PMP受験報告
合格した。長かった…準備も試験も。以降、受験当日のレポート。「PMPってなに?」という方は[ここ]あたりをどうぞ。受験を意識している方は、[PMP受験対策]をどうぞ。
■試験会場へ
わざわざセンター試験にあわせた受験日(1/20)にする。やっぱ女子高生と肩並べて試験に行くのが通ってもの。
ところが、わたしの行き先はテンプル大学。ウンベルト・エーコ作品のテンプル騎士団しか知らないわたしはガクブル状態で白金高輪駅3番出口を目指す。
出たとこのローソンでKitKatとゼリー飲料を購入。「受験生はKitKat」基本なり。ゼリー飲料は、途中でハラが空くに違いないと踏んだから。
テンションを上げるために鳥の唄を聴く。舞台は夏なのに、冬っぽい曲調だと思うのはわたしだけか?
歩くこと10分、日本生命南麻布ビルに到着。テンプル大学は、そのビル内にあるインターナショナルスクールだった[参考]。
午後の受験(13:00)にもかかわらず、到着したのは11:30、「どうするべ」と思案していると、受付のお姐さんが「午後の受付は12:00から、よろしければ2階にカフェテリアがありますよ」とのこと。
カフェテリアで最後の仕上げ。
■試験開始まで
12:10ごろ再度受付へ。免許証とクレジットカードを見せて、本人の認証。手荷物はロッカーに預ける(携帯も)。PC受験のチュートリアルペーパーを読まされる。試験用のPCでも読めるのだが、英語だけなので、こうした便宜が図られているようだ。
しつこいほど赤字でかかれているのは、「ENDボタンを押すな」ってこと。押すといきなり終了→採点で、やり直しはないよ、ということだ。いままで何人の犠牲者が終了の意志も無いのにENDを押してしまったのだろうか…
試験室の入口で、再度本人認証。PC画面でわたしの情報を示し、「あなたご本人で間違いないですね」と念を押される。さらに、チェックインと称して入室時刻とサインを求められる。
試験室へ持ち込めるのは、以下の4点のみ。「会場は寒いぞ」と聞かされていたので、了承を得てセーターをひざ掛けとして持ち込む。
- メモ用紙(受付で渡される)
- 鉛筆(受付で渡される)
- 電卓(受付で渡される)
- 身分証(わたしの場合、免許証とクレジットカード)
■試験開始
試験室はブースで区切られており、PCが据え置かれている。ネット喫茶みたい。防音用のヘッドホン? があったが、使わなかった。
やっぱりウルサイ。マウスのカチカチ音だけかなー、と思っていたら、別の試験も行われていた。記述式? のようで、キーボードのガチャガチャ音が鳴り響く。
チュートリアルが英語なのはいいとして、試験を始めるためには、チュートリアルを終わらせる「ENDボタン」を押さなければならないのは、ちょいと勇気が要った。あれほど「ENDは押すな」と脅されていたからね。
試験は4時間で200問。全て、4つの選択肢から1つのみを選ばせる。画面の構成はこんなカンジ…
- 上部に、わたしの名前が表示されている
- 左上に、いまの問題番号が表示される(1 of 200)
- 右上に、経過時間がカウントダウンで表示されている
- 中央に、問題と選択肢(英文)、問題の右上にJAPANESEボタンがある
- 下部に、操作ボタンが並んでいる
操作ボタンは、こんなカンジ…
- JAPANESEボタンを押す:問題文と選択肢のアヤシイ日本語訳がウィンドウで表示され、CLOSEボタンを押すとウィンドウが閉じる。ウィンドウの選択肢を選ぶことはできない
- PREVIOUSボタンを押す:一つ前の問題へ戻る
- NEXTボタンを押す:次の問題へ進む
- MARKボタンを押す:ボタンの色が青→赤へ変わり、ボタン名がMARKEDに
- REVIEW:問題の一覧が表示される
REVIEWボタンを押した後の一覧画面は、こんなカンジ…
- マークされたもの、未回答、回答済みが一覧で表示される
- 最初の問題、選んだ問題、マークされた問題へジャンプすることができる
- この画面にENDボタンがある
あれこれやってて気づいたこと
- 日本語ウィンドウを表示中に、英文の選択肢を選択できる
- 日本語ウィンドウを表示中に、NEXTなどの操作ボタンが押せる(日本語ウィンドウは自動で閉じる)
- 日本語ウィンドウのサイズ変更は、可能
- マウスホイールは使えた
- VB+Winアプリでつくってある(みたいだ)
- 試験の管理、試験結果のみをサーバで扱っている(みたいだ)
- つまり、問題はごっそりとPCのハードディスクにある(みたいだ)
- USBやCD-ROMドライブはシーリングされていなかった。OSはWin2000、カーネルは呼べそうなのでハック可能だろうが、後ろと前から監視カメラでずーっと見られている
もちろん殊勝に受けましたとも、ええ。
■試験問題について
だれもが準備する、インプット/アウトプット/ツールと技法、計算問題、用語については、ちゃんと出る。勉強したら得点になる。
