PMP試験対策 2.3.4 「計画」でやっていること(コスト)
ここでは、「計画」でやっていることを説明する。
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ここに至るまでに、以下のことがなされている。ただし、常に完全に行われているとは限らない。計画プロセス群を回す中で段階的に詳細化されていればよい。
- 「プロジェクトマネジメント計画書作成」プロセスにおいて、コストマネジメント計画書が作成されている。そこでは、コストの有効桁数や測定単位(円、ドル、千円単位等)、母体組織との手続き、管理限界値、アーンドバリュー適用規則が決められている
- スコープ記述書やWBSが作成されている
- 「アクティビティ資源見積り」プロセスにおいて、資源カレンダーが作成されている
- リスク関連の計画プロセスが行われており、リスクはコスト見積りに反映できる程度まで分析されている
- 「納入者選定」プロセスにおいて、契約がなされている
7.1 コスト見積り
資源のコストを概算見積りする。リスクも含めて見積もりの変動要因を検討すること。通貨単位で表し、プロジェクトの進展に伴って得られる追加の詳細情報を反映し、改善される。プロジェクトのライフサイクルを通じて見積り精度が上がるとしているが、これは組織のプロセス資産を有効に活用せよ、というPMI からのメッセージとも読み取れる。コスト・コンティンジェンシーもここで見積る。
7.2 コストの予算化
プロジェクトのパフォーマンス測定をする「コストベースライン」を設定するために、スケジュールアクティビティやワークパッケージの見積りコストを集約する。コスト・ベースラインを作るのが主目的だが、そこに乗せないマネジメント・コンティンジェンシー予備を検討し、設定する。
コンティンジェンシーとは、「不測の事態」のこと。プロジェクトを進めるに当たって、不足の事態おっと不測の事態が発生することはアタリマエ、だから予め見積もり時点から割り振っておく、というのがPMI イズム。しかも、「一定の確率で起きることが予め分かっている"不測の事態"への予備費」と「まったく予想もつかない"不測の事態"への予備費」の両方を見積りに入れておけ、という。しかも費用だけでなく、バッファ期間も見積もっておけ、だそうな。これを、予備設定分析という。
「アクティビティ所用期間見積り」プロセスの予備設定分析
- コンティンジェンシー予備を、スケジュール全体に組み入れることができる
- アクティビティ所用期間に対する一定比率の期間としたり、固定期間としたりできる
- 定量的スケジュールリスク分析で決められることもある
- プロジェクトが進展し、より正確な情報が利用できるようになる、削減・削除される
「コスト見積り」プロセスの予備設定分析
- 「コスト・コンティンジェンシー予備」と呼び、「既知の未知」に備える
- PMの裁量で使用できる予備費で、コストベースラインの一部となる
- マネジメント方法(1)スケジュールアクティビティの個々のコンティンジェンシー予備を集約して、所用期間ゼロの一つのスケジュールアクティビティとして割当て、ネットワークパス上に配置する
- マネジメント方法(2)上記のスケジュールアクティビティを、クリティカルチェーン法のバッファーアクティビティにする。ネットワークパスの最後に配置する
「コストの予算化」プロセスの予備設定分析
- 「マネジメント・コンティンジェンシー予備」と呼び、「未知の未知」に備える
- PMはこの予備を使用する際、承認が必要
- コストベースラインに含まれないが、プロジェクト予算に含まれる。したがって、アーンドバリュー計算の対象外
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PMP試験対策【まとめ】

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コメント
今年もよろしくです。
一つ組織に長くいて、メンバーの流動化が図られないと、どんなプロジェクトもその中のメンバーでやってしまおう=はじき出されるコストは一緒というのが良くあります。アレとコレが同じ?なんて首をひねるのは日常茶飯事。
