「ソフトウェア開発の名著を読む」を読む
「めいちょ」と銘打たれるとなかなか手が出せないもの。大著であることも多いし、何より難しそうなイメージが先行してしまう。さらに、たいていは「古典」…なので、書店で平積みになってる賞味期限 1 年のハウツー本みたく目に入ってこない(←こちらからアプローチをかけないと手に入らない)。
というわけで敬遠していた方へ朗報。「ソフトウェア開発の名著を読む」で手軽に「めいちょ」の品定めができる。この手のカタログ本だと、「コンピュータの名著100冊」が有名だが、これはたったの8冊の紹介、しかも新書なので30分で読める。
しかも、言語は問わない。もちろん FORTRAN や Pascal といった「古語」のコードが出てくるが無問題。伝えたい何か、例えば「プログラミング作法」や「よいコードを書くための習慣」を表現するための、レトリックとしてのコードなのだから。
とどめは、昔から、誰からでも、何度でも指摘されてきた本質→ソフトウェアは「人」が開発するもの という観点から8冊がレビューされる、しかも筆者の経験談つきで。言語やツール、手法がどう変遷しようとも、この本質は変わっていない。
したがって、ソフトウェア開発の問題は「人」に帰着することがよく分かる。ひどいコードが問題なのではなく、ひどいコードを平気で書く「人」が問題なのだ。デスマプロジェクトが問題なのではなく、プロジェクトを失敗させる「人」が問題なのだと。
以下に紹介されている8冊を掲げる。ご存知の方がほとんどだろうが、どれもスゴ本なり。
- プログラミングの心理学(M.ワインバーグ)
- 人月の神話(P.ブルックス)
- ピープルウェア(トム・デマルコ/ティモシー・リスター)
- デッドライン(トム・デマルコ)
- ソフトウェア職人気質(ピート・マクブリーン)
- 達人プログラマー(アンドリュー・ハント/デビット・トーマス)
- コードコンプリート(スティーブ・マコネル)
- プログラミング作法(W.カーニハン/ロブ・パイク)
「ワインバーグなら『システム思考法』が一番だろう」とか、「どうして『ハッカーと画家』や『ソフトウェア開発の持つべき文化』が入ってないんだ」といったツッコミは、もちろんあるかもしれない。しかし、そんなツッコミする人なら上8冊はチェック済かと。
わたしの場合、2,3 既読で、4 を読まねばと動機付け。今の仕事がマネジメントにシフトしてしまっているので、4 の紹介にある「"管理ごっこ"をやめる」というメッセージはかなり響いた。是非モノにして、職場での行動原理に組み込みたいですな。

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