込まれたとき、ルートは決まった、あゆはどうする? という疑問ばかりが心を占めていた。
それがどうだ、全ての女の子を救い、そして最適化されたルート、すなわちあゆエンドにまとめあげるとは―― しかも「奇跡はただ一つだけ」のお約束と矛盾することなく―― 正直、自分がいかに浅はかであったかが、京アニKanonの最終回でよーく分かったよ。グッドエンディングではなく、これこそベスト・エンディングなんだ。
―― などとラストシーンを眺めながら感慨にひたっていると、
「… ぐしゅ」 背後で音がする。
『どしたの?』 と、声を掛けると、
「ちちょっと、あっち向いてて!」
『泣いた?』
「ンなわけないでしょ、バカぁ」
「ぁ」が、よわよわしい、愛しい。いい、かわいいよオレの嫁。「ヲタアニメばっかり見てて、このアホダンナ!」と罵っていた日々は過去のもの。わたしは、嫁が嫁2.0になる瞬間を目の当たりにする。結婚してよかった、ヲタやめずによかったと痛いほど感じる。
同時にある確信へ至る。そうなんだ!たとえナユキストであっても、うぐぅ信者になれるんだ。「片方を選ぶと、もう一方は選ばれなかった」ことにはならないんだ。名雪シナリオにも、あゆエンドにもなりうる、そんな風の辿りつく場所があるんだ。ヲタでも嫁(≠脳内)とやっていけるんだ!二次元と三次元を同時に愛することは可能なんだ!ラピュタは本当にあったんだ!
心の中で絶叫する、感涙のあまりむせんでいると、嫁がフともらす。
「ところでさ…」 テレビを指差す。
『ん?』
「どうしてこのコと、ウチの子の名前が一緒なの?」
ギ ク リ
「そういや、候補で 『みすず』 を強く言ってたね…」
ギ ク ギ ク リ
今宵は長くなりそうなので、以降、ご想像にお任せする。最後にひとこと。世界中にはどんな想いも、かなう日がくる。めったに起こらないから奇跡なんだけど、起きたらそれは必然と呼ぶんだ。
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コメント
はじめまして。いつも楽しくROMしております。
よそのご夫婦を「うらやましい」と思ったのは今日が初めてです。
「嫁と見たアニメの感想」のシリーズ化を期待してます(笑)
投稿: ラッキーマン。 | 2007.03.22 19:32
>> ラッキーマン。 さん
嫁2.0への途は、とんでもなく大変でした。「嫁とみたアニメ」シリーズですか、そいつは面白そうですね。「嫁が望む永遠」なんてお題で書いてみたいですな。
投稿: Dain | 2007.03.23 23:24