むしろ、「○○のとき、どうする?」という、いわゆるPMI イズムを問うものにてこずった。これは覚えるものではなく、PMBOKを何度も読んでないと正答できない。あるときは人的資源のあのへんから、またあるときは、フレームワークのあたりから、という感じで思い出しながら選んだ。自分のプロジェクト経験から回答しようとすると、×。
主語が明示されていないときは、PMとしてどう判断するか、と読み替えたが、主語がCEOの場合や、エグゼクティブマネージャーだった場合の「判断」もあって困った。経営陣なら別の選択肢になるだろうから。めんどうくさいので、全部PMとして判断した選択肢を選ぶ。
用語について:PMBOKの巻末の用語・略語集も重要。付録はオマケだと思っていたが、用語集だけに出てくる用語もあるので要注意。
難度について:常識問題(賄賂ダメ)とか、簡単な問題(○○のインプットは?)と、ひっかけ問題、PMIイズムの判断に悩む問題… がごちゃまぜに来るので困った。言い方を変えると、バランスよく出てきた、とも。日本人がつくった試験問題(易→難の順、あるいは、穴埋め→並べ替え→文章問題)に慣れているわたしには、「この問題はどのレベルだろう?」と最初に自分に問う必要があった。
計算問題は出たら取れるまでにしておく。あいまいな選択肢はないから。
- CV、CPI、PV、SPIは基本(計算式の頭はEVで始まる、と覚えておくとマル)
- EAC、ETCは、CPIが1なのか1以外なのかに注目(これまでのコスト効率を考慮しなくてもいい1なのか、あるいは適用するのか)
- ネットワークパス数(メンバーが○人追加された場合、とか)
- クリティカルパスの期間(AOAもAONも両方計算できるように、リードやラグがからんでも計算できるように)
- BCR(Benefit Cost Ratio)が1.5=100円の投資に150円のpayback
- 3点見積りは加重平均するのか、しないのか(PMBOK2000まで加重平均してた)
- EMVはデシジョンツリーを自分で書いて計算できる
- PTA(Point of Total Assumption)={(上限支払金額-目標コスト-目標利益)÷発注者側の共有率} + 目標コスト
- FPIF(定額インセンティブフィー)で、納入者に支払われる金額を求める場合、計算式は=実コスト+目標利益+{(目標コスト-実コスト)×共有率} なんだけど、"定額"インセンティブなところがポイント。この金額を上回る価格が最終価格の場合は、最終価格しか支払われない
できるだけ沢山解いて、「感覚」のようなものを身に付けておくといいかも。PMP試験実践問題は日本語のPMP問題集としてバイブル扱いされている強力なやつだけど、明らかな誤答もあるので、鵜呑みにしないように(答え合わせの際、アラ探しするぐらいが丁度いい)。
4択のテクニックが日本の「慣習」とまるで違うので、要注意。たとえば、次の4択の場合、日本人が解こうとすると、どうしても「最大公約数」な選択肢(この場合は、1.or2.)を選ぼうとする。
1. 相沢、月宮、倉田、沢渡
2. 相沢、天野、月宮、倉田
3. 相沢、水瀬、美坂、北川
4. どれでもない
ところが、答えは3.という場合がある。あるいは4.のようなメタな選択肢である「上記以外」「上記全て」「情報が足りない」といったものが出てくる。要はどれもイーブン、ということで、「迷ったら最大公約数」は鬼門。
■試験の経過
足元だけが冷えたので、ひざ掛けは正解。途中2回休憩をいれて、トイレ&栄養補給。集中力を持続させることがポイント。
退室する際、チェックアウトと称して退出時刻とサインを求められる。その間も試験は続行され、カウントダウンは続いていることに注意。
3時間でひととおり解きおえる。見直しをしようかな、と最初に戻るが面倒くさくなってENDボタンを押す。ロクに見ていなかったが、「本当に終わる?y/n」メッセージウィンドウが出てたような気が。
採点中は真っ白な画面でPCがカリカリいっている。システム屋としては心臓に悪い(いまPCがハングアップしたらパーだな)。
突然PMI ロゴとなにやら英文が出てくる→Congratulations で始まっているので、合格だと合点して、退室。ファンファーレを期待していたのだが。
退室時に、受付の姐さんが試験結果のペーパーを渡す。「Pass」と小さく書いてあり、正答率が載っている。ビルを出たところでガッツポーズをし、帰りは夏影を聴きながらクールダウン。
―― というわけで、長いこと懸案となっていた「PMP合格」をついに果たすことができた。嬉しさ半分、「PDUどないしょ」という気分が半分といったところ。
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PMP試験対策【まとめ】
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コメント
祝合格!
