赤ちゃんの値段
「ごめんなさい、本当にごめんなさい」──望まない妊娠の果てに売られていく子どもたち。日本→外国の話。日本人の赤ちゃんの相場は200~500万円とのこと。無料で譲っている「産院」もあれば、暗にマージンを要求する「業者」も確かに存在する。
「赤ちゃんの値段」をキーワードとしたルポルタージュで、養子縁組の話に限定されていない。ebay で「今月産まれる赤ちゃん売ります」に1,200万の値がついたことも書いてあるし、望まれない妊娠をヤミ堕胎(自由診療)で荒稼ぎしていた産院が、中絶胎児を一般ごみとして捨てていて、産廃処理法違反の話もあった。
赤ちゃん市場において、最大の輸出国は中国であることは、一人っ子政策の[B面]を想像すれば予想がついていたが、最大の輸入国は、やっぱりというかなんというかアメリカだった。中華女児→American Girl ちうわけね。
翻って日本。あっせん業者の言い分だと「子どもの幸せ」のためだそうな。養子となるのは十代の性交での「望まない妊娠」を主とし、産みの親やその周囲には「出産の事実そのものを忘れ去りたい」願望があり、生まれた子をできるだけ遠ざけたい心理が働く。家族の血のつながりを重視する日本社会は養子への理解が乏しい。結果、国内での養子縁組では子どもの肩身が狭い思いをする→だから、国境を越えた養子縁組にすべきだ、と正当性を主張する。
かくして赤ちゃんは海を渡る。もちろんチャイポルや臓器売買の隠れ蓑にされることもあるが、(幸か不幸か)日本人の赤ちゃんは高値で取引されており、「材料」としては扱われていないようだ。
以下に引用する一文の結末がエピローグにある。ロサンゼルス郊外の夫婦にもらわれていったキャロリンの話だ。日本での名前は、「ヨウコ」。
娘は、養子縁組の記録にある実の母の住所にあてて二度、手紙を書いた。
ヨウコです。長年の間、一度でいいから、
お母さんがどんな方か会って
お話をしてみたいと思っていました。
お母さんのことをもっとよく知りたい。
連絡をください。
返事は来なかった。
この手紙の、さらにその後の話がエピローグの末尾にある。
酒場でそれを読んでマジ泣きした。
この赤ちゃん市場、「ベビービジネス」といってもいいぐらいだなぁと思っていたら、まさに同名のルポがあった→「ベビー・ビジネス 生命を売買する新市場の実態」 次はこれかの。
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コメント
この手の話に限らず、いじめ、談合から2チャンの祭り問題まで、世の中のありとあらゆる事をタブーとせず、現実に即して制度化、法制化するべきなんだろうと思います。
厚生労働省で身元や経緯、その後の足取りをしっかり管理し、遺伝子系の病気や大人になってからのケアも含めて制度化すべきでしょう。
良いも悪いも無く、現実に行われている行為を”あること”にしていく事で、現在抱えている行政の問題は多くが改善(解決ではない)されていくのに...なあと。良い、悪いを議論するのはそれから先でおkでしょ~が、日本人って良し悪しがハッキリしないとテコでも動かないからねぇ(ーー;)
投稿: 鉛のZEP | 2007.01.09 12:37
>> 鉛のZEP さん
うー、ガチガチの制度化は、かなりむずかしいかもしれませんね… それでも実質的な「赤ちゃん売買」は国際的に見ても問題アリなので、何らかの手(要は規制・立法化)を実行する必要はあるでしょう(形骸"法"はあっても案山子状態なので)。
ただ、それが桜田門まで届いていないことがいちばん問題なのですが…
投稿: Dain | 2007.01.10 00:25