また同じ組織で複数のプロジェクトが同時平行で進んでいる→組織のメンバーは不動→紙上のコストは上昇→組合規定で残業時間は限られる→外に出る見積もりと内に回る見積もりが全く違う→サービス残業横行→ホワイトカラーの残業代カット...なんてのも良くある話。
コスト見積もりは誰のための、何のためのものなのか?もう一度きちんと考えると日本の企業も一段飛躍するかも....なんて、飲みすぎだな...マァマァ、オヒトツ(* ̄ー ̄)_凸”。
投稿: 鉛のZEP | 2007.01.02 10:34
>> 鉛のZEP さん
”□_( ̄ー ̄*)イヤァドウモドウモ
元旦と2日は仕事でした。システム屋さんは、皆がお休みの時が書入れどきー(毎年元旦出勤だったような気がしますが、来年こそは…)
プロジェクトと組織の関係で見過ごされなのが、「錬度」だと思います。某大戦略ゲームでは「見える」のですが、リアルでは表立っていないため無視されることもあるようです。
同一の地対空砲、同人数の砲兵、同じ気象・地形条件下で、戦闘を左右するのは「錬度」です。これは、戦争や戦闘訓練を積み重ねることでしか上げることができません。また、国専属の軍にのみ積み重ねることができ、傭兵ではゼロのままです。国の戦略として、錬度を捨ててコスト優先でいく選択肢も、あります。
これを今の仕事にあてはめると、錬度の高いメンバーは、「後工程で見つけるバグを素早く摘出することで品質をさらに向上させる」「トラブル時の対応策リストが豊富」「少人数で効率よくまわせる」「新人がきてもフォロー+αができる」などなど、見えない効果があります。イチバンなのは「安心」ですね、こいつらなら任せられるってやつ。
この錬度は、通常コストに反映されないため、机上計算で「メンバー数 × 時間 = 成果」がまかり通っているのだと思います(錬度に相当するものは、PMBOK3版で「組織のプロセス資産」と名付けられています)。
昨今の「なんでもかんでもアウトソース」の風潮は、全員傭兵部隊を見ているようです。仕事がカンペキに定型化していれば、それでもいいのですが、不測の事態が発生するのがプロジェクト… だからといって、メンバーを固定化して錬度を向上しようとすると、鉛のZEP さんが指摘する(母体組織にとっての)問題も待っている…
2007年問題は、まさに今年の問題となったわけですが、「なんでもかんでもアウトソース」の流れからのゆれ戻しがあるような気がします(「定年延長」だけでなく、囲い込む団塊リソースの反動で、50代への肩タタキ促進とか)。
投稿: Dain | 2007.01.02 20:25
錬度...ちょっと気になりましたので。
会社=経営層が考える人材にも錬度と言う要素が希薄になっている気がします。私たちの業界でも3次オン以降、バブルの影響やリスクを恐れる経営者たちの台頭でフルスクラッチのシステム開発は全く無くなってしまいました。(これから増えるのでしょうが...)昔々は改善、改修、改造が新人の練習問題だった事でもわかるように、今の我々の業界は錬度ってあまり重要視されないんですね。故に、会社が錬度に支払う給与の上限も、年々下がってきています。出世と錬度は比例しないんだが...
若手を優遇し、第2新卒だのと訳の分からないリクルート合戦で取り合って、ちょっと古くなったら隅っこに仕舞いこんでポイッ!のツケを払うのも中年層なんだな~きっと。
投稿: 鉛のZEP | 2007.01.03 10:24
>> 鉛のZEP さん
> 出世と錬度は比例しない
── 確かにその通りです!ベンダーさんなんかを見てるとつくづく思うのが、デキる奴ほど出世『できない』こと。練度が高いメンバーは現場でひっぱりだこである一方、出世にまつわるカネだのヒトに触れられない構造となっているみたいです(デキるPMは、いまあるカネ、いまいるヒトでなんとかしてしまいますから)。
そして、フと思うのですが、そんな会社にしてしまう経営陣そのものが、目先のものしか見えない連中ばかりそろっているような気が… 気のせいだといいのですが。
投稿: Dain | 2007.01.03 22:22