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涼宮ハルヒの将来

魔天楼、薬師寺涼子の事件簿 ツンデレについて嫁さんと語りあってるうちに紹介された一冊。「ハルヒだルイズだとウルサイわね!これでも読んでなさい!」と一喝され、一読… こ、これは、涼宮ハルヒの10年後だっ→「魔天楼 ── 薬師寺涼子の事件簿」(田中芳樹)。

 薬師寺涼子──絶世の美女、27歳。警視庁刑事部参事官の警視、東大法学部卒。在学中に司法試験、外交官試験、国家公務員 I 種試験に合格。フランス語、英語を流暢に話し、スペイン語、ラテン語にも通じている。格闘技に通じ実戦でほとんど負けたことが無い。性格は協調性が皆無、傲岸不遜、傍若無人、天上天下唯我独尊

 ドラキュラもよけて通るという意味の「ドラよけお涼」の異名を持つ。つまり、彼女の行くところ摩訶不思議な事件ばかり。嫁さんによると、ドラゴンもまたいで通る意味で「ドラまたお涼」とも呼ばれているらしい。

 そんな彼女が、「助手A」「付き人」「下僕」…とさまざまな名前で呼ぶ泉田クンをひきつれて、きょうも取り組む(というか巻き込まれる)怪事件の数々、というストーリー。どういうキャラクターなのか、名言(迷言)で見て欲しい(カッコ内はサブタイトル)。

  • 「思い知った? 正義は必ず勝つ。いえ、正義とはあたしが勝つことよ!」(魔天楼)
  • 「オホホホホ、死人に口なし。あらゆる事象を浄化するステキなコトワザね。"勝てば官軍" のつぎに好きよ」(東京ナイトメア)
  • 「あなたこそ自分を何サマだと思ってるの!? あたしは薬師寺涼子サマよ! 」(巴里・妖都変)
  • 「神を恐れなくていいから、あたしを恐れなさい」(クレオパトラの葬送)

 完全無欠の美貌と才能を持ちながら、よりによって警視庁を目指したのは、「合法的に国家権力を行使するため」と断言しかねない勢いの彼女は、どうみてもハルヒの未来予想図だ。ハルヒならやりかねない → 手始めに警察組織に君臨してから世界征服。

 キョンに相当する泉田クンが不憫でならない。一人暮らしのマンションに招かれ、手料理をふるまわれたことがあるらしいが、基本的に踏み台扱いされている。下僕ながら、惚れられているらしいので(ルイズパターン)、がんばれ泉田! (たぶん)未来は明るいかも…

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コメント

激しく本題からずれた突っ込みですが、
>ドラゴンもまたいで通る
というのは「スレイヤーズ」と言うライトノベルの主人公の通り名(ドラまたリナ)で、薬師寺涼子の通り名「ドラよけお涼」はそのパロディと言われています。

本題に関してはハルヒの場合、自分は埋もれた中の一人ではない事を証明する=人と違うことをしたいという欲求が、唯我独尊な行動に走らせているので、本当にオンリーワンでナンバーワンだと自負しているお涼とはちょいと違う気がしますがいかがでしょう?

投稿: しろぶ | 2006.09.19 01:29

薬師寺涼子サマ(呼び捨てにできません)の怪奇事件簿シリーズは、ツンデレ物の元祖でしょうね。悪魔の如き智謀と美貌、事実上のアジア最大の私設警察である大企業の次期オーナーで財力と権力は使い放題の文字通りの現代の女王涼子サマが唯一思い通りにならないのが、年上の部下泉田くん。警視庁始まって以来の問題児薬師寺涼子サマのお守役として稀有の才能を発揮するという文字通り宮仕えの悲哀を具現化したような青年刑事泉田くんの明日はどっちだ。いまやこのシリーズの最大の興味は涼子サマが出会う(もしくは引き起こす)怪奇事件ではなく、いつ泉田くんが涼子サマに食われてしまうか、泉田くんと涼子サマの子供は卵で生れるかどうかに移ったといってもいいだろう。常人離れした抜群の危機回避能力を持つ泉田くんは、いつまで涼子サマの求愛から逃げきれるのか。泉田くんの前恋人が登場するのか・・・・。
私が思う「ハルヒの未来予想図」は、毎朝、市役所に勤めるキョンを送り出し、愛娘(これがハルヒに瓜二つの美少女)にSOS団次期団長として必要な英才教育を施すハルヒ。夕方にはキョンを迎える暖かな家庭というものです。古泉くん曰く「涼宮さんは真っ当な精神の持ち主」という「組織の分析」を信じれば、良妻賢母ハルヒという結末を提案したいのですが。そしてハルヒとキョンの娘もやはり・・・という展開となれば。

投稿: 朝日将軍 | 2006.09.19 09:54

> しろぶ さん

 「ドラまた」…リナ・インバースさまでいらっしゃいますね。嫁さんに確認したところ、『そうだったかもしらん、たいした違いがないではないか』とのこと。

 ハルヒの暴れっぷりに目を奪われていました。たしかに彼女の行動の根拠はソコにありますね。プライベート、本当にプライベートな姿を妄想してみると、ハルヒと涼子は激しく違いそうです(例:家に帰ってくると…)

