PMP試験対策 2.3.7 「計画」でやっていること(調達)
ここでは、「計画」でやっていることを説明する。
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調達マネジメントにおける第一の目的は、「プロジェクトで必要な製品やサービスを、外部から調達するのか、内部でなんとかするのか検討する」こと。そのため、スコープの境界の間に位置し、プロジェクトの外側/内側を厳密に吟味する必要がある。スコープ定義の後でないと調達プロセスが始められないのも、この理由による。
第ニの目的は、「調達というプロジェクト」を回すこと。「計画→調達準備→情報収集→検討・契約→契約管理→検収受領」の一連のプロセスは、プロジェクトフェーズの一つのPDCAと、軌を一つにする。
調達プロセスのPDCA
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├【Plan】買うか作るか決め、マネジメント計画を立て、調達文書を作る
│ ├─調達計画 (購入・取得計画)
│ └─調達準備 (契約計画)
│
├【Do】入札、契約を行う
│ ├─情報収集 (納入者回答依頼)
│ └─検討・契約 (納入者選定)
│
├【Check】契約の進捗状況や品質管理を行う
│ └─進捗管理 (契約管理)
│
└【Action】契約したサービス・製品を受領し、契約を終結する
└─検収受領 (契約終結)
12.1 購入・取得計画
12.2 契約計画
調達マネジメント計画書とは、調達プロセスのマネジメント方法を記述したもので、以下のものが記述されている。[p.279:PMBOK]jも見ておく。
- 採用する契約タイプ(定額契約/実費償還契約/T&M契約)
- 母体組織に調達・契約・購買部門がある場合、その部門との役割分担
- 複数の納入者が必要な場合のマネジメントをどうするか
- 契約WBSの作成と維持のマネジメントをどうするか
- 納入者の調達基準と評価基準
契約作業範囲記述書とは、契約に基づき、何をしてもらうのかを詳細に記述したもの。購入する品目やサービスについて、明確・完全・完結に記述し、運用支援が必要な場合はそれも書いておく。何が必要なのかも分かっていないのに、調達するな、ということ。随意契約というふざけた契約をする連中は、同額の契約金を給与から引いても良いと思う。
重要なのは、調達プロセスを回すためには、何を作るのか決まっていて(スコープ記述書)、詳細化されており(WBS、WBS辞書)、リスク、コスト、スケジュールが見積もられていなければならない。購入・取得計画プロセスのインプットは、スコープ・コスト・タイム・リスクのアウトプットであるのは、そのせい。
契約タイプ
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├【定額契約・一括請負契約】明確な成果物を固定価格で契約
│ ├─完全定額契約(FFP)
│ └─定額インセンティブフィー契約(FPIP)
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├【実費償還契約】実コスト+納入者利益で契約
│ ├─コストプラスインセンティブフィー契約(CPIF)
│ ├─コストプラス固定フィー契約(CPFF)
│ └─コストプラスフィー契約(CPF)
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└【タイムアンドマテリアル(T&M)契約】人時・人月契約
FFP:Firm Fixed Price
FPIF:Fixed Price Incentive Fee
CPIF:Cost Plus Incentive Fee
CPFF:Cost Plus Fixed Fee
CPF:Cost Plus Fee
ポイントは、定額契約と実費償還契約のリスク。定額契約は納入者のリスクが高く、実費償還は購入者のリスクが高いこと。なぜなら、定額契約は、何をするのか明確だけど、納入者がどうやって提供するのかに関係なく、価格が決まっているから。1,000万円が契約金なら、1,500万かかったとしても、足が出た500万円は支払われない。一方、実費償還契約は、経費と利益の両方を支払う必要があるため、納入者がコストを度外視する可能性がある。前出の場合だと、1,500万円プラス納入者の利益を支払う必要がある。
もう一つの曲者がT&M契約で、何を作るのか(スコープ)、いくらで作るのか(コスト)が明確になっていなくても契約できてしまう。社長号令で大目標は決まっているけれど、何をどうやらといった状況で、とりあえずコンサルタントと契約するか、というときにはこれが便利。悪名高き「随意契約」もこれだな。
IT業界では、契約は定額契約であるにもかかわらず、SOW、つまり何をするのかを決めていない場合もある。PMI からするとふざけているとしか言いようがないが、現実ナリ。何つくるか顧客も分かっていないのに、定額で一括で契約してくる営業は、たくあん石を括りつけて日本海に沈めたほうがお互いのためだと思う今日この頃。
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PMP試験対策【まとめ】

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