どこまでやれば大丈夫か、なんて分かるはずもない。それでも続けるうちに「山を超えた」実感が見えてくる。ここでは、わたしが行った準備をまとめてみる。こんなことしなくても、「自分のPM経験+35時間研修だけで合格」という人もいることも頭において、参考にして欲しい。
PMPホルダーになるためには、以下の2つの準備が必要。
1. 手続き的なもの
2. 受験勉強
1. は、PMIのサイト[ここ]からメンバー登録~受験申請といった諸々の諸手続きのこと。全部英語のドキュメント、かつ提出資料も英語なので苦手な人はツライかも。わたしの場合、研修機関のサポートでなんとかなった。資料が膨大なので独力だったらあきらめていたかも。お世話になったのは、グローバルナレッジ[参考]。
2. はPMP試験に合格するための準備。途中で挫折した経緯もあって、時間だけはたっぷりかけたことになる。もっと効率的に合格ラインにいける人は沢山いるだろうが、以降、受験勉強としてやったことをまとめてみよう。
受験勉強でやったことは、大きく分けると以下の3つ。
・自分が学んだことをこのblogへアウトプットする
・PMBOK2000 と PMBOK3版をヤる
・試験対策本をヤる
順に説明する。
■自分が学んだことをこのblogへアウトプットする
最も効果が高かったのは、このblogへアウトプットやね。「○○までに合格する」と宣言しちゃうことで引っ込みがつかなくなるし、どうやってアウトプットにしようと考えながら学習することは、理解するにも覚えるにも非常に役に立つ。
誰かに教えることを念頭において学ぶことは、とても有用。わたしは会社で同志を募ったけれど、周囲にいない場合はネットを通じた仲間を探してもよいかと。
■PMBOKの攻略1:全体を把握する
次のPMBOK攻略。まず全体像を押さえることが先決。そのためにはPMBOKをアタマから読んではいけない。p.337付録F 「プロジェクトマネジメント知識エリアの要約」を読むことで全体像が把握できる。何のためにその知識エリアが用意されているか、を理解してから、本体に取り掛かる。
■PMBOKの攻略2:読む順番
さらに、読む順番がある。仕事プロセスの順番に読む方が、理解しやすい。最初の「プロジェクトマネジメントフレームワーク」と「単一プロジェクトのプロジェクトマネジメント標準」は普通に読むとして、9つのプロジェクトマネジメント知識エリアは、初読時に順に通読すると混乱するかもしれない。
なぜなら、9つの知識エリアは知識体系のカテゴリごとにまとまりを持っているため、必ずしもプロセスの順番にはならないから。一般に、あるプロセスのアウトプットは別のプロセスのインプットになる。これらは知識エリアを跨って入り乱れているため、知識エリア内に閉じて読むと、何がどうつながっているか把握するのに苦労する。
例えば、プロジェクトタイムマネジメント。それぞれの知識エリアへのインプットのための作業も書いてあるし、各知識エリアのアウトプットを集約して、スケジュールを作成することもある。その結果、どのアウトプットがどこのプロセスにつながり、それがまたどう加工されて戻ってくるか分からなくなる。
ではどのような順番で読めばいいのかというと、
- p.70 表3-45 「プロセス群と知識エリアによるプロジェクトマネジメント・プロセスの分類」の立上げ→計画→実行→監視コントロール→終結のプロセス群に読む。表のタテ列を上から下の順に本編を読み込む
- あるいは、p.44 図3-6 (立上げ)、p.47 図3-7(計画)、p.55 図3-8(実行)、p.60 図3-9(監視コントロール)、p.66 図3-10(終結)の順番に読む。各図の矢印に注意しながらプロセス単位に本編を読む
つまり、仕事順に読むことで、各プロセスのアウトプット→次のプロセスのインプットがハッキリ見えてくる。章単位のつまみ読みは、読み進むにつれてジグソーパズルがハマっていくように見えてくるはず。
これはものすごく重要で、「○○って作業はいつやる?」という問題や「いま○○をしている、次にするのは?」はこれをやっておくことで完全に答えられる。
■PMBOKの攻略3:2000年版と第3版
PMBOKの出会いは2000年版だった(PMBOKは4年おきに改版される)。だから3版に切り替わったとき、最初に取り掛かったのは、p.301付録A-3版の変更を押さえたこと。変わったところを意地悪く質問してくるようなことはないだろうが、自分が混乱しないためにも、2000年版から入った人は読んでおきたい。
PMBOKそのものはくりかえし読むに尽きる。PMIイズムという、PMとしての考えるべきパターンは、PMBOKの細部に宿る。重要単語だけをマーカー引いて覚えてばかりいると、足元をすくわれる。また、自分のプロジェクト経験だけで答えようとすると、必ず間違える(キッパリ)。だから、自分の気持ちはさておき、PMI なら何と答えさせたいか? を知っておかなければならない。そのための繰り返し読み(わたしは5回読んだ)。