> 朝日将軍 さん

 的確かつめがっさ面白いご紹介ありがとうございます(卵のあたりで噴きました)。前出の、しろぶさんのコメントにもあるとおり、爆竜ハルヒの暴走は条件付きなのかもしれませんね。

 ともあれ、朝日将軍さんが描く未来予想図にはかなり萌えるものがあります。オリジナルでは決して書かれない「将来」だけでご飯三杯までいけそうです。『良妻賢母ハルヒ』… なんだか最強ロボのように聞こえます。新造人間キャシャーンとか、機動戦士ガンダムとか。

投稿: Dain | 2006.09.20 00:21

薬師寺涼子の説明を読んでて、京極シリーズの榎木津礼二郎と愉快な下僕達が脳裏をよぎった。

投稿: | 2006.09.20 01:24

「的確かつめがっさ面白い」という望外の評価を戴き、恐縮です。念願の支那歴史小説家にクラスチェンジを果たした田中先生が唯一継続中の現代小説がこの「薬師寺涼子の怪奇事件簿シリーズ」ですから、本当に貴重なものですね。薬師寺涼子サマというヒロインが非常識なら、本も非常識。私の知る限る「書き下ろし文庫」から新書版にクラスチェンジしたのは「魔天楼 ── 薬師寺涼子の怪奇事件簿」が日本初ではないか。恐るべし涼子サマ。音羽台グループも涼子サマにはかなわないようで、このような常識外れも罷り通る。これは涼宮ハルヒの超常的世界変革能力にも匹敵するのではないでしょうか。泉田くんもキョンも涼子サマやハルヒに振り回されながら、己の不運(不幸ではない)をぼやきつつも結局離れられず、ついつい甘やかす究極のツンデレ男なのでしょう(マゾヒストにかなり近いような気もしますが)。ツンデレ漫才をいつまでやっていなさい。

投稿: 朝日将軍 | 2006.09.20 15:16

> 名無しさん

 > 榎木津礼二郎と愉快な下僕

 ↑それは嫁さんが指摘していました、わたしは未読なのですが。


> 朝日将軍 さん

 確かに、「文庫→新書」は他の例を知りません。涼子サマの波動というやつでしょうか。コミックも制覇した後は、最近流行りのラノベアニメ化の波に乗ってもらいたいものですね。

投稿: Dain | 2006.09.20 23:29

>↑それは嫁さんが指摘していました、わたしは未読なのですが。
>
一言で言えば、神!

華族で帝大卒の絶世の美男子。
眉目秀麗、文武両道。なにをやらせても一流。けんかでも無敵。
性格は協調性が皆無、傲岸不遜、傍若無人、天上天下唯我独尊。
「下僕」は関口、益田、今川、伊佐間など多数。

ついでに、榎木津の机の上には、探偵と書かれた黒い三角錐がある。
(ハルヒがパロった)

あとは、以下を参照。

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B1%DD%CC%DA%C4%C5%CE%E9%C6%F3%CF%BA
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061821008
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061823795

投稿: | 2006.09.21 03:29

確かにハルヒの将来って感じはしますけど、お涼はツンデレではないと思います。後コメントに元祖とありますがそんなに古くないですし。
直接告白してないだけで結構直接的なアプローチもしてますしね。泉田さんが鈍感すぎるだけで、メイドさんや他の部下の方は気づいているようですしね。
直接告白しないで相手を落とそうとする程度でツンデレって言ってたら世の中の多くの女性が…
たぶんデートにつれてく時のあのセリフとかでツンデレって感じるのだと思いますが。

話しは変わりますが私は「ドラよけ」にはドラキュラに狙われる資格があるっていうのを含めているのでは?と思ってます。その辺も薬師寺警視と「似ている」のではないかと。

投稿: kkrk | 2006.09.21 05:29

> 名無しさん

  > ついでに、榎木津の机の上には、探偵と書かれた黒い三角錐がある。
  > (ハルヒがパロった)

 な、なんとッ―― 知りませんでした。有益?な情報ありがとうございます。
京極弁当箱は、嫁さんが「向き不向きがある」と断じているので、未だに手を出していません。

> kkrk さん

  > 直接告白してないだけで結構直接的なアプローチもしてますしね。
  > 泉田さんが鈍感すぎるだけで、メイドさんや他の部下の方は気づいて
  > いるようですしね

 ツンデレな態度って、昔は【てれかくし】とか【いじっぱり】と呼んでいたような気がします。で、秋波送られている本人だけが気づかずに読者がやきもきするパターン―― ええと、どこかで見たような。

 さておき、ハルヒの将来が書かれない以上、芳樹先生には涼子サマの過去を書いていただくしかッ

投稿: Dain | 2006.09.22 00:43

「涼宮ハルヒの10年後は薬師寺涼子」ってオレも考えていました。
細かいとこ突き詰めていけば違いはありますが・・・
BLOGのネタにいいかなと。(先越された)
それと、「文庫」→「新書」ってのは前例ないと思いますよ。

投稿: k-one | 2006.09.23 19:10

> k-one さん

 おおっ やはり同じことを考えていた方がいらっしゃったようですね。某所でも「あるあるwww」といったコメントを頂いておりますし… ハルヒの10年後と涼子サマの10年前は、どちらも強力に興味を惹かれますね。

投稿: Dain | 2006.09.23 22:55

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