おめでとうございます。何だか自分の受験時のシーンが回想されてキュンとなりました。
カブトムシ...ヘラクレスになったんだね...
投稿: 鉛のZEP | 2007.01.24 08:30
Dainさん
おめでとうございます!
私はまだ学習中です。。昨年より、このサイトのPMP関連の記事は
隅々まで読ませて頂きました。(昨年、諸事情により一度受験を挫折してます・・・w)
PMP試験対策【まとめ】記事の2.4以降の更新を待っていたら、
リンクが1つ増えてて、「PMP受験報告」になっていた。。
既に合格されていたとは!サスガです。
私も2末に受かるようにがんばりま~す!
投稿: じろー | 2007.01.24 11:25
>> 鉛のZEP さん
ありがとうございます、ずーーっと続けてきたのが、ようやく結果になりました… とはいえ、合格のための勉強ではなく、実践への適用が主目的なので、一里塚といったところでしょうか…
ヘラクレス本は「答えの欄を解説の後に設ける」といったカイゼン?がされていますが、いかんせん誤答・誤解説には悩まされました。
>> じろー さん
待ってる方がいらっしゃったとは…!
すんません、「あの連載」は、ネットで宣言することで自分を追い込んで勉強させるための方便なのです。合格しちゃった今、放置しようかなーと思い始めているこのごろ。
…いやいや、ちゃんと読んでるじろー さんがいる以上、最後まで続けさせていただきます(でも期限は決めないのでアテにしないでくださいね)。「問題を沢山解いて→裏づけをPMBOKで取る→覚える」が、結局の近道でした。
投稿: Dain | 2007.01.24 23:59
合格おめでとうございます!!
わたしもPMP興味あるんですよね。今までの様子見せてもらって私も試してみようか検討中。ブログにも載っていますが、もしよろしければどんな感じで勉強したか、本や35時間の授業はどうしたかなど、まとめの記事見せてもらえると嬉しいなと思っています。
後に続けるかどうかそれ見て判断したいなあ〜、なんて。虫が良いですかね??
投稿: しし丸 | 2007.01.25 17:39
>> しし丸 さん
いわゆる勉強日記ッすか、いいですよ… でもすごーく長期間かけてだらだらと勉強してきたので、参考になるかどうか…
投稿: Dain | 2007.01.26 22:06
Dianさん、初めまして。
このblogを知ったのは1月中旬でした。
PMPの勉強中、ある程度知識がついて受かりそうだなと思ったとき(auditに選ばれちょっと時間が空いたんです)に、他の方も勉強しているよな~と思い検索したらこのblogがヒット。
なかなか中身が濃すぎ(自分の知識が薄いので..)のものを見つけてたなと、そして合格しましたの報告を見てこれだけ理解をしていればな~と思いました。
で、私も2ヶ月の短期集中型で、おかげさまで2/14にPMPを受験しなんとか合格しました。私もゲン担ぎでキットカットを買ったのがポイントかなと。
非常に為になる且つ、対策まとめは非常に楽しかったです。
投稿: 琉パパ | 2007.02.17 00:35
>> 琉パパ さん
合格おめでとうございます、それから、誉めていただきありがとうございます。わたしは超長期間かけて勉強してきたので、短期集中で合格された方は、正直スゴいなぁと思います。短期で身につけるには、また別のコツがあるのではないかと思います。
投稿: Dain | 2007.02.19 23:52
Dianさん、ありがとうございます。
自分でもあまりよくわかりませんが、、短期の場合はいかにその短い期間に勉強時間を取るかですかね。。
内容はDianさんのblogの通りで、覚えるもの(input-ツールと技法-output、計算問題)は覚えておく。点になります。
あとは要素(outputなどのデータ)の流れをおさえて、各プロセスの必要性を理解すればいけるかなと思います。
おそらく本blogを見てこれから受験される方も多いと思いますが頑張ってください。定期的に拝見させて頂きます。
で、確かにこれからPDUをどうするか、って考えないと。。60PDUかぁ。
投稿: 琉パパ | 2007.02.26 23:54
>> 琉パパさん
短期も長期も関係なく、押さえるところは一緒のようですね(あたりまえか…)。PDUは頭(というかフトコロ)が痛いですね…
投稿: Dain | 2007.02.27 00:41