用語も変わっているので、巻末の用語集は必読。略語もおさえておきたい。意地悪なことに、本文ではほとんど出てこないくせに、巻末の用語集に詳細に説明してある用語がある(当然のように試験で使われる)。
■PMBOKの攻略4:原著と翻訳
翻訳は2000版と比べると格段に良くなっている。英語「だけ」できる人がよってたかって訳出したのではなく、PMをよく理解している人が上手くまとめようとしている跡が見られる。
それでも、日本語でうまく理解できない説明を英語で読み直したらスルリと入ったことが何度もあるので、併読するのが吉(英語版は1回だけ通読)
オリジナルならCD-ROMで入手するのがいい。なぜなら、「検索」ができるから。各プロセスに繰り返し出てくる概念・用語・ツールを、串刺しで理解するために、キーワード検索で横断的に読むことはものすごく有効。例えば"project management system"がどこで出てくるか? に注目しながら前後の説明を読むと、そのプロセスの理解がより一層深まるという仕掛け。ちなみに、PMI会員になると無償で入手できる。
■試験対策本の攻略
まず、鉄板モノをご紹介、ただし英語。通称『リタ本』(リタ:Ritaという人が書いたから)。参考書+問題集で、これが必要充分なライン。『プロジェクトマネジメントを理解する』ことを主眼としている。「PMPはPMBOKに書かれている知識を問う試験ではない」ポリシーにつらぬかれており、PMIイズムはこの一冊で身につく。さらに、覚えるべきところは「覚えろ」とキチンと書いてある(これがまた覚えやすい方法を教えてくれるからウレシイ)。練習問題も易しからず難しからず、計算問題もカンペキ。Amazonレビューの★の数はダテじゃない。
良い事づくめなんだけど、英語なのとチト高価なのがハードルを高くしている。さらにデカい!(PMBOK並のデカさ)ので、通勤のお供にしているとかなり腕力を鍛えられるだろう。
Rita本を3回熟読したらそれだけで合格ラインを保証する。
他に問題集をヤった。「PMP試験実践問題」、通称カブトムシ本(表紙がカブトムシだから)。わたしは、効率よく問題集をやるために、「一度を解いて、間違ったところは解説ごと覚えてしまう」ことを心がけているが、こいつはマズかった。なんせ解答や解説がところどころ誤っているから。
たしかに評判どおり良問ぞろいなんだけど、解答や解説(の一部)にレビューしてないのがあり。自分のプロジェクト経験で答えるのは危険ということを、著者自身が身をもって示してくれる。それも地雷のように埋まっているため、結局解答を信用せずに原典(PMBOK)を舐めるように読まなければならなかった(←後から考えると、これは非常によいやり方だったかも)。問題「量」に不安を覚えるなら、ひととおりでよいから、やっておくべき。
実は、この参考書の始祖である「PMP教科書」もヤっている。ブ厚い本は、それだけで「これだけヤればOK」という気にさせてくれる。網羅性よりも暗記+深堀りを目指している。「直前チェックシート」なんてカンペのようだし、至れり尽くせりやね…
でもって、さらに「実は…」なんだけど、コレで挫折している。最初に手をつけたのがコレだからだったのか、相性が合わなかったからなのか分からないけれど、1回通読+問題に取り組んだだけで、オシマイ。あまり身についたという実感がわかなかった。これは一通りヤった人が最後の仕上げに取り組むべき本なのかも。
他に「PMP試験合格虎の巻」が良さげとの話で、本屋でチェックしたことがある。ヤってないので断言はできないが、わたしとの相性はよさそう。
上記以外にも、研修機関ではテキストや問題集がたっぷり支給され、全部こなしたわけなんだが、そこでのアドバイスは、「やっぱり市販のモノも手を出したほうがいい。出題傾向の偏りを是正するためにも」。絞ってくり返してやり込むなら、PMBOK+Rita が鉄板で、アレコレ手を出すなら、手広く(PMBOK+虎の巻+カブトムシ本)やったほうがいいかも。
わたしの場合、ありがたいことに会社の支援があった。しかし、そういったサポートが得られない場合や、交通事情により教育機関の研修が受けられないことがある。そんな人のために、自宅で35時間研修を受講できる(→のモノモノしい2つあわせて35時間)。額が額なだけに、相当覚悟完了してふみきる必要があるかと。
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PMP試験対策【まとめ】
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