PMP試験対策 2.3.3 「計画」でやっていること(タイム)
ここでは、「計画」でやっていることを説明する。
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WBSで分けられたワークパッケージを、より小さく、マネジメントしやすいスケジュールアクティビティへ要素分解する。さらに依存関係に従って順序性を設定し、いつどのような資源がどれぐらいの量必要かを見積り、アクティビティの所用期間を見積もる。
上記をベースに、コスト、リスク、品質、コミュニケーション、人的資源、調達の計画を立て、スケジュールを作成する。言い換えると、To Do リスト"だけ"ではスケジュールは立てられないことに注意。特に、「スケジュール作成」プロセスのインプットに「リスク登録簿」があることに注意。PMI イズムでは、『リスクは折込済みで、スケジュールを作成せよ』ということ。
6.1 アクティビティ定義
あったりまえのことなのだが、一回の計画プロセスにおいて、プロジェクトの全ての作業を、完全にアクティビティまでに分解することは不可能だ。だから、PMBOKではローリングウェーブ計画法というツールを提示している。ローリングウェーブ計画法とは、直近の作業はWBSの下位レベルまで詳細に計画し、遠い作業はWBSの比較的高いレベルの構成要素で計画せよ、というやり方。で、計画プロセスをまわすことで、段階的に詳細化していけるという仕掛け。
「ローリングウェーブ」なんてロールパンナちゃんの必殺技のような名前がついているが、スパイラル開発、RADモデルといえば理解しやすいだろうか(p.69の図なんてまさにそう)。にもかかわらず、『PMBOK = WaterFall』と誤読する輩がウソを振りまいている。
ある程度プロジェクトを進めないと明確化できないところは、コントロールアカウントや計画パッケージの単位で管理する。それぞれの関係は、
←←← WBSの上位 WBSの下位 →→→
コントロールアカウント > 計画パッケージ > ワークパッケージ(最下層)
となっている。例えば、「サービス環境の構築」というWBS要素があったすると、これを実現させるためには、「データベース」「アプリケーション」「ネットワーク環境」「ハードウェア環境」ともろもろの決め事・検証事が出てくる。最初の計画段階で決まっているものもあれば、相性を見極めないと何とも決められないものもある。そういうものは、「データベースの選定とテーブル構成」といった大きな単位で管理して、必要なときに詳細化せよ、ということ(もちろん『いつ』までに決めなきゃいけないかは、計画段階で決める)。
6.2 アクティビティ順序設定
リードとラグ―― 自分で書くまで理解できなかったが、今は自信を持って書ける↓
リード:複数のタスクをオーバーラップできる期間(タスクBを前倒し)。例えば、仕様書の執筆とレビューは、書けた順にできるため、レビュー開始を前倒しできる。
├―――━━┫←タスクA
┣━━――――――┤←タスクB
↑ココ
ラグ:タスクAが終わった後、一定の期間を経たないとタスクBが開始できない期間のこと。例えば、コンクリートをうったら養生期間(コンクリを乾かす期間)が必要。
タスクA タスクB
├――――┤ ├―――――――┤
┣━━━━┫
↑ココ
アクティビティ順序設定のツールと技法であるPDMとADM、3種の依存関係は重要だが、説明しない(既に理解済みだから)。このblogで学んでいる奇特な方がおられるのなら、[p.132-134:PMBOK]を読んで一覧表を作成すると理解しやすいかと。その一方で、何度も間違えている「フロート」と「フリー・フロート」の違いは書いておこう。
- フロート(総フロート、トータルフロート):プロジェクト全体の終了日を遅らせることなく、その作業の開始日を遅らせることができる期間
- フリー・フロート(パス・フロート):直後の最早開始日を遅らせることなく、その作業の終了を遅らせることができる期間
6.3 アクティビティ資源見積り
ポイントは2つ。1つめは、インプットとして、「組織のプロセス資産」が含まれること。例えば、資源をレンタルにするか購入するかといった方針は、母体組織から提示されるから。2つめは、インプットにある「資源の可用性」。これは、どの資源(人、機器、物資)がいつ利用できるかという情報。人なら、9.2.3.2「プロジェクトチーム編成」のアウトプットとして、プロジェクトメンバーが作業できる期間が出てくる。資源なら「納入者選定」のアウトプットで資源の稼働日・不稼動日が出てくる。
分かりやすいミスを挙げるなら、「ミドルウェアが届いたけれど、動かせる人がいない」あるいは「動かせる人は休暇中」というやつ。「必要な時に大型鋼材が届いたけれど、クレーンの準備がなされていなかったので、鋼材が降ろせませんでした」というやつ。ネタとしては面白いが、自分のプロジェクトで遭ったらヒサンだぜ。
6.4 アクティビティ所用期間見積り
PMI ええこと言うなぁ、と思ったのは、所用期間見積は段階的に詳細化・正確化するという。エンジニアリングや設計作業が進むにつれ、より詳細で正確なインプットデータを利用できるようになり、期間見積精度も向上する、というわけ←要は、段階的に見積りを行い、精度を上げろと言っている。
ツールと技法の類推見積り、係数見積り、三点見積りは重要だけど説明しない。このblogで学習する人は[p.141-142:PMBOK]でおさえておく。いわゆるバッファーは、PMBOKでは「コンティンジェンシー予備」と呼ばれ、予備設定分析で組み込まれる。コンティンジェンシー予備を、見積り期間の一定比率としたり、固定期間としたり、リスク分析結果によって決められたりする。
このあたりで標準偏差や三点見積りの計算が求められる。加重平均するのが常だが、PMBOK本文には、単に「平均」と書いてある(どちらが"正しい"かは、分からない)。
標準偏差=(悲観値-楽観値)/6
三点見積=(悲観値+最頻値*4+楽観値)/6
計画プロセス群の「タイム」は、あとひとつ、最重要の「スケジュール作成」が残っているが、いったんここで切る。というのも、スケジュール作成のためには、コスト、リスク、コミュニケーション、人的資源、調達の計画プロセスが終わっているか、ある程度進んでいる必要があるからだ。
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PMP試験対策【まとめ】

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